PING(ピン)が2025年9月4日に発売した最新アイアン、PING i240 アイアンは、発売前から国内外の契約プロが続々と実戦に投入し、「美キャビティ」という革新的なコンセプトが大きな話題を呼んでいる。
前作i230アイアンが上級者向けのイメージが強かったのに対し、i240アイアンは新バッジ構造や深低重心設計を採用することで、シャープな見た目と大型ヘッドに匹敵するやさしさの両立を徹底的に追求したモデルである。
しかし、ロフト角の大幅変更やCTPエラストマーによる複合構造など、技術的な進化が多岐にわたるため、本当に自分に合うモデルなのか、前作との違いは何かといった疑問を持つゴルファーも多いだろう。
本記事では、i240アイアンの持つ高MOIヘッドの寛容性やロングアイアンの性能、そしてシャフトカスタムやフィッティングの重要性、さらにはデメリットまで、ゴルフライターの視点から多角的に分析し、i240アイアンがなぜ幅広い層から支持されるのかを徹底的に解説する。
この記事を読むことで「PING i240 アイアン」と検索した読者が具体的に何について理解を深められるか
- PING i240アイアンが前作i230から進化した技術的特徴
- 大幅なロフト角変更による飛距離性能の向上と、そのデメリット
- 新バッジ構造や高MOIヘッドによるミスの許容性
- シャフトカスタムやフィッティングの重要性と、適したゴルファー層
PING i240 アイアンの進化した寛容性と打感

- 新バッジ構造で実現した深低重心設計
- 飛距離性能を追求したロフト角の大幅変更
- 打感を高めたCTPエラストマーと複合構造
- 溝設計の工夫による構えやすさと安心感
- ミスに強い高MOIヘッドの寛容性を分析
- 楽に球が上がる進化したロングアイアンの性能
新バッジ構造で実現した深低重心設計

PING i240アイアンは、外観の美しさと裏腹に、革新的な新バッジ構造によって深低重心設計が実現されたモデルである。この設計は、見た目のシャープさを保ちつつ、高い寛容性を確保するための根幹技術だ。
この深低重心化は、前作i230と比較してバッジの軽量化を約60%達成したことで可能になった。得られた余剰重量は、ヘッドの周辺に再配分され、特にトゥ側に配置されたウェイトと共に、重心をより深く、低い位置へと導いている。これにより、i240は高い慣性モーメント(MOI)を獲得し、打点ブレに強い性能を実現した。
新バッジは、振動を抑えて打感を心地良くするCTPエラストマーを内蔵した軽量カーボンを含む複合素材で構成されている。この複合構造により、高弾道が打ちやすくなるだけでなく、中上級者が求めるシャープな見た目と高い寛容性の両立に成功している。
飛距離性能を追求したロフト角の大幅変更
i240アイアンの最も大きな変更点の一つは、飛距離性能を追求するために標準ロフト角が大幅に変更されたことだ。
7番アイアンのロフト角は、i230の33度から31.5度へと1.5度立てられ、これによって飛距離性能が大きく向上した。現在のアイアン市場は飛距離を求めるゴルファーのニーズが高まっており、この「パワーロフト」が日本での標準仕様として採用されている。
このロフト角の変更は、単に飛距離を出すためだけでなく、前述の深低重心化技術によって、ロフトを立てても球が楽に上がりやすくなっているため、高い弾道の維持が可能となっている。試打計測の結果では、i240の7番アイアンはi230と比較して3〜5ヤード程度キャリーが伸びる傾向が見られる。
ただし、ロフトが立っていることで、番手間の距離の階段にズレが生じる可能性がある。その対策として、PINGではロフト角を立てていないUSスタンダードロフト(i230相当のロフト)のオプションも提供しており、ロフト設定についてゴルファーが選択できる柔軟性があることも忘れてはならない。
i200系アイアンのロフト角比較(7番周辺)
番手 | i200 | i210 | i230 | i240(標準ロフト) |
---|---|---|---|---|
5番 | 26° | 26° | 26° | 25° |
6番 | 29.5° | 29.5° | 29.5° | 28° |
7番 | 33° | 33° | 33° | 31.5° |
8番 | 37° | 37° | 37° | 35.5° |
9番 | 41° | 41° | 41° | 40° |
打感を高めたCTPエラストマーと複合構造
i240アイアンは、431ステンレススチールをヘッド素材とする鋳造モデルだが、その打感は軟鉄鍛造に近いソフトなフィーリングを実現している。これは、ヘッド内部のCTPエラストマーと複合構造による効果が大きい。
この複合構造では、新バッジとフェースの間に、振動吸収性に優れたCTPエラストマーという軽量樹脂を埋め込む複合構造が採用されているためである。このエラストマーがインパクト時の不快な振動を効果的に吸収し、打球音を改善することで、ゴルファーに心地よい打感とフィードバックをもたらす。
その結果、試打者からは「打感が相当やわらかく感じました」という声が多く寄せられている。さらに、芯を外した場合でも、芯を外しても打感が変に硬くならず、気持ちいいままだったという評価もあり、ミスヒット時のフィーリングの良さも特筆すべき点だ。高性能な複合構造によって、i240は打感やフィーリングといった繊細な要素においても、アスリートモデルとしての高い評価を獲得している。
溝設計の工夫による構えやすさと安心感

i240アイアンは、シャープで美しい「美キャビティ」の外観を特徴とするが、その構えやすさと安心感は、溝設計の細かな工夫によってもたらされている。
i240アイアンは、前作i230と同じヘッドサイズを保ちつつ、7番アイアンの溝の数を戦略的に減らすことで、ヘッドが大きく見える視覚効果を生み出している。これにより、構えた際にシャープさがありながらも、ミスへの強さを感じさせる視覚的な安心感を提供している。
見た目では、PINGらしい派手さの無いハイテク感と、わずかに面長に見える印象がある。ヘッド全体がシンプルですっきりしたデザインであり、バックフェースもごちゃごちゃしていないため、好感を持つゴルファーが多い。
シャープな見た目を保ちつつ、高い寛容性を凝縮した設計であるため、中上級者が求める構えやすさを満たしながらも、ミスヒットに対するヘッドが実際よりも大きく見える視覚的な効果は、中級者にとっても大きな心理的サポートとなるだろう。構えやすさの点では、試打評価で満点に近い高い評価を得ている。
ミスに強い高MOIヘッドの寛容性を分析
i240アイアンが幅広いゴルファーに支持される最大の要因の一つは、その高い寛容性にある。
i240アイアンは、従来のiシリーズが持つ操作性を維持しながら、MOI(慣性モーメント)を前作i230から約4%向上させており、ミスに強い高い寛容性を実現した。この高い慣性モーメントは、新バッジ構造による軽量化と、余剰重量を周辺に最適配分する深低重心設計によって達成されたものである。
特に注目すべきは、打点がフェースの芯から外れた際の許容性の高さだ。実際の使用者からは、「薄い当たりでもしっかり球が上がる」という評価や、「右にペラっといきそうなのも耐えてくれていた」といった具体的な声が寄せられている。
平均スコア70台の上級者でさえ、i240の最も気に入った点として「寛容性」(54%)を挙げていることからも、そのミスへの強さが単なるアベレージ向けではなく、ツアーレベルの要求にも応えるレベルにあることが裏付けられる。
楽に球が上がる進化したロングアイアンの性能
i240アイアンは、特にロングアイアン(3I, 4I, 5I)の性能が大きく進化している。
この進化は、複合構造の最適化によるもので、CTPエラストマーや新バッジ構造といった複合素材は、番手ごとにサイズや形状が最適化されている。この結果、5番や6番アイアンといった長い番手においては、特にロングアイアンの寛容性が高まる設計となっている。
ロングアイアンは一般的に難しく、球が上がりにくいという課題があるが、i240では深低重心設計により、ロフトが立っていても楽に高弾道でボールを打ち出せる。この性能は、ロングアイアンでの高弾道を求めるゴルファーにとって非常に大きなメリットとなる。
中級者から上級者まで、ロングアイアンでグリーンを上から狙える弾道を実現することで、セッティング全体における武器となる可能性を秘めている。
PING i240 アイアンのスペックと前作との違い

- 前作i230との主な違いと進化のポイント
- PING i240アイアンが合うゴルファー合わないゴルファー
- 軟鉄鍛造打感重視のゴルファーが感じるデメリット
- 豊富なシャフトカスタムとフィッティングの重要性
- PING i240アイアンが幅広い層に支持される理由
前作i230との主な違いと進化のポイント
i240アイアンは、前作i230アイアンの持つ高い操作性を踏襲しながら、最新の技術を投入することで、飛距離性能と寛容性を中心に大きく進化している。
i240の最大の進化は、新バッジ構造とキャビティ構造の採用により、重心位置を最適化したことで、前作と比べて寛容性と飛距離性能を大幅に向上させた点だ。具体的には、重心位置が約3%深く、約1%低くなり、ミスヒットに対する許容度を示すMOIは約4%向上している。
外観上は、i230がソリッドなバックフェースを持っていたのに対し、i240は新バッジを採用したキャビティ構造へと変更され、より洗練されたスタイリッシュな見た目となっている。ロフト角も7番で33度から31.5度へと立てられた結果、キャリーで3〜5ヤード程度の飛距離アップが見込める。
i230は、それまでのi210からすでに、球の上がりやすさや打感の向上など、多岐にわたる進化を遂げた名器であった。i240は、その基礎的な完成度の高さをベースに、現代のトレンドに合わせた飛距離性能と、ツアープロも認める寛容性を両立させ、更なる進化を遂げたモデルだと言える。
PING i240アイアンが合うゴルファー合わないゴルファー
i240アイアンの性能は守備範囲が広く、多くのゴルファーに適応するが、その特性から特にメリットを得られる層と、そうでない層が存在する。
i240は、従来のiシリーズの操作性を保ちつつ寛容性を向上させた設計であるため、中級者から上級者で、やさしさと操作性のバランスを求めるゴルファーに最適なモデルだ。具体的には、ヘッドスピード38から45m/s程度の中級者、中上級者が最も恩恵を受けやすく、安定した飛距離と高い寛容性の恩恵を受けられる。また、見た目はシャープなものを好みながらも、ミスヒット時のやさしさを妥協したくないゴルファーにも適している。
一方、このモデルが合わないゴルファーは、クラブの特性が特定のニーズに合致しない場合だ。例えば、ヘッドスピード35m/s以下の初心者には、より寛容性の高い大型ヘッドのGシリーズが適している。また、完全な操作性を追求する上級者には、より繊細な操作が可能なブループリントシリーズが選択肢となる。さらに、打感が薄くてもしっかり球が上がる性能を求めるゴルファーにとっては大きなメリットだが、ロフトが立っているため、最大限の飛距離を追求するゴルファーや従来の打感を重視するゴルファーにはデメリットとなる可能性もある。
軟鉄鍛造打感重視のゴルファーが感じるデメリット

i240アイアンは、複合素材とCTPエラストマーによって打感を大幅に改善しているものの、ヘッド素材は431ステンレススチールによる鋳造であり、軟鉄鍛造アイアンとは根本的な素材が異なる。
そのため、軟鉄鍛造アイアンのような極上の柔らかさを重視するゴルファーにとっては、打感の面で完全に満足できない可能性がある点がデメリットとして挙げられる。軟鉄鍛造のアイアン、例えばPINGのBLUEPRINT Sのようなモデルは、ボールがフェースに乗る独特の柔らかさや、繊細な操作感を提供する。i240の打感が非常に優れているという評価が多いのは事実だが、フィーリングの好みは個人差が大きく、前作i230の方が柔らかいと感じる試打者も存在する。
このため、i240を試打する際には「ステンレススチール=打感が硬いという先入観」を持たずに打つことが推奨される。しかし、もし柔らかい打感を何よりも優先するのであれば、軟鉄鍛造のモデルを検討する必要がある。
また、前述の通り、ロフトが立ったことで飛距離は向上したが、その分、番手間の距離の調整が難しくなると感じるゴルファーもいる。特にウェッジセッティングとの兼ね合いは、購入前に慎重に確認すべき重要な注意点である。
豊富なシャフトカスタムとフィッティングの重要性
PINGのアイアンを選ぶ上で、豊富なシャフトラインナップとフィッティングの存在は、他のメーカーにはない大きな特徴であり、i240アイアンにおいても非常に重要である。
i240アイアンは、標準シャフトに加え、幅広い重量帯と特性を持つカスタムシャフトが豊富に用意されている。高弾道を求める軽量カーボンから、安定性を重視する重量スチールまで、ゴルファーのニーズに合わせて選択肢が用意されている。
しかし、PINGの真価は、この豊富な選択肢から自分に最適な一本を選ぶフィッティングを利用することで、飛距離、方向性、打ちやすさが格段に向上するという点にある。実際に、直営店のフィッティングでi240を選んだゴルファーのうち、約9割(89.8%)がライ角、シャフト、グリップ、長さのいずれかをカスタマイズしており、標準仕様のまま購入したのはわずか10.2%に留まっている。
特に、ライ角は体型やスイングに大きく影響し、標準(ブラック)から外れるゴルファーが64.5%に達するため、フィッティングを利用することで、自分に合った最適な「自分仕様」を見つけられることが、スコアアップへの近道となる。フィッティングの詳細については、PINGの公式サイトで確認できる。
PING i240アイアンが幅広い層に支持される理由
PING i240アイアンは、アマチュアゴルファーからツアープロに至るまで、幅広い層から熱い支持を集めている。
i240アイアンが支持される最大の理由は、アスリートライクなシャープな見た目と、大型ヘッドに匹敵する寛容性・やさしさという、これまでなかった二律両立を実現したアイアンである点だ。従来のiシリーズは上級者志向が強かったが、i240は新バッジ構造や高MOI設計により、初中級者でも性能を実感できるレベルのやさしさを実現している。
この二律両立は、プロの世界でも認められている。元々マッスルバック(BLUEPRINT T)を使用していた蟬川泰果プロが、海外ツアーで寛容性の高いキャビティアイアンを使用する海外選手に触発され、i240にスイッチした事例がその証拠だ。蟬川プロがスイッチを決めたのは、寛容性と見た目のシャープさを両立している点であった。
平均スコア80台のゴルファーの多くが、寛容性だけでなく、複合構造による打感の良さも同等に高く評価しており、見た目のカッコよさと性能の両方にこだわりたいゴルファーにとって、i240アイアンはまさに「ドンピシャなモデル」である。
幅広いゴルファーに対応するPING i240 アイアンの総評

この記事では、PING i240 アイアンの革新的な技術、性能、そして適応するゴルファー層について詳細に解説した。i240アイアンは、従来のiシリーズが持つ操作性を維持しながら、最新技術によって寛容性と飛距離性能を大幅に向上させた、完成度の高いアイアンだ。新バッジ構造やキャビティ構造によって深低重心化と慣性モーメントの向上を実現し、「カッコよさにも、やさしさにも、もう妥協したくないゴルファー」にとって理想的な選択肢となるだろう。購入を検討する際は、その高いカスタム性から、必ずフィッティングを受けて自分に最適なスペックを選ぶことを強く推奨する。
- i240アイアンは2025年9月4日に発売された最新のアイアンクラブである
- 前作i230アイアンの後継モデルとして、幅広い性能で大幅な進化を遂げたモデルである
- 「美キャビティ」をコンセプトに、シャープな見た目と寛容性の両立を追求している
- 新バッジ構造を採用し、前作比で約60パーセントのバッジ軽量化を実現した
- 軽量化によって深低重心設計を実現し、慣性モーメントが約4%向上している
- 7番アイアンのロフト角が31.5度に設定され、高弾道でありながら飛距離性能を追求している
- 低重心化とロフト変更により、従来のiシリーズより3〜5ヤードのキャリー向上が見込める
- フェースとバッジの間にCTPエラストマーを搭載し、心地よいソフトな打感を実現した
- ミスヒットに強く、打点のブレがあっても方向性のブレが少ない高い寛容性を持つ
- 特にロングアイアンの寛容性が進化しており、楽に高弾道で球が上がる設計である
- ヘッドスピード38から45m/s程度の中級者や中上級者に最適なバランスを提供する
- 軟鉄鍛造の打感を最優先するゴルファーには、打感の面でデメリットを感じる可能性がある
- 標準仕様のまま購入する人が少なく、フィッティングでカスタマイズを選ぶ人が約9割に上る
- ライ角、クラブ長さ、グリップ太さなど、細かな自分仕様の調整がスコアアップの鍵となる
- 蟬川泰果プロも寛容性と見た目の良さを理由にこのモデルへスイッチした