こんにちは!19番ホール研究所のthe19thです。
2024年11月29日に発売された本間ゴルフの意欲作、「T//WORLD TW767」シリーズ。ゴルフメディアや熱心なゴルファーの間では、発売前からかなりの話題になっていましたよね。何を隠そう、私もその一人で、発表されてからずっとスペックシートを眺めたり、インプレッション動画を探したりしていました。
今回のTW767がなぜこれほど注目されているかというと、やはりドライバーが海外のトップブランドが覇権を争う「慣性モーメント10K時代」に、日本の名門メーカーである本間ゴルフが出した「回答」だからだと思います。ただ、いざ自分が買うとなると、本当にたくさんの疑問が湧いてきませんか?
ドライバーだけでも「MAX」「無印」「LS」と3モデルもあって、それぞれの性能比較や違いが分かりにくい。アイアンに至っては「Vx」「Px」「Hx」と、アルファベットだけではどんなクラブか想像もつきませんよね。実際の試打評価やアマチュアのリアルな口コミはどうなのか、高品質と噂の純正シャフトの振動数や他モデルとの互換性はあるのか…など、気になる点は尽きません。決して安い買い物ではないからこそ、新品のスペックはもちろん、少しでもお得に手に入れるための中古相場も把握しておきたいところです。
この記事では、そんな「本間ゴルフ TW767」シリーズに関するあらゆる角度からの疑問や不安を解消するために、私が徹底的に調べ上げた情報を余すところなくお伝えしていきます。ドライバーからアイアン、フェアウェイウッド、ユーティリティまで、各モデルの性能やターゲットゴルファーを詳細に分析し、「あなたにとってのベストな一本」を見つけるお手伝いをします。この記事を読み終える頃には、きっと自信を持ってTW767を選ぶことができるはずですよ。
- TW767ドライバー3モデルの性能と違いがわかる
- アイアン各モデル(Vx, Px, Hx)の選び方がわかる
- 高品質な純正VIZARDシャフトの特性を理解できる
- 最新の中古相場やお得な購入方法がわかる
本間 ゴルフ tw767 ドライバーを徹底解説
それではまず、このシリーズの顔とも言えるドライバーからじっくりと見ていきましょう。現代のドライバー開発における最重要トレンドである「慣性モーメント(MOI)10K」という数値を達成しながらも、本間ゴルフが長年培ってきたクラブ作りの哲学である「美しさ」をどう両立させたのか。その秘密に迫りながら、性能が異なる3つのモデルを一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。これを読めば、あなたのスイングに最適なヘッドがどれなのか、きっと見えてくるはずです。
発売日と注目の基本スペック
まず押さえておきたい基本情報ですが、本間ゴルフ TW767シリーズの公式な発売日は2024年11月29日です。ゴルフギアの市場が最も盛り上がる秋から冬にかけての商戦に投入されたモデルですね。この時期は、海外のビッグブランドも主力モデルを発表することが多く、TW767はまさにそうした競合と真っ向から勝負するために開発された、本間の戦略的モデルと言えるでしょう。
その戦略の核となるのが、他のメーカーにはない本間独自のテクノロジーです。特に注目すべきは、以下の2つの革新的な技術かなと思います。
世界で最も美しい10Kを実現する「カーボンロールテクノロジー」
近年のドライバーは、MOI(慣性モーメント)をルール上限の10,000g・cm²(10K)に近づけることで、ミスヒット時のヘッドのブレを抑え、寛容性を高めるのが主流です。しかし、物理的にMOIを高めようとすると、ヘッドを後方に長く引き伸ばした「ストレッチバック形状」になりがちで、構えた時の見た目に違和感を覚えるゴルファーも少なくありませんでした。
そこで本間が採用したのが「カーボンロールテクノロジー」です。これは、従来のドライバーのようにチタンのフレームにカーボンの板(パネル)を接着するのではなく、ボディの中間部分(クラウンからソールにかけて)を継ぎ目のない一体成型のカーボンで作り上げるという画期的な製法です。(出典:本間ゴルフ公式サイト)
この技術のすごいところは、接着するための「のりしろ」や補強リブが不要になるため、ヘッドの構造から無駄な重量を徹底的に排除できる点にあります。そうして生み出された「余剰重量」を、ヘッド後方の最も効果的な位置に戦略的に再配置することで、オーソドックスで美しいヘッド形状を保ったままMOIを極限まで高めることに成功したんです。まさに機能美を追求する、酒田工場のクラフトマンシップの結晶と言える技術ですね。
フィーリングを損なわない調整機能「ノン・ローテーティング・システム」
もう一つの本間ならではの強みが、独自のネック調整機能「ノン・ローテーティング・システム」です。いわゆる「カチャカチャ」機能ですが、他社のものとは根本的に構造が異なります。
多くのメーカーの調整機能は、シャフトの先端についているスリーブを回転させることでロフト角やライ角を変えます。しかしこの方式だと、調整のたびにシャフト自体が回ってしまい、シャフトの硬い部分であるスパインの位置や、グリップのバックラインの位置が変わってしまうというデメリットがありました。
その点、本間のシステムは、スリーブは固定されたまま、その周りのリングを回して調整する仕組み。これにより、どれだけ設定を変えてもシャフトは一切回転せず、常に同じフィーリングでスイングできるという大きなメリットがあります。さらに、本間はすべてのシャフトのスパインを6時方向(フェース面下)に管理して組み上げる「P-SAT 精密スパイン管理」を徹底しており、この調整機能と組み合わせることで、クラブの性能を最大限に引き出しているんです。この細部へのこだわりこそ、本間ゴルフが多くのゴルファーから信頼される理由だと思います。
驚きの試打評価とリアルな口コミ
さて、素晴らしいテクノロジーが搭載されていることは分かりましたが、ゴルファーにとって一番大事なのは「実際に打ってどうなのか?」という点ですよね。私も気になって、プロのインプレッションからネット掲示板の書き込みまで、様々な評価や口コミを調べてみました。
全体的な傾向として、やはり「性能」と「感性(打感や見た目)」の両面で非常に高い評価を得ていることが分かりました。もちろん、中にはネガティブな意見もありましたので、両方を公平に見ていきましょう。
ポジティブな評価で特に多かった声
- 「どこに当たっても真っ直ぐ行く」異次元の直進性
これは特に「TW767 MAX」モデルに集中していた評価です。MOI 10Kの恩恵は絶大で、「明らかにOBの数が減った」「ヒールやトウに当たったときの飛距離ロスが少ない」といった実戦的な効果を実感している人が非常に多かったです。物理的なやさしさを求めるゴルファーにとっては、これ以上ない武器になりそうですね。 - 「吸い付くような」HONMAならではの打感・打音
海外メーカーのドライバーが「バキッ!」という硬質で乾いた打音なのに対し、TW767は「ボスッ」という、ボールがフェースに長く乗っているような凝縮感のある打音が特徴的です。これは、新開発された高強度βチタン「ZAT-158Ti」フェースと、エネルギーロスを抑える一体成型ボディの相乗効果によるものだと考えられます。フィーリングを重視する日本のゴルファーの感性に、見事にマッチしている点が高く評価されていました。 - 「目標にスッと構えられる」美しいヘッド形状
性能を追求した結果、ヘッドが大きすぎたり、被って見えたりして構えにくいと感じるクラブも少なくありません。しかしTW767は、どのモデルも非常にオーソドックスで座りが良く、「ターゲットに対してスクエアに構えやすい」という声が圧倒的でした。この構えやすさが安心感につながり、ナイスショットの確率を高めてくれるという意見は、まさに本間の真骨頂と言えるでしょう。
一方で、購入をためらう懸念点も…
- ドライバー10万円超えという「価格の壁」
やはり最も多く見られたのが価格に関する指摘です。ドライバーの定価が税込107,800円〜という設定は、なかなか簡単には手が出せない金額ですよね。この価格は、最高品質の素材や、酒田工場での精密な製造工程にかかるコストが反映されたものですが、それでも競合他社のモデルと比較して割高に感じるユーザーがいるのは事実です。性能に見合う価値を見出せるかどうかが、購入の大きな分かれ目になりそうです。 - MAXモデルの強すぎる「つかまり」
スライサーにとっては救世主となる「TW767 MAX」のドローバイアス設計ですが、元々ボールが捕まるゴルファーやフッカーが使うと、「つかまりすぎて左へのミスが怖い」という意見もありました。自分の持ち球とは逆の性能のクラブを選んでしまうと、かえってスコアを崩す原因にもなりかねません。購入前の試打は必須と言えそうです。
これらの評価を総合すると、TW767ドライバーは「価格に見合うだけの圧倒的な性能と所有感を満たす品質を兼ね備えたクラブ」であり、「ただし、最高のパフォーマンスを得るためには、3つのモデルの中から自分に合ったものを正しく選ぶ必要がある」と言えそうです。
3モデルのドライバーを性能比較
では、その重要な「モデル選び」で失敗しないために、3つのドライバー(TW767 MAX、TW767、TW767 LS)の性能とターゲットゴルファーを、さらに深く掘り下げて比較していきましょう。それぞれに明確な役割があるので、自分のスイングタイプやゴルフの悩みに照らし合わせながら読んでみてください。
TW767 MAX ドライバー:シリーズ最高の寛容性でスライスを撲滅
まず最初に紹介するのは、シリーズの中で最も「やさしさ」に特化した「MAX」モデルです。このドライバーの使命は、とにかくボールを曲げずに、楽に高く遠くへ飛ばすこと。そのために、いくつかの特徴的な設計が施されています。
- 最大の投影面積とMOI:3モデルの中でヘッドの投影面積が最も大きく、構えた時の安心感は抜群です。慣性モーメントも10,000g・cm²を大きく超えるシリーズ最大値を誇り、芯を外したときのヘッドのブレを極限まで抑制します。
- 深重心&大重心角:ヘッド内部のウェイトを後方(ヒール寄り)に配置することで、重心を深く、そして重心角を大きく設計しています。これにより、インパクトでフェースが自然に返りやすく、ボールをオートマチックに捕まえることができます。
- 明確なドローバイアス:意図的にボールが捕まるように設計されているため、多くのゴルファーが悩むスライスを効果的に軽減してくれます。今まで右のOBに泣かされてきた方にとっては、まさに福音となるでしょう。
このモデルは、ドライバーの安定性を最優先したいアベレージゴルファーや、長年スライスに悩んできたエンジョイゴルファーに、自信を持っておすすめできる一本です。
TW767 ドライバー(無印):操作性と安定性を両立したアスリートスタンダード
次に紹介するのは、シリーズの中核をなすスタンダードモデル、通称「無印」です。このモデルは、MAX同様に10Kの高い慣性モーモーメントを持ちながらも、アスリートが好む操作性を絶妙なバランスで融合させているのが特徴です。
- オーソドックスなヘッド形状:MAXに比べると少し引き締まった、伝統的で美しい洋ナシ型のヘッドシェイプを採用しています。これにより、寛容性を持ちながらも、弾道をコントロールしたいというゴルファーの感性に応えてくれます。
- ニュートラルな重心設計:MAXほど極端なドローバイアスではなく、よりニュートラルな重心設定になっています。そのため、「つかまりすぎる」という感覚がなく、ストレートから軽いドローボールを打ちたいゴルファーに最適です。
- 打感と弾きの黄金比:弾き感の強いMAXと、操作性重視のLSの中間に位置する、心地よい打感と力強い弾きのバランスが絶妙だと評価されています。
このモデルは、スコアメイクを真剣に考えるアスリート志向のアマチュアや、海外ブランドの10Kドライバーでは「つかまりすぎる」「打感が合わない」と感じていた中級者に、ぜひ試してもらいたいですね。
TW767 LS ドライバー:強弾道で飛ばすハードヒッター向けモデル
最後は、その名の通り「ロースピン(Low Spin)」を追求した「LS」モデルです。これは、ヘッドスピードが速いゴルファーが、パワーをロスなく飛距離に変えるために設計された、アスリート向けのドライバーです。
- 小ぶりな450ccヘッド:ヘッド体積を少し小さい450ccにすることで、空気抵抗を減らし、操作性を向上させています。自分でフェースを積極的にターンさせてボールを捕まえにいくスイングと非常に相性が良いです。
- 浅重心設計:ウェイトをフェース寄りに配置した浅重心設計により、バックスピン量を大幅に抑制。これにより、吹け上がらない強烈な中弾道が生まれ、着弾してからのランも期待できます。
- 左へのミスを恐れない:MOIは約8600g・cm²と他のモデルよりは低いですが、その分、叩きにいっても左に引っかけるミスが出にくいのが最大のメリット。左へのミスを絶対に消したい上級者やハードヒッターにとって、これほど頼もしいクラブはありません。
このモデルは、ヘッドスピード45m/s以上のパワーヒッターや、スピン量が多くて飛距離をロスしている上級者に最適な選択肢となるでしょう。
| 比較項目 | TW767 MAX | TW767 (無印) | TW767 LS |
|---|---|---|---|
| ヘッド体積 | 460cc | 460cc | 450cc |
| MOI (慣性モーメント) | 10K+ (シリーズ最大) | 10K | 約8600g・cm² |
| 重心特性 | 深重心・大重心角 (ドロー) | 中重心 (ニュートラル) | 浅重心 (フェードバイアス) |
| 弾道 | 高弾道・ハイドロー | 中高弾道・ストレート | 中弾道・ロースピン |
| ターゲットユーザー | スライサー、アベレージ | 中級者、アスリートアマ | 上級者、ハードヒッター |
純正シャフトの振動数と特性
本間ゴルフのクラブを語る上で絶対に外せないのが、自社で開発・生産している超高品質な純正シャフト「VIZARD(ヴィザード)」の存在です。多くのメーカーがコストダウンのために外部メーカー製の安価なシャフトを「純正」として採用する中、本間はヘッドの性能を100%引き出すために、シャフトまで自社で作り込むというこだわりを貫いています。この「VIZARDエコシステム」こそが、本間の製品力を支える大きな柱なんです。
TW767シリーズでは、ゴルファーのスイングタイプに合わせて最適化された4種類の「VIZARD EZ」シリーズがラインナップされています。それぞれの特性を理解すれば、リシャフトしなくても自分にピッタリの一本が見つかる可能性がぐっと高まりますよ。
VIZARD EZ-C (Standard / Center)
癖のない中調子で、シャフト全体が素直にしなるタイプです。タイミングが取りやすく、どんなスイングタイプにもマッチしやすい、まさにスタンダードなシャフト。特定の悩みがない方や、クラブ本来の性能を味わいたい方は、まずこの「EZ-C」から試してみるのが良いでしょう。
VIZARD EZ-A (Active / Tip)
シャフトの先端側がしなる先中調子。先端が走る(しなり戻りが速い)ことで、インパクトでヘッドを加速させ、ボールを拾い上げてくれます。球が上がりにくい人や、スライス気味で捕まりを良くしたい人、もっと飛距離を伸ばしたい人に適しています。
VIZARD EZ-P (Prompt / Tip-Stiff)
手元と先端の剛性を高め、シャフトの中間部がしなるように設計された中元調子です。インパクトでヘッドが暴れにくく、当たり負けしないのが特徴。パワーがあってもしっかり叩きにいけ、左への引っ掛けを嫌うフッカーや、弾道をコントロールしたいゴルファーに好まれます。
VIZARD EZ-Z (Strong / High-Kick)
手元側が大きくしなる元調子で、先端剛性が非常に高いハードヒッター向けのシャフトです。切り返しで深いタメを作ることができ、インパクトでは余計なスピンをかけずにボールを強く押し込めます。カスタムシャフトで言うと「ベンタスブラック」や「ディアマナWS」のような特性に近く、スピン過多に悩むパワーヒッターのポテンシャルを最大限に引き出してくれます。
振動数については、同じフレックス(例えばS)でもモデルによって全く異なります。「EZ-C 5S」の振動数が約250cpmだとすると、「EZ-Z 6S」では265cpmを超えることもあり得ます。単純なスペックだけでなく、実際に振ってみて自分のスイングリズムに合う「しなり」を感じられるかどうかが、シャフト選びで最も重要なポイントですね。
シャフトの互換性と調整機能
TW767ドライバーの魅力をさらに高めているのが、シャフト性能を最大限に活かすための調整機能です。先ほども触れましたが、「ノン・ローテーティング・システム」は、本間を選ぶ大きな理由になるほど画期的なシステムだと私は考えています。
一般的な調整機能付きドライバーでは、ロフト角を1度増やすと、フェースアングルは1度クローズになり、ライ角もアップライトになる、というように複数の要素が連動して変化してしまいます。さらに、シャフト自体が回転するため、こだわって挿したシャフトのロゴの向きや、グリップのバックラインの位置がズレてしまい、構えた時の違和感につながることがありました。
しかし、本間のシステムでは、ロフト角、ライ角、フェースアングルを、それぞれ独立して(あるいは連動させて)調整できる上に、シャフトは一切回転しません。これは、フィーリングを非常に大切にする上級者やプロにとって、計り知れないメリットがあります。
「P-SAT 精密スパイン管理」の重要性
カーボンシャフトは製造工程上、どうしても硬い部分(スパイン)と柔らかい部分ができてしまいます。このスパインの向きがバラバラだと、シャフトのしなり方が不安定になり、弾道がばらつく原因になります。本間は、すべてのシャフトでこのスパインをフェース下側(6時方向)に精密に管理して組み付けています。「ノン・ローテーティング・システム」は、この最高の状態を、どんな調整をしても維持し続けるための仕組みでもあるんです。
互換性に関してですが、TW767のスリーブは、前作のTW757シリーズとは互換性があると言われています。しかし、それ以前のモデル(例えばTR20やTW747など)とは形状が異なるため、基本的には装着できません。もし過去のモデルのVIZARDシャフトを使いたい場合は、スリーブの交換が必要になります。ただし、こうした改造はメーカー保証の対象外となる可能性が高いです。
互換性や調整方法に関する最も正確な情報については、必ず本間ゴルフの公式サイトを確認するか、専門知識のあるゴルフショップのフィッターに相談することを強く推奨します。自己判断での改造は、クラブの破損につながる危険性もありますので注意してくださいね。
本間 ゴルフ tw767 アイアン選びの完全ガイド
ドライバーの革新的な性能に注目が集まりがちですが、ゴルフというゲームのスコアを最終的に左右するのは、やはりアイアンショットの精度です。実は、このTW767シリーズはアイアンの評価が非常に高く、特に「打感」にこだわる多くのゴルファーから絶賛されています。ここでは、性能やターゲットが明確に異なる各モデルを徹底比較し、あなたのゴルフスタイルを次のレベルに引き上げるための、最適なアイアン選びをナビゲートします。
Vx、Px、Hxのアイアン比較
TW767のアイアンは、ゴルファーがアイアンに求める性能(操作性、飛距離、寛容性)に応じて、大きく分けて「Vx」「Px」「Hx」という3つのモデルが用意されています。(さらに上級者向けの「Tour V」というマッスルバックもありますが、ここでは主な3モデルに絞って解説します)
これら3つのモデルは、単に見た目が違うだけでなく、ヘッドの構造や使われている素材からして全くの別物です。まずは、それぞれのアイデンティティを一覧で確認してみましょう。
| モデル名 | TW767 Vx | TW767 Px | TW767 Hx |
|---|---|---|---|
| 構造 | 一体成型 軟鉄鍛造キャビティ | 複合素材 ポケットキャビティ | 中空構造 (ホローボディ) |
| ヘッド素材/フェース | ボディ: S20C軟鉄 フェース: クロムバナジウム鋼 |
ボディ: S25C軟鉄 フェース: Lカップフェース |
ボディ: 鋳造 フェース: 高強度マレージング鋼 |
| ロフト角 (7番) | 30度 | 29度 (推定) | 非公表 (推定28度前後) |
| 特徴 | 最高の打感と操作性 アスリート好みの形状 |
高弾道と飛距離性能 ミスヒットへの強さ |
シリーズ最大の寛容性 楽にボールが上がる |
| ターゲット H/S (目安) | 40~48m/s | 38~45m/s | 35~43m/s |
※ロフト角などの一部スペックは公表されていないため、モデルの特性から推定した数値を記載しています。
この表を見るだけでも、それぞれのモデルが全く異なるゴルファーをターゲットにしていることがよく分かりますよね。「Vx」は伝統的な製法でフィーリングを追求し、「Px」と「Hx」は複合素材や新しい構造を取り入れて、飛距離や寛容性といった現代的なニーズに応えています。まさに、本間の伝統と革新が共存するラインナップと言えるのではないでしょうか。
モデル別の違いとおすすめゴルファー
では、この3つのモデルが、具体的にどのようなゴルファーにマッチするのか、それぞれの長所と短所を交えながら、さらに詳しく見ていきましょう。ご自身のプレースタイルやアイアンに求めるものを考えながら読み進めてみてください。
TW767 Vx:打感を極めたい、向上心のあるゴルファーへ
この「Vx」は、シリーズの中核を担うモデルであり、本間ゴルフのアイアン作りの真髄が詰まった一本と言えます。ボディには非常に柔らかい「S20C軟鉄」を使い、一体鍛造で作られているため、インパクトでの吸い付くような打感は格別です。
見た目はシャープなハーフキャビティで、トップブレードも薄く、構えた時の顔はまさしくアスリートモデル。しかし、単に難しいだけのアイアンではありません。4番から8番までのトゥ側にタングステンウェイトを内蔵することで、重心位置をフェースセンターに近づけ、見た目からは想像できないほどの打点ブレに対する強さ(寛容性)を確保しています。操作性も高く、ドローやフェードといった球筋の打ち分けも容易なので、自分の技術でボールを操りたいという向上心のあるゴルファーに最適です。「最高の打感と、スコアメイクに必要な実戦的なやさしさを両立したい」という、欲張りな中級者から上級者まで、幅広い層を満足させてくれるアイアンです。
TW767 Px:飛距離不足を解消したい、賢いアベレージゴルファーへ
「Px」は、アイアンにもドライバー並みの飛距離を求める現代のゴルファーのニーズに応える「飛び系アイアン」です。その飛距離性能の秘密は、フェース下部まで反発エリアを広げた「Lカップフェース構造」にあります。
これにより、少しトップ気味の薄い当たりでもボールを力強く弾き、飛距離のロスを最小限に抑えてくれます。ロフト角もVxより1度ほど立っている(ストロングロフト)傾向にありますが、ポケットキャビティ構造による深低重心設計のおかげで、ボールはしっかりと高く上がります。ソール幅も広めで、少しダフリ気味のショットにも強い。グースネックがボールの捕まりを助けてくれるので、「最近アイアンの飛距離が落ちてきた」「もっと楽にグリーンを狙いたい」と感じているアベレージゴルファーにとって、非常に心強い味方となってくれるでしょう。打感はVxに比べると弾き感が強いですが、直進性と安定性はピカイチです。
TW767 Hx:とにかくミスに強く、ゴルフを楽しみたいすべてのゴルファーへ
「Hx」は、中空構造(Hollow Body)を採用した、シリーズの中で最も寛容性が高いモデルです。アイアンが苦手な方や、ゴルフを始めたばかりの方でも、ナイスショットの確率を格段に上げてくれます。
ヘッド内部が空洞になっているため、そこで生まれた余剰重量をヘッドの周辺に配置することができ、慣性モーメント(MOI)を最大化しています。フェースには反発力の高いマレージング鋼を採用し、まるでユーティリティのようにボールが楽に上がって飛んでいきます。特に、苦手な人が多いロングアイアンでも、高弾道でグリーンに止められるのは大きなメリットです。中空アイアンはボテッとした形状になりがちですが、Hxはトップブレードの厚みなどを調整し、構えた時に違和感のないスマートな見た目に仕上げているのも本間らしい配慮ですね。スコアに一喜一憂するよりも、ミスを気にせずゴルフを楽しみたいというエンジョイゴルファーに、ぜひ一度試してほしいアイアンです。
秀逸な打感のVxアイアン評価
TW767アイアンのラインナップの中でも、特にゴルフ専門メディアや上級者から絶賛されているのが、アスリートモデルの「Vx」です。その評価の多くは、「一度打ったら忘れられない」と言われるほどの、卓越した打感に集中しています。
なぜ、Vxの打感はこれほどまでに人を魅了するのでしょうか。その最大の理由は、ヘッドのボディ素材に採用されている「S20C軟鉄」という素材にあります。一般的に軟鉄鍛造アイアンでよく使われる「S25C」という素材に比べて、「S20C」は炭素の含有量が少ないため、金属組織がより柔らかく、粘りがあります。この素材を、本間が世界に誇る山形県の酒田工場で、熟練の職人が一体鍛造製法で叩き上げていくことで、インパクトの瞬間にボールがフェースに長く食いつき、そして柔らかく押し出されるような、独特のフィーリングが生まれるのです。
「打音が良い」は「打感が良い」につながる
人間が感じる「打感」というのは、実は手のひらに伝わる振動だけでなく、耳から入る「打音」にも大きく影響されると言われています。Vxアイアンは、ヘッド内部の構造を緻密に設計することで、インパクト時に発生する余計な高周波の振動を抑制し、ゴルファーが心地よいと感じる周波数の音だけを響かせるように作られています。「パシッ」という乾いた音ではなく、「クシュッ」とボールが潰れるような音。この澄んだ打音が、極上の打感という評価につながっているんですね。
しかし、Vxの魅力は単に打感が柔らかいだけではありません。フェース素材には反発力と耐久性を両立したクロムバナジウム鋼を採用し、鍛造アイアンとは思えないほどのボール初速を実現。さらに、前述のタングステンウェイトの効果により、芯を外した際の飛距離の落ち込みや方向性のブレも最小限に抑えられています。
「伝統的な軟鉄鍛造のフィーリング」と「現代のクラブに求められる寛容性と飛距離性能」。この相反する要素を、これほど高い次元で融合させたVxアイアンは、まさに「現代的軟鉄鍛造の到達点」と呼ぶにふさわしい名器かもしれません。
FWとUTの性能もチェック
ドライバーとアイアンの間に位置し、ロングホールの攻略や難しいライからのショットなど、重要な役割を担うフェアウェイウッド(FW)とユーティリティ(UT)。TW767シリーズはもちろん、これらのクラブも非常に高い完成度を誇っています。
フェアウェイウッド(FW):低重心化で上がりやすく、戦略的な番手も
TW767のフェアウェイウッドは、ドライバーのテクノロジーを継承しつつ、地面から打つクラブとしてのやさしさを徹底的に追求しています。特に3番ウッド(3W)と、少しロフトの多い3番ハイローンチ(3HL / 16.5°)には、クラウン部分にカーボン素材を採用しています。これにより、ヘッド上部の重量を大幅に削減し、極限までの低重心化を達成。重心が低いと、フェースの下目に当たりやすい地面からのショットでも、ボールをしっかりと高く打ち出すことができるんです。
私が特に注目しているのは、「3HL(16.5°)」という番手の存在です。近年のドライバーやボールは低スピン化が進んでおり、アマチュアゴルファーの中には「3番ウッドだとボールが上がりきらず、キャリーが出ない」という悩みを抱えている人が少なくありません。この3HLは、一般的な4番ウッドに近いロフト角で、やさしく高弾道を打ちながら、3番ウッドに迫る飛距離を得られるという、まさに「いいとこ取り」のクラブ。2打目でグリーンを狙いたいロングホールなどで、非常に強力な武器になってくれるはずです。
ユーティリティ(UT):アイアン感覚で狙える操作性
TW767のユーティリティは、丸っこいウッド型というよりは、少し角張ったアイアンに近い形状をしています。これは、ターゲットに対してスクエアに構えやすく、方向性を出しやすいというメリットがあります。ウッド型のユーティリティにありがちな、「つかまりすぎて左に引っかけてしまう」というミスを嫌うゴルファーにとっては、非常に構えやすく、安心感のある顔つきに感じるでしょう。
内部の重心設計も、つかまりすぎを抑えるように工夫されており、アイアンと同じ感覚でターゲットをデッドに狙っていくことができます。ロフトが立ったU3(19°)やU4(21°)には、反発性能の高いカップフェース構造を採用し、飛距離性能もしっかりと確保。ロングアイアンの代わりとして、やさしくグリーンをキャリーで狙いたい場面で、その真価を発揮してくれます。
最新の中古相場と賢い買い方
「TW767の性能は素晴らしいけど、新品は予算的にちょっと…」そう考える方も多いと思います。ご安心ください。発売から少し時間が経ち、中古市場にも状態の良いクラブが徐々に流通し始めています。ここでは、最新の中古相場と、後悔しないための賢い買い方について解説します。
2024年末時点での中古相場(目安)
中古品の価格は、クラブの状態(傷の多さなど)、シャフトの種類、そして需要と供給のバランスによって常に変動します。あくまで一般的な目安として参考にしてください。
- ドライバー:試打で使われた程度の美品や、状態の良いもので40,000円台後半から60,000円台。特にカスタムシャフト装着モデルは高値で取引される傾向があります。
- フェアウェイウッド / ユーティリティ:15,000円~25,000円程度が相場感。こちらもシャフトによって価格差が出やすいです。
- アイアンセット (5本):70,000円~100,000円前後。特に人気の「Vx」モデルは、値下がりしにくいかもしれません。
中古クラブ購入時の最重要チェックポイント
中古クラブは価格が魅力ですが、購入前に必ず確認してほしい点がいくつかあります。
- スペックの確認:ロフト角、ライ角、シャフトの種類やフレックスなど、自分に合わないスペックのものを買っても宝の持ち腐れです。特に、カスタムオーダーされたものはライ角などが調整されている可能性もあるので注意が必要です。
- クラブの状態:フェースやソールの傷は性能に大きく影響しませんが、ネック周りに凹みや歪みがないか、シャフトに深い傷がないかは必ずチェックしましょう。
- 信頼できる店舗か:可能であれば、保証制度がしっかりしている大手の中古ゴルフショップで購入するのが安心です。オンラインで購入する場合も、返品ポリシーなどを事前に確認しておきましょう。
後悔しないための賢い購入フロー
私がおすすめする最も賢い買い方は、以下のステップです。
- ステップ1:徹底的に試打する
まずは量販店やゴルフ工房、メーカーの試打会などで、気になるモデルを実際に打ってみましょう。ヘッドだけでなく、VIZARDの各種シャフトも試して、自分にとっての「ベストな組み合わせ」を見つけ出すことが最も重要です。 - ステップ2:ターゲットスペックを決定する
試打の結果をもとに、「TW767 MAX ドライバー 10.5°、シャフトはVIZARD EZ-A 5S」といったように、購入したいクラブのスペックを具体的に確定させます。 - ステップ3:中古市場で探す
確定したスペックを元に、中古ゴルフショップのオンラインストアや実店舗で、条件に合うものを探します。急いでいなければ、価格が下がるのを少し待つのも一つの手です。
この手順を踏めば、「安かったけど自分には合わなかった…」という最悪の事態を避けることができます。新品の価格と中古の価格を比較して、保証や安心感を考慮した上で、最終的にどちらで購入するかを判断するのが良いでしょう。
まとめ:あなたに合う本間 ゴルフ tw767
さて、ここまで本間ゴルフの最新作「TW767」シリーズについて、ドライバーからアイアンまで、非常に長い時間をかけて深掘りしてきました。最後に、この記事でお伝えしてきたことの核心を、改めてまとめておきたいと思います。
このTW767シリーズが持つ最大の価値は、テーラーメイドやピンといった海外のトップブランドが誇る物理的な高性能(MOI 10Kに代表される寛容性)と、本間ゴルフが長年培ってきた日本のモノづくりの精神(ゴルファーの感性に訴えかける美しい形状や、吸い付くような打感)という、本来であれば相反する二つの要素を、極めて高い次元で融合させた点にあると、私は結論づけます。
これを踏まえて、あなたのゴルフスタイルや悩みに合わせた、具体的なクラブの組み合わせを提案させてください。
タイプ別・おすすめセッティング例
- スライスに悩み、とにかくゴルフを楽に楽しみたいあなたへ
ドライバー:TW767 MAX
アイアン:TW767 Hx or Px
解説:MAXドライバーの強力なドローバイアスと高慣性モーメントが、OBの恐怖からあなたを解放してくれます。アイアンは、最大限のやさしさを誇るHxか、飛距離性能もプラスしたPxを選ぶことで、アイアンショットのストレスが激減し、ゴルフがもっと楽しくなるはずです。 - スコアアップを目指す、向上心のあるアベレージ~中級者のあなたへ
ドライバー:TW767 (無印)
アイアン:TW767 Vx
解説:安定性と操作性を両立した無印ドライバーで、安定したティーショットを。そして、最高の打感と実戦的な寛容性を備えたVxアイアンで、グリーンを狙う精度を高めていく。この組み合わせは、あなたのゴルフを確実に次のステージへと引き上げてくれるポテンシャルを秘めています。 - パワーと技術でコースをねじ伏せたい、上級者・ハードヒッターのあなたへ
ドライバー:TW767 LS
アイアン:TW767 Vx or Tour V
解説:LSドライバーの低スピン・強弾道で、圧倒的な飛距離のアドバンテージを築きます。アイアンは、繊細なコントロールが可能なVx、あるいはさらに純粋な操作性を求めるならマッスルバックのTour Vを選ぶことで、ピンをデッドに狙うゴルフが展開できるでしょう。
もちろん、これはあくまで一般的な組み合わせの一例です。あなたに合う本間 ゴルフ tw767の最適なセッティングは、あなたのスイングの中にしか答えはありません。
この記事を読んで、少しでもTW767シリーズに興味が湧いたなら、それはもう運命かもしれません。ぜひ一度、お近くのゴルフショップや練習場の試打会に足を運んで、その手に取って、実際にボールを打ってみてください。テクノロジーの数値だけでは決して分からない、クラブが持つ「声」が聞こえてくるはずです。その声が、あなたのゴルフライフをより豊かにしてくれることを、心から願っています。



