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ゴルフグリップの太さ完全ガイド!選び方で変わる飛距離と方向性

ゴルフグリップの太さ完全ガイド!選び方で変わる飛距離と方向性 Column

こんにちは、19番ホール研究所のthe19thです。

ゴルフグリップの太さって、クラブフィッティングの中でも特にパーソナルな部分で、正直どれを選べばいいか本当に悩みますよね。ショップに行けばたくさんの種類が並んでいますし、太いグリップのメリットやデメリット、逆に細いグリップだと飛距離は本当に伸びるのか…など、考え始めるとキリがありません。巷では「フック防止には太めがいい」とよく聞きますが、私のようにスライスに悩んでいるゴルファーはどうすればいいのか、という疑問も尽きないですよね。さらに一歩踏み込んで、グリップに書いてあるm58とm60の違いって何?とか、プロがやっている下巻きテープでの調整方法、最近よく耳にするプラス4(テーパーレス)という形状の効果も気になるところかなと思います。自分に合った正しい測り方や明確な目安が分かれば、もっとクラブに愛着が湧き、スイングにも自信が持てるはずです。

この記事では、そんな複雑で奥が深いゴルフグリップの太さに関するあらゆる疑問を、一つひとつ丁寧に、そして徹底的に解き明かしていきます。この記事を読み終える頃には、あなたも自分にぴったりのグリップを見つけるための羅針盤を手に入れているはずです。次のラウンドを、最高の相棒と一緒に、もっと楽しいものにしていきましょう。

  • グリップの太さがスイングの力学に与える根本的な影響がわかる
  • フックやスライスといった自分のミスの傾向に合わせた最適な選び方がわかる
  • 下巻きテープやコアサイズなど、専門的で精密な調整方法がわかる
  • 自分に本当に合うグリップの太さを見つけるための具体的な測定方法がわかる
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ゴルフグリップの太さがスイングを変える仕組み

グリップは、ゴルファーの身体とクラブという道具を繋ぐ、たった一つの、そして最も重要な接点(インターフェース)です。だからこそ、その太さがほんの数ミリ変わるだけで、スイング中の感覚やエネルギーの伝わり方、そして最終的な球筋までがガラッと変わってしまうんです。まずは、太いグリップと細いグリップが、それぞれスイングにどのような物理的な影響を与えるのか、その基本的な特性からじっくりと見ていきましょう。

太いグリップのメリットとデメリット

太いグリップ(ミッドサイズやジャンボサイズ、または下巻きを増やしたもの)がもたらす最大の恩恵は、手首の不要な動き(リストワーク)を物理的に抑制してくれる点にあります。細い棒を握るとき、私たちは無意識に指先で「つまむ」ように力を入れ、前腕の筋肉が緊張しがちです。しかし、太いグリップは指の曲がる角度が浅くなり、指先というよりは手のひら全体(パーム)でクラブを「包み込む」ような握り方、いわゆるパームグリップに近くなります。

この状態は、手首のコックやローテーションといった動きに自然なブレーキをかけてくれます。結果として、インパクトゾーンでのフェース面の開閉が非常に穏やかになり、ボールが左右に散らばるのを劇的に抑え、方向性を格段に安定させることができるんですね。

【太いグリップのメリット】

  • 方向性の安定化:手首の過剰な動きが抑制され、フェースローテーションが緩やかになるため、ショットの再現性が高まる。
  • グリッププレッシャーの適正化:接触面積が広いため、弱い力でもクラブをしっかり保持できる。これにより、スイング中の不要な力みが抜け、スムーズな始動やリズムの安定に繋がる。
  • 左へのミスの軽減:フェースが急激に返りにくくなるため、特にフックやチーピンに悩むゴルファーにとっては物理的な「お守り」として機能する。
  • 保持の容易さ:握力の弱いシニア層や女性、あるいは関節炎などで指を曲げにくい方にとっても、クラブの保持が楽になるという大きな利点がある。

しかし、もちろん良いことばかりではありません。メリットは、裏を返せばデメリットにもなり得ます。手首の動きが制限されるということは、リストターンを積極的に使ってヘッドを「走らせる」動きがしにくくなることを意味します。これにより、最大飛距離は若干落ちてしまう可能性があります。また、フェースを閉じる動きが抑制されるため、元々スライス系のボールが出るゴルファーが使うと、インパクトでフェースが開きやすくなり、右へのプッシュアウトを助長してしまう危険性もはらんでいます。

【太いグリップのデメリット】

  • 飛距離ロスの可能性:ヘッドスピードの源泉であるリストワークが使いにくくなるため、最大飛距離が落ちることがある。
  • 球の捕まりにくさ:フェースを返す動きがしにくくなるため、スライサーが使うと症状が悪化することがある。
  • 操作性の低下:意図的にボールを曲げるインテンショナルショットや、フェースの開閉が重要なバンカーショットなど、繊細なコントロールが求められる場面では扱いづらく感じることがある。

このように、太いグリップは「安定性」を最大限に高める一方で、「飛距離」や「操作性」とはトレードオフの関係にあると言えるでしょう。

細いグリップが飛距離に与える効果

太いグリップとは全く逆の特性を持つのが、細いグリップ(スタンダードやアンダーサイズ)です。こちらの最大の特徴は、手首の可動域(モビリティ)を最大限に引き出し、クラブヘッドの運動量を増幅させる能力にあります。細いグリップは、自然と指先(フィンガー)主体で握ることを促します。このフィンガーグリップは、手首の自由度を非常に高く保つことができるため、スイング中のコッキングやリリースの動作を、より鋭敏に、そしてダイナミックに行うことを可能にします。

この特性が、ヘッドスピードの向上、ひいては飛距離アップに直接的に貢献します。ダウンスイングで生まれた「タメ(ラグ)」をインパクトで一気に解放したり、鋭いリストターンでボールを弾き飛ばしたりと、ヘッドを最大限に加速させることができるのです。特に、非力なゴルファーや、もっとヘッドを走らせる感覚が欲しいと考えている方にとっては、飛距離を伸ばすための強力な武器となり得ます。

さらに、リストターンが容易であるということは、フェースを閉じる動きがしやすい、ということでもあります。これはボールの捕まり(キャッチング)を劇的に向上させる効果があります。長年スライスに悩まされているゴルファーや、ここ一番で右へのすっぽ抜けを恐れている方にとって、細いグリップは救世主になるかもしれません。フェースを積極的にローテーションさせることで、ボールに力強いドロー回転を与えやすくなるからです。

【細いグリップのメリット】

  • ヘッドスピードの向上:リストターンを積極的に使えるため、ヘッドが走り、飛距離アップが期待できる。
  • ボールの捕まり向上:フェースを返す動きが容易になり、スライス改善やドローボールの習得に繋がりやすい。
  • 高い操作性:フェースアングルの微細なコントロールがしやすく、インテンショナルボールやアプローチなど、多彩なショットを打ち分けやすい。

一方で、その自由度の高さが諸刃の剣となることもあります。手首が動きやすいということは、それだけスイングの再現性がシビアになるということです。少しでもタイミングがずれると、フェースが返りすぎてしまい、強烈なフックやチーピンといった、左への大きなミスを誘発するリスクも高まります。細いグリップは、飛距離という大きな魅力と引き換えに、安定性の面ではより高い技術を要求されると言えるでしょう。

フック防止に太いグリップが有効な理由

「ドライバーは完璧だったのに、ショートアイアンで左に引っかけてOB…」ゴルファーなら誰しも一度は経験する、あの悔しいミス。そんなフックやチーピンに悩むゴルファーにとって、グリップを太くすることは、あらゆる練習法やスイング改造よりも即効性のある、最も効果的な対策かもしれません。

その理由は極めて物理的でシンプル。グリップが太くなることで、手首の過剰な回内・回外(ローテーション)運動が物理的に制限されるからです。フック系のミスの多くは、インパクトゾーンでゴルファーが意図する以上に左手が仕事をしすぎ、フェースが急激に閉じてしまうことで発生します。太いグリップは、この「やりすぎてしまう動き」に対して、強力な物理的ブレーキとして機能するのです。

想像してみてください。細いボールペンを指先でクルクルと素早く回すのは簡単ですが、太い缶コーヒーを同じスピードで回そうとすると、かなりの力と意識が必要になりますよね。これと全く同じ原理が、スイング中の手首にも働いているわけです。

物理的な抑制効果

太いグリップを握ると、自然と手のひら全体でクラブを支える形になります。これにより、指先でクラブをこねるような動きができなくなり、腕とクラブの一体感が生まれます。その結果、体の回転(ボディターン)主体のスイングへと導かれやすくなり、手先の無駄な動きが根本から排除されるのです。

心理的な安心感

さらに見逃せないのが、心理的な効果です。「左が怖い」という意識は、スイングを萎縮させ、インパクトで体が止まり、結果的に手で合わせにいくという悪循環を生みます。グリップを太くすることで、「物理的に左には行きにくい」という安心感が生まれると、この恐怖心が和らぎます。その結果、フィニッシュまで思い切って体を回せるようになり、かえってスイングがスムーズになるという副次的な効果も期待できるのです。

もしあなたが左へのミスに悩んでいるなら、一度、ミッドサイズやMCC Plus4のようなテーパーレスグリップを試してみる価値は、間違いなくあると言えるでしょう。

スライス改善に役立つグリップ選び

一方で、「ボールが力なく右に曲がっていく…」「捕まった強い球が打てない…」といったスライスに悩むゴルファーは、フッカーとは逆のアプローチ、つまりグリップを標準、あるいは少し細めにしてみることで、問題解決の糸口が見つかる可能性が高いです。

スライスの主な原因は、インパクトの瞬間にフェースが開いた状態でボールに当たってしまうことにあります。この「フェースが開く」という現象を防ぎ、スクエアに戻す(あるいは少し閉じる)動きこそが、ボールを捕まえるための鍵となります。そして、この動きを最も司っているのが、手首のローテーション(リストターン)なのです。

フェースローテーションの促進

細めのグリップは、前述の通り、手首の自由度を最大限に高めてくれます。指先でクラブをコントロールする感覚が強まるため、ダウンスイングからインパクトにかけて、意識的にフェースを閉じていく動きが非常にやりやすくなります。

もし、あなたが今使っているグリップが太すぎて、握った時に指先が手のひらに全く届いていない状態だとしましょう。その状態では、クラブと手の一体感が希薄になり、自分の意思をクラブヘッドに伝えることが困難になります。結果、体の回転にクラブがついてこれず、振り遅れてフェースが開いたままインパクトを迎えてしまうのです。

適正な太さ、もしくは少し細めのグリップに交換することで、クラブを自分の手の一部のように感じられるようになり、自然でスムーズなフェースターンを習得する大きな助けとなります。今まで体験したことのないような、ボールがフェースに食いつき、力強く左に飛んでいく「捕まった」感触を得られるかもしれません。

【グリップ変更時の注意点】

ただし、スライスの原因は多岐にわたります。極端なアウトサイドインのスイング軌道や、体の開きが早いなど、根本的なスイングの問題を抱えている場合、グリップの太さを変えるだけでは完全な解決には至らないこともあります。グリップ変更は、あくまでスイング改善を補助する「ギア的なアプローチ」の一つと捉え、練習と並行して取り組むことが重要ですね。

グリップのm58とm60の違いとは?

グリップを自分で選ぼうとすると、必ず目にする「M60」や「M58」、「M62」といった謎の数字。これはグリップの内径、つまり「コアサイズ」をインチ表記で示したものです。この数字を理解することは、グリップの太さを精密にコントロールする上で避けては通れない、非常に重要な知識です。

  • M60:内径が 0.600インチ。現在のゴルフクラブシャフトの標準的な太さであり、最も一般的なメンズサイズです。
  • M58:内径が 0.580インチ。M60よりも内径が狭く、その分、ゴムが肉厚に設計されていることが多いです。
  • M62:内径が 0.620インチ。M60よりも内径が広く、その分、ゴムが肉薄に設計されていることが多いです。

ここで、多くのゴルファーが陥る直感的な誤解があります。それは「内径が小さいM58を挿したら、細く仕上がるだろう」という思い込みです。しかし、現実はその逆。「標準的なM60シャフトに、内径が小さいM58グリップを装着すると、仕上がりは太くなる」のです。私はこれを「コアサイズの逆転の法則」と呼んでいます。

なぜ内径が小さいと太くなるのか?

理由は、ゴムの物理的な性質にあります。外径0.600インチのシャフトに、内径0.580インチのグリップを装着するには、グリップのゴムを物理的に引き伸ばして広げながら挿入する必要があります。伸ばされたゴムは、元に戻ろうとする張力が高まります。さらに、M58グリップは元々肉厚に作られているため、この「引き伸ばされた厚み」が加わることで、最終的な仕上がりの外径は、M60のグリップを装着した時よりも太くなるのです。この効果は、おおよそ下巻きテープを1〜2枚追加したのと同等の「ちょい太」セッティングとなり、フィーリングを重視する多くのプロや上級者に好まれています。

【シャフト径とコアサイズの組み合わせによる仕上がり変化】

この法則を理解すれば、テープを使わずにグリップ選びだけで微妙な太さ調整(マイクロチューニング)が可能になります。

シャフトのバット径 装着するグリップのコアサイズ 仕上がりの太さ
0.600インチ (標準) M60 標準 (Standard)
0.600インチ (標準) M58 やや太い (Oversize)
0.600インチ (標準) M62 やや細い (Undersize)
0.580インチ (細め) M60 細い (Undersize)
0.580インチ (細め) M58 標準 (Standard)

例えば、「標準のM60だと少し細く感じるけど、テープを巻くと硬くなるのが嫌だ」という方は、M58のグリップを選ぶことで、ゴムの肉厚感を活かしたソフトなフィーリングのまま、理想の太さを手に入れることができる、というわけですね。

最適なゴルフグリップの太さを見つける方法

さて、グリップの太さがスイングに与える影響や、専門的なスペックについて理解が深まったところで、いよいよ実践編です。ここからは、星の数ほどあるグリップの中から、あなたにとって唯一無二の「最適な一本」を見つけ出すための、具体的で実践的な方法をステップバイステップで詳しく解説していきます。

グリップ太さの測り方と指の隙間

どんな最新の測定器よりも、結局のところ最も信頼できるのは、自分自身の「手」です。自分に本当に合う太さを見つけるための、最も簡単で、かつ最も確実な方法が、実際にグリップを握ってみて、左手(右利きの場合)の指の状態をチェックする「静的フィッティング」です。

やり方はとても簡単。まずは、ゴルフショップの試打クラブなどで、気になるグリップをいつも通りに握ってみてください。その際、力を入れすぎず、リラックスした状態が理想です。そして、左手の中指と薬指の先端が、手のひらの親指の付け根にあるふくらんだ部分(母指球)に、どのように接触しているかをじっくりと観察します。

【指の接触状態で見る3つのパターン】

  • 【適正サイズ】:中指と薬指の先端が、母指球に「軽く触れるか触れないか」程度。
    これが理想的な状態です。余計な力を入れずにクラブを安定して保持でき、かつインパクトの衝撃にも負けない、最適な密着度が得られます。
  • 【細すぎる場合】:指先が母指球に「深く食い込む、または爪が刺さる」状態。
    この状態では、グリップの中でクラブが動いてしまうのを防ごうと、無意識にぎゅっと強く握りしめてしまいます。これが腕全体の力みや硬直を招き、スムーズなスイングを妨げる最大の原因となります。
  • 【太すぎる場合】:指先が母指球に「全く届かず、隙間が大きく空く」状態。
    これではクラブと手の一体感が著しく損なわれます。「すっぽ抜け」への不安から、やはり無意識に強く握ってしまう悪循環に陥りがちです。また、手首の動きが制限されすぎるため、インパクトでフェースが戻りきらない「振り遅れ」の感覚を生みやすくなります。

より精密な測定を求めるなら

さらに精密なフィッティングを求めるなら、PING社が提供しているカラーコードチャートのような、より科学的なアプローチも参考になります。(参照:PING公式サイト)これは「手のひらの長さ(手首のシワから中指の付け根まで)」と「最も長い指(通常は中指)の長さ」の2つの数値を計測し、マトリクスに当てはめて推奨サイズを導き出す方法です。例えば、手のひらは大きいけれど指が短い人や、その逆の人の場合、単なるグローブサイズだけでは判断できない微妙な差異を補正してくれます。こうしたツールを活用するのも、最適なグリップを見つけるための有効な手段ですね。

グローブサイズから見る太さの目安

「まずは手っ取り早く、自分の基準を知りたい!」という方には、普段お使いのゴルフグローブのサイズを基準にする方法が最も簡便で分かりやすいでしょう。手のひらの大きさや指の長さは、当然ながらグローブのサイズと高い相関関係にあります。もちろんこれはあくまで一次的な指標ですが、グリップ選びの出発点としては非常に有効です。

以下に、一般的なグローブサイズと推奨されるグリップカテゴリの対応表をまとめました。ご自身のサイズと照らし合わせてみてください。

グローブサイズ 推奨グリップカテゴリ 具体的なスペックの目安
22cm以下 アンダーサイズ / レディース M62コアのグリップや、純正のレディース規格品
23cm – 24cm スタンダード (標準) 市販クラブに標準装着されているM60グリップ(下巻き1回)
25cm – 26cm ミッドサイズ M60グリップに下巻きを3〜4回追加、または純正ミッドサイズ品
26cm以上 ジャンボ / オーバーサイズ 純正のジャンボサイズグリップ

この表からも分かるように、多くの日本人男性(23cm〜24cm)にとっては、市販のクラブに最初から装着されているスタンダードサイズのグリップが、概ね適正範囲内であることが多いです。ただし、これはあくまで「平均値」の話。一つ注意点として、海外メーカーのクラブ、特にUS仕様のモデルは、日本の標準よりも少し太めに設定されている(例:下巻きテープが2重だったり、リブなしモデルが標準だったり)場合があります。新品のクラブでも、一度は自分の手で握り心地を確認することが大切ですね。

また、この表は絶対的なものではありません。例えば、グローブサイズは23cmでも、指が特別に長い人は、スタンダードでは細すぎると感じるかもしれません。最終的には、前述した「指の隙間チェック」と合わせて、総合的に判断することが、失敗しないグリップ選びの鍵となります。

下巻きテープによる太さの調整方法

市販されているグリップのサイズは、大まかに「アンダーサイズ」「スタンダード」「ミッドサイズ」「ジャンボ」といった数段階しかありません。しかし、ゴルファーの手の大きさや感覚は千差万別。「スタンダードだと少し細いけど、ミッドサイズだと太すぎる…」そんな微妙な隙間を埋め、自分だけの完璧な太さを0.1ミリ単位で追求するための究極のテクニックが、下巻きテープ(ビルドアップテープ)による微調整です。これはツアープロの世界ではごく当たり前に行われている、極めて重要なカスタマイズです。

テープの種類と厚みの違い

まず知っておくべきは、使用するテープの種類によって厚みが異なるという事実です。

  • 両面テープ (Grip Tape): グリップをシャフトに固定するために必須のテープ。厚みはメーカーによりますが、ゴルフ専用品は厚手で、約0.015インチ(約0.38mm)程度のものが一般的です。
  • マスキングテープ (Build-up Tape): 主に太さを出すためだけに使われる、接着力のない(または片面粘着の)テープ。一般的な厚みは約0.010インチ(約0.25mm)前後。安価で調整しやすいため、重ね巻きに適しています。

ビルドアップの方程式

「テープを何回巻けば、どれくらい太くなるのか?」という目安を知っておくと非常に便利です。

【実践的レシピ例】

  • 「ちょい太 (+1/32インチ)」セッティング:
    多くのプロが好む、操作性を損なわずに安定性を高める絶妙な太さ。これを実現するには、下巻きテープを2〜3回追加するのが目安です。具体的には、マスキングテープを2回巻いた上に、最後に両面テープを1回巻く、といった形ですね。
  • 「ミッドサイズ相当 (+1/16インチ)」への変更:
    スタンダードからミッドサイズ(約1.6mm太い)に近づけるには、計算上、約0.06インチの厚みが必要です。これは、マスキングテープなら約6回、両面テープなら約4回の重ね巻きに相当します。

さらに応用編として、右手で握るグリップの下半分だけテープを多く巻くことで、自作の「テーパーレス」形状を作り出すことも可能です。この際、テープの端を少しずつずらして階段状に巻いていくと、握った時に不自然な段差を感じない、滑らかな仕上がりになります。これはまさに職人技の世界ですが、自分だけの究極のフィット感を追求する楽しみがありますね。

テーパーレス(プラス4)のメリット

近年のゴルフクラブ、特にグリップのトレンドを語る上で絶対に外せないのが、「テーパーレス(Reduced Taper)」あるいは「ノンテーパー」と呼ばれる形状の台頭です。これは、ゴルフグリップの常識を覆す、画期的な設計思想に基づいています。

伝統的テーパー形状の問題点

従来のグリップは、手元(バットエンド)が最も太く、ヘッド側(チップ側)に向かって徐々に細くなる円錐形(テーパー形状)が当たり前でした。しかし、ゴルフのグリップは右手が左手の下に来るため、この形状だと、どうしても右手の指がグリップの細い部分を握ることになります。これが、無意識のうちに右手のグリッププレッシャーを強め、インパクトで右手が悪さをしてフェースをこねてしまったり、返しすぎてしまったりする大きな原因の一つとされてきました。

テーパーレスの革新的な理論

テーパーレス設計は、この問題点を根本から解決するために生まれました。グリップの下部(右手で握る部分)を意図的に太く設計することで、左右の手で握る部分の太さを限りなく均一に近づけるのです。この設計の代表格であり、トレンドの火付け役となったのが、ゴルフプライド社の「MCC Plus4」シリーズです。「Plus4」という名前は、「右手部分に、下巻きテープを4枚(Plus Four wraps)巻いたのと同じ太さ」を、製品の段階で実現していることに由来します。

【テーパーレスグリップがもたらす具体的なメリット】

  • 右手の過剰な動きの抑制: 右手部分が太くなることで、手首だけでクラブを操作する「こねる」「フリックする」といった動きが劇的に抑制されます。これはフックやチーピンの防止に直結し、方向性の安定に大きく貢献します。
  • グリッププレッシャーの均一化: 左右の手で感じる太さが近くなるため、両手に均等な力感で、よりリラックスして握ることができます。これによりスイングの再現性が向上し、プレッシャーのかかる場面でも安定したショットが打ちやすくなります。
  • 効率的なパワー伝達: 右手部分にしっかりとした厚みがあることで、インパクトでボールを「押し込む」感覚が得やすくなります。これにより、エネルギーロスなくボールに力を伝えられると感じるプレーヤーが多く、飛距離アップに繋がるケースもあります。

この考え方はパターの世界では「スーパーストローク」グリップの登場によって既にスタンダードになっていましたが、それがアイアンやウッドにも応用された形です。特に、ボディターンを主体とした現代的なスイング理論との相性は抜群で、一度使うと手放せなくなるゴルファーが続出しています。

太さと重さ、スイングバランスの関係

グリップの太さにこだわり始めると、必ず突き当たるのが「重量」と「スイングバランス(スイングウェイト)」の問題です。これは非常に重要でありながら、多くのゴルファーが見落としがちなポイント。ここを理解せずにグリップ交換を行うと、「なんだかクラブが振りにくくなった…」という予期せぬ結果を招きかねません。

まず大原則として、グリップを太くすると、使用するゴムの量が増えるため、グリップ自体の重量は重くなります。(例:スタンダード50g → ミッドサイズ65g)

クラブの手元側が重くなると、相対的にヘッド側が軽く感じられるようになります。この「ヘッドの効き具合」を示す指標がスイングバランス(D2やC9といった記号で表される)です。つまり、重いグリップに交換すると、スイングバランスは軽く(軽く感じられるように)なります。

【グリップ重量がバランスに与える影響】

一般的に、グリップ重量が約5g増えるごとに、スイングバランスは1ポイント軽くなると言われています。

具体例:
元のクラブ:グリップ50g / バランス D2
交換後:グリップを60gのものに変更(+10g)
結果:バランスは2ポイント軽い D0 に変化

この変化により、ヘッドの重みを感じてタイミングを取っていたゴルファーは、タイミングが早くなってトップが出たり、ヘッドが走る感覚が失われて飛距離が落ちたり、といった弊害が出ることがあります。

バランスを維持するための対策

では、太さのメリットは享受しつつ、スイングバランスは変えたくない場合はどうすれば良いのでしょうか。対策は主に2つあります。

  1. ヘッドに鉛を貼って調整する: バランスを元に戻す最も一般的な方法です。ヘッド側に重量を追加することで、失われたバランスポイントを取り戻します。(約2gの鉛で1ポイント増加)
  2. 軽量素材の太グリップを選ぶ: 近年、技術革新によって、太いのに軽いグリップが数多く登場しています。ブライソン・デシャンボー選手が使用する「JumboMax」のUltraliteシリーズや、IOMIC、SuperStrokeなどの軽量モデルがその代表です。これらのグリップは、ミッドサイズ以上の太さがありながら、重量はスタンダードな50g台に抑えられています。これにより、スイングバランスへの影響を最小限に抑えながら、太さの恩恵だけを受けることが可能になります。

グリップ交換の際は、必ず元のグリップの重量を計測し、新しいグリップの重量と比較検討することをお勧めします。

テープ巻きと純正ミッドサイズの違い

「スタンダードグリップに下巻きテープを5回巻いて太くする」のと、「最初から太く作られた純正のミッドサイズグリップを装着する」。この2つは、仕上がりの外径が全く同じだったとしても、ゴルファーが感じる「握り心地(フィーリング)」は全くの別物になります。この違いを理解することは、自分にとって本当に心地よいグリップを見つける上で、非常に重要な要素となります。

この違いを生み出す根本的な要因は、太さを実現するための物理的なプロセスにあります。

テープビルドアップの場合:硬質でソリッドな感触

下巻きテープで太さを出す場合、ベースとなるのはスタンダードサイズのグリップです。その細いグリップを、内側からテープの層で物理的に押し広げて太くしていきます。この時、グリップのゴムは常に引き伸ばされた状態になり、表面には高い張力がかかります。その結果、握った時の感触は「硬く(Firm)」、しっかりとしたソリッドなフィーリングになります。

この硬質な感触は、インパクトの際の打感がダイレクトに手に伝わりやすいという特徴があります。そのため、フェースのどこに当たったかを繊細に感じ取りたい上級者や、しっかりとした握り心地を好むゴルファーに選ばれる傾向があります。一方で、ゴムが引き伸ばされている分、衝撃吸収性は低下するため、芯を外した時の手に響く振動は大きくなります。

純正ミッドサイズの場合:肉厚でソフトな感触

一方、純正のミッドサイズグリップは、ゴム自体の「肉厚」を増やすことで太さを実現しています。ゴムが引き伸ばされることなく、自然な状態で成形されているため、素材本来の柔らかさや弾力性が最大限に活かされます。その結果、握った時の感触は「柔らかく(Soft)」、クッション性に富んだマイルドなフィーリングになります。

この厚いゴム層は、天然のダンパー(衝撃吸収材)として機能します。そのため、インパクトの衝撃を和らげ、手に優しい打感を求めるゴルファー、例えばシニア層や、肘や手首に不安を抱える方に特に適しています。心地よいフィット感を重視するなら、間違いなくこちらが優位でしょう。

【どちらを選ぶべきか?】

  • 打感のダイレクトさ、ソリッドな感触を求めるなら → テープビルドアップ
  • 衝撃吸収性、マイルドでソフトな感触を求めるなら → 純正ミッドサイズ

どちらが優れているという話ではなく、これは完全に個人の好みの問題です。自分の理想とする「フィーリング」を明確にし、それに合わせて選択することが重要ですね。

最適なゴルフグリップの太さを見つけよう

さて、ここまでゴルフグリップの太さという、非常に深く、そして面白い世界を一緒に旅してきました。メカニズムから選び方、そしてプロレベルの微調整方法まで、様々な角度から掘り下げてきましたが、いかがでしたでしょうか。

グリップ交換は、高価なクラブを買い替えたり、時間のかかるスイング改造に取り組んだりすることなく、今あるクラブの性能を最大限に引き出し、あなたの球筋を劇的に変える可能性を秘めた、最もコストパフォーマンスの高いチューニングだと私は考えています。

最後に、この記事の総まとめとして、あなたが自分にとっての「最適なゴルフグリップの太さ」を見つけ出すための、具体的なアクションプランを提示したいと思います。

  1. 【Step1】現状の正確な把握から始める
    まずは何よりも、今の自分が使っているグリップが適正範囲にあるのかを知ることがスタートラインです。本記事で紹介した「グローブサイズからの目安」を確認し、次に「指の隙間チェック」を実践してみてください。意外と「細すぎた」あるいは「太すぎた」という発見があるかもしれません。
  2. 【Step2】自分のミスの傾向から方向性を決める
    あなたのゴルフを悩ませている、最も解決したいミスの傾向は何でしょうか?

    • 左へのミス(フック、チーピン)を消したい:迷わず「太め」の選択肢を試すべきです。純正ミッドサイズや、MCC Plus4のようなテーパーレス形状は、左への恐怖心を和らげる最高の処方箋となるでしょう。
    • 右へのミス(スライス、プッシュ)を直し、球を捕まえたい:一度「標準または細め」のグリップに戻してみましょう。M62コアのグリップなどを試すことで、今まで使えなかったリストワークが解放され、力強いドローボールへの道が開けるかもしれません。
  3. 【Step3】試行錯誤を恐れず、フィーリングを最優先する
    理論やデータは非常に重要ですが、ゴルフは最終的には「感覚」のスポーツです。たとえ理論的に正しくても、あなたが握って「違和感がある」「気持ちよく振れない」と感じるなら、それは正解ではありません。グリップの素材(ラバー、コード、エラストマー)、下巻きテープの巻き方、コアサイズの組み合わせなど、無数の選択肢があります。グリップは消耗品です。交換のたびに色々な太さや種類に挑戦し、自分だけのベストなセッティングを見つけ出すプロセスそのものを、ぜひ楽しんでみてください。

あなたのクラブと体を繋ぐ、たった数十センチのゴムの筒。その太さにこだわりを持つことは、間違いなく、あなたのゴルフをより深く、そして豊かなものにしてくれるはずです。この記事が、その素晴らしい旅の一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

the19th

40代、ゴルフ歴20年の「ギアオタク」サラリーマンです。ベストスコアは73( HC10)。「シングル」の称号まであと一歩のところで、長年足踏みしています。
「その1打は、ギアで縮まる」を信念に、これまで試打してきたクラブは数知れず。給料のほとんどは最新ギアに消えていきます。
このブログは、20年間こだわり続けた「ギア選び」の記録です。

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