こんにちは!19番ホール研究所のthe19thです。
PINGのクラブ選び、特にドライバーやフェアウェイウッドを検討していると、必ずと言っていいほど直面するのが「純正シャフト、種類が多すぎ問題」じゃないでしょうか。ALTA J CBシリーズだけでもBLACKとSLATE、過去にはREDなんてモデルもあったし、違いって何? PING TOUR 2.0にいたってはCHROMEとBLACKの2種類があって、どっちが自分に合うの?と、カタログやネットの情報だけでは判断に迷ってしまいますよね。特に、ゴルフ仲間から「名器だよ」と聞くPING TOUR 173-65の評価が気になったり、中古でシャフト単体を探すときにG410以降のスリーブ互換性があるのかどうか、すごく不安になったり。もっと言えば、自分のヘッドスピードに対して、どのモデルのどのフレックスが適正なのか、客観的な振動数データも見てみたい…そんな風に感じている方も多いんじゃないかなと思います。
実は、PINGの純正シャフトは他メーカーが提供する「とりあえずの付属品」とは一線を画します。それぞれのヘッドの性能を120%引き出すために、シャフトメーカーと共同で専用設計された、いわば「準カスタムシャフト」とも呼べる存在なんです。この事実を知らずに、「純正だから」という理由だけで数万円もする高価なカスタムシャフトに交換してしまうのは、パフォーマンス的にもコスト的にも、本当にもったいない選択かもしれません。この記事では、そんな複雑怪奇に見えるPING純正シャフトの世界を、初心者の方からベテランゴルファーまで、誰にでもわかるように、そしてあなたにとっての「運命の一本」が見つかるように、徹底的に、そしてじっくりと解き明かしていきますね。
- ALTAとTOUR、2大シリーズの根本的な設計思想と性能差がわかる
- 歴代モデルごとの詳細なスペックや振動数、特性を客観的に比較できる
- G410以降のモデル間におけるスリーブの互換性を完全に理解できる
- あなたのスイングタイプとヘッドスピードに最適なシャフトの選び方が見つかる
ピン 純正シャフト2大シリーズの性能特性
PINGの純正シャフトの大きな魅力は、ゴルファーのスキルレベルやスイングタイプに応じて、大きく2つの系統から選べる点にあります。一つは、幅広いアベレージゴルファーをターゲットに、振りやすさとボールのつかまりをサポートする「ALTA」シリーズ。そしてもう一つが、パワーヒッターや上級者が叩きにいっても暴れない、安定性と操作性を追求した「TOUR」シリーズです。通常であれば追加料金が必要になるようなアスリート向けシャフトを、標準ラインナップとして用意しているのが、PINGの「ゴルファー中心主義」の表れとも言えますね。まずは、この2大シリーズがそれぞれどんなゴルファーのために、どのような思想で作られているのか、その核心に迫っていきましょう。
ALTA J CB、BLACKとSLATEの違い
ALTA J CBシリーズは、PINGのクラブ販売の主軸を担う、まさに「顔」とも言えるシャフトです。特に日本市場(Japan)のゴルファーの体力やスイング特性を考慮して開発されており、その最大の特徴である「カウンターバランス(Counter Balance)」設計が、PINGの重めのヘッドとの絶妙なマッチングを生み出しています。このシリーズは、ヘッドの進化に合わせて「RED」「SLATE」「BLACK」とマイナーチェンジを繰り返しており、それぞれに明確な個性と役割があるんです。
G410世代の「ALTA J CB RED」:高弾道・ドローバイアスの走り系
G410シリーズと共に登場した「RED」は、その名の通り鮮やかな赤いコスメが印象的なモデルでした。性能的な特徴は、シリーズの中で最もシャフト先端部のしなり量が大きく、インパクトゾーンでヘッドが走る感覚が強いこと。いわゆる「先調子」系の動きで、ボールをしっかり捕まえて、高く打ち出すのを助けてくれます。トルク(シャフトのねじれにくさ)も大きめに設定されているため、フェースターンが苦手なゴルファーでも自然なリストターンを促し、スライスを軽減してくれる効果が期待できました。ヘッドスピードが比較的ゆっくりめの方や、シニア、女性ゴルファー、そして何より右へのミスに悩む多くのゴルファーにとって、まさに救世主のようなシャフトだったと言えるでしょう。重量もSRフレックスで約50gと軽量で、振り疲れしにくいのも魅力でしたね。
G425世代の「ALTA J CB SLATE」:安定性へのシフト
次に、ゴルフ史上屈指の慣性モーメント(MOI)を誇るG425シリーズに合わせて開発されたのが「SLATE」です。G425ヘッドは、その絶大なMOIによってミスヒット時のヘッドのブレが極限まで抑えられ、とにかく曲がらないのが特徴でした。その反面、操作性がやや犠牲になり、ヘッド後方の重量が影響してインパクトでフェースが開きやすいという側面も。そこで「SLATE」は、「RED」の走り感を少しマイルドにし、中間部の剛性を高めることでシャフトの追従性を向上させました。これにより、プレイヤーが振った通りにヘッドが戻ってくる安定感が増し、G425の「曲がらない」性能を最大限に活かせる設計になっています。トルクもREDより少し絞られ(Sフレックスで4.7度)、当たり負けしない強さもプラス。つかまりやすさを維持しつつも、左への引っかけを恐れずに振っていける安心感は、多くのアベレージゴルファーに支持されました。
G430世代の「ALTA J CB BLACK」:叩けるアスリート仕様への進化
そして現行のG430シリーズに搭載されているのが、精悍なマットブラックが特徴の「BLACK」です。これは、もはや単なるアベレージ向けシャフトとは言えません。G430ヘッドが「激飛」をコンセプトに掲げ、ボール初速と低スピン性能を追求したことに呼応し、「BLACK」も歴代ALTAの中で最も「しっかり感」のあるアスリート寄りの性能へと進化しました。重量はSフレックスで58gと、軽量カスタムシャフトに迫るスペック。剛性分布も見直され、特に手元側の剛性を高めることで、ダウンスイングでのタメを作りやすく、パワーを効率的にボールに伝えられるようになっています。それでいて中間部の適度なしなり感は残されているため、タイミングが取りやすいというALTAシリーズの美点は健在。「叩いても左に行きにくい」特性が明確になり、パワーヒッター予備軍のゴルファーまでをカバーする、非常に汎用性の高いシャフトへと仕上がっています。
PING TOUR 2.0のCHROMEとBLACK
「純正シャフトの常識を覆した」とまで言われるのが、この「PING TOUR」シリーズです。G430シリーズから「2.0」へとアップデートされ、新たに「CHROME」と「BLACK」という2つのキャラクターが明確なラインナップに分岐しました。これは、ツアープロや上級者のシビアな要求に応えるためであり、その性能は aftermarket(市販)の数万円するカスタムシャフトに全く引けを取りません。むしろ、PINGのヘッド特性を完璧に理解した上で設計されているため、組み合わせによってはカスタムを凌駕するパフォーマンスを発揮することさえあります。
PING TOUR 2.0 CHROME:万能型の正統進化
まず「CHROME」ですが、これは前作まで絶大な人気を誇った「PING TOUR 173-65」のDNAを受け継ぐ、シリーズの中心的モデルと言えます。173-65の特徴だった「パリッ」とした硬質なフィーリングをわずかにマイルドにし、手元側のしなり感を少し加えることで、より幅広いスイングタイプにマッチする、しなやかさと強さを両立したシャフトに仕上がっています。いわゆる「中元調子」で、切り返しでシャフトのしなりを感じやすく、タイミングが取りやすいのが特徴。それでいてインパクトゾーンではしっかりと走り、当たり負けせずにボールを強く押し込んでいけます。特定の動きを強調するのではなく、プレーヤーの意図に素直に反応してくれるため、コントロール性を重視するゴルファーに最適です。カスタムシャフトで例えるなら、藤倉コンポジットの「Ventus Blue」やグラファイトデザインの「Tour AD UB」のような、クセのない安定系の王道シャフトに近いフィーリングと言えるでしょう。
PING TOUR 2.0 BLACK:左を恐れないハードヒッターへ
一方の「BLACK」は、その名の通り、よりハードなスペックを求めるツアープロやトップアマの要求に応えるために生まれたモデルです。一言で表現するなら「超・低スピン、超・低トルクの叩き系シャフト」。設計思想としては、藤倉コンポジットの「Ventus Black」や三菱ケミカルの「TENSEI Pro 1K Orange」を強く意識していると思われます。最大の特徴は、シャフト先端部の剛性を極限まで高めていること。これにより、インパクト時のヘッドのブレやフェースの余計な開閉を徹底的に抑制します。ヘッドスピードが50m/s近いゴルファーが、マン振りしても絶対に左には行かせないという強い意志を感じる設計ですね。弾道は強烈なライナー性の低スピン・低弾道になりやすく、アゲンストにも負けない「前に飛ぶ球」を打つことができます。ただし、その硬さゆえに、ヘッドスピードが不足しているゴルファーが使うと、ボールが全く上がらず、ドロップしてしまう危険性も。まさに使い手を選ぶ、プロスペックの純正シャフトです。
名器PING TOUR 173-65の評価
G400シリーズからG425シリーズまで、長きにわたりPINGのアスリート向け純正シャフトとして君臨し、今なお中古市場で指名買いするゴルファーが後を絶たない。それが「PING TOUR 173-65」です。なぜこのシャフトが「名器」とまで呼ばれるのか、その理由を深く掘り下げてみましょう。
圧倒的な剛性感がもたらす絶対的安定性
このシャフトを試打した人が口を揃えて言うのが、その独特のフィーリングです。それは「硬い」という一言では片付けられない、「パリパリ」「カリンカリン」といった乾いた打感と、しなりをほとんど感じさせない「板のような」剛性感。この感覚の正体は、極限まで絞られた低トルク設計と、高弾性のカーボンシートを贅沢に使用していることにあります。シャフトがねじれず、余計なしなり戻りの動きをしないため、プレーヤーが振ったエネルギーがダイレクトにボールに伝わる感覚があります。これにより、インパクトでフェース面がブレにくく、左右の打ち出し方向が驚くほど安定するのです。特に、インパクトが緩んだり、手先でこねてしまったりして、チーピンなどの左への致命的なミスに悩むハードヒッターにとって、この「シャフトが勝手に仕事をしすぎない」という特性は、絶大な安心感につながります。
常識外れの振動数
その剛性感は、振動数データにも明確に表れています。一般的な60g台カスタムシャフトのSフレックスの振動数が255〜260cpm程度であるのに対し、TOUR 173-65のSフレックスは驚異の約276cpmを記録します。これは、他社のカスタムシャフトであれば「X」フレックス、あるいはそれ以上の「TX」フレックスに相当する硬さです。つまり、PINGは「純正のS」として、市場の常識を遥かに超えるハードなシャフトを標準で提供していたわけです。これが、わざわざ高価なカスタムシャフトに交換しなくても、トッププロやアマが満足できる性能を実現していた最大の理由でしょう。ただし、この事実は裏を返せば、一般的な感覚で「S」を選ぶと全く歯が立たない可能性があることも意味します。自分のヘッドスピードに自信がない方は、見栄を張らずに「R」フレックスを試してみることを強くお勧めします。173-65の「R」は、一般的なカスタムの「S」に匹敵する硬さを持っていますからね。
軽硬PING TOUR 173-55の特徴
TOUR 173シリーズの中で、スター選手である「65」や「75」の陰に隠れがちですが、実は一部の熱狂的なファンを持つ、非常にユニークで価値のあるシャフトが「173-55」です。このシャフトを一言で表現するならば、まさに「軽硬(カルカタ)」。その名の通り、軽いのに硬いという、一見矛盾した特性を両立させているのが最大の特徴です。
「軽さ」と「硬さ」の両立がもたらすメリット
スペックを見てみましょう。重量はSフレックスで55g前後と、現代のシャフトとしては軽量な部類に入ります。しかし、その振動数は前述の通り約272cpm。これは、多くの60g台後半のカスタムシャフトのSフレックスを上回る硬さです。この「軽硬」スペックが、どのようなゴルファーに恩恵をもたらすのでしょうか。
それは、「ヘッドスピードは43m/s〜46m/sくらいあってパワーはある方だけど、60g台のシャフトだとラウンド後半に重さを感じて振り切れなくなり、スイングが鈍ってしまう…」という、まさに体力と技術の狭間にいるようなゴルファーです。50g台の軽さによって、最後までスイングスピードを落とすことなくシャープに振り抜ける。一方で、一般的な軽量シャフトにありがちな「インパクトでの当たり負け」や「頼りなさ」が、このシャフトには一切ありません。高い剛性によって、インパクトでしっかりボールを叩きにいってもシャフトが暴れず、安定した方向性を実現してくれるのです。この「振りやすさ」と「安定性」を高次元で両立させたスペックは、アフターマーケット市場でも意外と選択肢が少なく、PINGがいかにゴルファーのニーズを深く理解しているかがわかる、玄人好みの逸品と言えるでしょう。
どんなゴルファーにハマるのか?
テクニックでボールをコントロールしたい、いわゆる「テクニカルヒッター」にも最適な選択肢かもしれません。重量に頼らず、スイングのキレで飛ばしていくタイプの方にとって、このシャフトのレスポンスの良さは大きな武器になります。ただし、その硬さゆえに、シャフトのしなりを大きく使って飛ばしたいスインガータイプの方や、ヘッドスピードが40m/s前半までの方は、球が上がりきらず飛距離をロスしてしまう可能性があるので注意が必要です。「55」という数字に惑わされず、これもTOURシリーズの一員であることを理解した上で試打に臨むのが賢明ですね。
ALTA J CBのカウンターバランス設計
ALTA J CBシリーズ、ひいては近年のPINGのクラブ設計を語る上で、絶対に避けては通れない最重要技術。それが「カウンターバランス設計」です。これは単なるギミックではなく、PINGが追求し続ける「高慣性モーメント(MOI)による寛容性の最大化」という設計哲学を、プレーヤーが最大限に享受するために不可欠な要素となっています。
カウンターバランスの力学的な仕組み
まず、カウンターバランスとは具体的に何かというと、シャフトの重心位置を意図的に手元側(グリップエンド側)にずらす設計のことです。これは、シャフトの手元側の内部にタングステンなどの重りを配置したり、その部分のカーボンシートを厚くしたりすることで実現されます。では、なぜPINGはこのような設計を採用するのでしょうか。
その理由は、PINGのドライバーヘッドの重量にあります。ミスヒットへの強さを追求するPINGは、ヘッドの慣性モーメント(MOI)を極限まで高める設計を採用しています。MOIを高める最も簡単な方法は、ヘッドに重量を配分すること。そのため、PINGのヘッドは他社製品と比較して数グラム重く作られている傾向があります。この「重ヘッド」に一般的な重心位置のシャフトを装着すると、クラブ全体のバランス(スイングウェイト)がD3, D4, D5…と、非常にヘッド寄りになってしまいます。こうなると、多くのゴルファーは「クラブが重くて振りにくい」「振り遅れてスライスする」といった問題に直面します。
「重ヘッド」を「振りやすく」する魔法
そこで登場するのがカウンターバランスです。シャフトの重心を手元に寄せることで、たとえヘッドが重く、クラブ長が長く(標準45.75インチ)ても、スイングウェイトの数値をD0, D1といった比較的軽めのバランスに抑えることができるのです。これにより、プレーヤーはクラブ全体の重量を「重い」と感じることなく、スムーズに、そしてシャープに振り抜くことが可能になります。結果としてヘッドスピードが向上し、PINGの重ヘッドが持つ「高MOIによる寛容性」と「ボール初速性能」という恩恵だけを、ストレスなく享受できるというわけです。これは、クラブ全体のトータルバランスを考え抜いた、PINGならではの非常に合理的な設計思想の表れと言えるでしょう。ALTA J CBシリーズを振った時に感じる「振りやすさ」の裏には、こうした緻密な計算が隠されているのです。
ピン 純正シャフトの互換性と選び方のコツ
さて、各シャフトシリーズの性能特性を深く理解したところで、次はいよいよ実践編です。「この魅力的なシャフトたちを、自分の持っているヘッドで使えるのだろうか?」というスリーブの互換性の問題。そして、「結局のところ、膨大な選択肢の中から自分に最適な一本をどうやって選べばいいのか?」という、最も重要な問いに答えていきましょう。中古市場で賢くシャフトを手に入れるための知識から、あなたのゴルフを次のレベルに引き上げるための具体的な選び方のコツまで、余すところなく解説していきます。
各シャフトの振動数データを比較
シャフト選びにおいて、フィーリングや口コミも大切ですが、客観的な「硬さ」の指標となる振動数(cpm: Cycles Per Minute)を把握しておくことは、大きな判断材料になります。振動数は、クラブを固定して先端を弾いたときに1分間に振動する回数のことで、この数値が高いほどシャフトが硬いことを示します。ここでは、PINGの主要純正シャフトと、比較対象として市場で人気のカスタムシャフトの振動数の目安を一覧にしてみました。
この表から読み取れる最も重要なインサイトは、やはりPING TOURシリーズの硬さが常識外れであるという点です。特にTOUR 173-65 (S) の276cpmという数値は、市場を代表するハードヒッター向けシャフトであるVentus Black (S) すら上回っています。これは、PINGが「S」という記号を、一般的な市場の基準とは異なる独自の基準で設定していることを意味します。この事実を知らずに「カスタムシャフトでもSを使っているから」という理由だけでTOURシリーズのSを選ぶと、オーバースペックとなり、球が上がらない、つかまらない、飛距離が出ないといった悲劇に見舞われる可能性が非常に高いです。試打の際は、必ず普段使っているフレックスの一つ下(SならR、XならS)から試してみることを強く推奨します。
G410以降のスリーブ互換性一覧
中古シャフトの購入や、ヘッドの買い替えを検討するゴルファーにとって、スリーブの互換性は死活問題と言っても過言ではありません。幸いなことに、近年のPINGのスリーブシステムは非常にユーザーフレンドリーですが、絶対に越えられない「世代の壁」が存在します。
G410で起きた大きな変化
まず結論から。2019年に発売されたG410シリーズ以降のモデル(G410, G425, G430、そして今後発売されるであろう将来モデル)は、すべて共通のスリーブを採用しており、ドライバーもフェアウェイウッドも完全に互換性があります。
問題は、それ以前のモデルとの関係です。特に、いまだに絶大な人気を誇るG400シリーズとG410シリーズの間には、互換性が一切ありません。これは、G410からスリーブにロフト角(±1.5度)とライ角(スタンダード/フラット)を同時に調整できる「8ポジション」の新機能が搭載されたため、スリーブ自体の形状が根本的に変更されたからです。G400以前のモデル(Gシリーズ、G30など)は、ロフト角調整(±1.0度)のみのシンプルな機能でした。
| 互換性グループ | 該当モデル例 | スリーブ機能 | 互換性の状況 |
|---|---|---|---|
| グループA (現行規格) | G430, G425, G410 | ロフト(±1.5°), ライ角調整可 | グループA内でのみ完全互換あり |
| グループB (旧規格) | G400, G(2016), G30 | ロフト(±1.0°)調整のみ | グループB内で互換あり。Aとは一切互換なし |
この「G400とG410の壁」は、中古市場でシャフトを探す際に最も注意すべきポイントです。「G400で使っていたエースシャフトのTOUR 173-65を、最新のG430ヘッドで使いたい!」と思っても、そのままでは装着不可能です。この場合、ゴルフ工房に持ち込んで、シャフトの先端についているG400用スリーブを抜き、新たにG410以降用のスリーブを装着し直す「リシャフト」という作業が必要になります。費用は工房によりますが、スリーブ代と工賃で5,000円〜8,000円程度が相場かなと思います。
アイアン用AWT 2.0 LITEとは?
PINGのクラブ作りへのこだわりは、ドライバーやウッドだけに留まりません。アイアンに標準で装着されている純正スチールシャフト「AWT 2.0 LITE」にも、他社にはないユニークで非常に合理的なテクノロジーが搭載されています。それが「AWT(Ascending Weight Technology)」です。
番手ごとに重さが変わる画期的な設計
「Ascending Weight」とは、直訳すると「上昇していく重さ」。その名の通り、番手が短くなる(数字が大きくなる)につれて、シャフト一本一本の重量が段階的に重くなっていくように設計されています。
この設計がもたらすメリットは計り知れません。
- ロングアイアン(#4, #5): シャフト重量が軽め(90g台前半)に設定されています。これにより、プレーヤーはヘッドスピードを上げやすくなり、ボールに十分な高さを与えることができます。多くのゴルファーが苦手とする「ロングアイアンが上がらない、グリーンで止まらない」という悩みを、クラブ側から解決してくれるアプローチです。
- ミドルアイアン(#6, #7, #8): 中間の重量帯で、飛距離とコントロール性のバランスが取られています。
- ショートアイアン(#9, PW): シャフト重量が最も重く(100g弱)なります。重量があることで手元が安定し、ダウンスイングの軌道がブレにくくなります。これにより、方向性が格段に向上し、ピンをデッドに狙っていくためのコントロール性能が高まります。また、重さが引っかけのミスを抑制してくれる効果も期待できます。
多くのメーカーが全番手で同じ重量のシャフトを採用しているのに対し、PINGはアマチュアゴルファーが各番手に求める性能を深く理解し、それをシャフトの重量フローという形で具現化しているのです。スペックとしては、Sフレックスで98g(#7のカット後重量の目安)、中調子と発表されており、N.S.PRO 950GH neoあたりをライバルと想定していると思われますが、AWTの方が先端の剛性が高く、当たり負けしないしっかりとした打感を得られるのが特徴です。
ヘッドスピード別のシャフト選び方
これまでに解説してきた各シャフトの特性や客観的なデータを基に、あなたのヘッドスピード(HS)に合わせた、より具体的なシャフト選びのガイドラインを提案します。ただし、これはあくまで一般的な目安。最終的にはあなたのスイングタイプ(ヒッターかスインガーか)や持ち球、そして何より「振り心地」が最も重要であることは忘れないでくださいね。
中古シャフト購入時の注意点
魅力的なPING純正シャフト、特に今はもう新品では手に入らないTOUR 173シリーズなどは、中古市場やフリマアプリで探すことになります。しかし、手軽に購入できる反面、いくつか注意しないと「安物買いの銭失い」になりかねないポイントがあります。購入ボタンを押す前に、以下の点を必ずチェックしてください。
① スリーブの互換性の再確認
何度も繰り返しますが、これが最も重要です。ご自身のヘッドがG410以降なのか、G400以前なのかを必ず確認し、それに適合したスリーブが付いているかを出品情報で確かめましょう。「PING用スリーブ付」としか書かれていない場合は、必ず出品者にどちらの世代に対応しているか質問することが大切です。
② シャフトの長さと改造の有無
シャフトの長さは、振り心地やミート率に直結する重要な要素です。出品されているシャフトが、メーカー標準の長さから変更されていないかを確認しましょう。特に、シャフトの先端(チップ)側をカットして短くしている場合、シャフト本来の剛性分布が変わり、極端に硬く感じられることがあります。逆に、手元(バット)側を延長している場合もあります。不自然な改造がされていないか、可能であれば出品者に確認しましょう。
③ グリップの状態とシャフトの傷
グリップは消耗品ですが、その状態から前オーナーの使用頻度をある程度推測することができます。ツルツルにすり減っている場合は、それなりに長く使われたシャフト(=金属疲労が蓄積している可能性)と判断できます。また、シャフト本体に深い傷や塗装の大きな欠けがないかも写真で入念にチェックしましょう。特にカーボンシャフトは、表面の傷が内部の繊維の破断につながり、性能劣化や最悪の場合はプレー中の破損につながる危険性があります。
④ 偽物(フェイク品)のリスク
残念ながら、人気のシャフトには精巧に作られた偽物が存在します。見分けるのは非常に困難ですが、いくつかのチェックポイントがあります。例えば、シャフトに貼られているメーカーのホログラムシールが本物か、ロゴの印刷に滲みやズレがないか、などです。あまりにも市場価格より安すぎるものや、出品者の評価が極端に低い、あるいは新規の出品者である場合は、少し慎重になった方が良いかもしれません。少し高くても、信頼できる大手中古ゴルフショップのオンラインストアなどを利用するのが最も安全な方法と言えるでしょう。
最適なピン 純正シャフトを見つける方法
ここまで、スペックやデータ、そして選び方のヒントについて詳しく解説してきましたが、最終的にあなたにとっての「最高の相棒」を見つけ出すための、最も確実で、そして最も楽しい方法は何か。それは、やはりPINGが誇る専門的なフィッティングを実際に体験してみることです。
スペックシート上の数値は、あくまでシャフトが持つポテンシャルの一側面に過ぎません。シャフトのしなり方や戻ってくるタイミング、インパクトでのフィーリングといった「感覚」の部分は、実際にボールを打ってみなければ絶対にわからないからです。PINGの正規フィッティングでは、専門のフィッターがあなたのスイングを弾道測定器で詳細に分析し、数多くの試打シャフトの中から最適な一本を提案してくれます。
この記事で得た知識は、フィッティングを受ける際に必ず役立ちます。「ALTA J CB BLACKのSだと少し物足りないから、TOUR CHROMEのRを試してみたい」といったように、自分の要望を具体的にフィッターに伝えることができるからです。
最終的に、最適なピン 純正シャフトを見つける旅は、データと感覚の融合です。この記事で客観的な知識を深め、それを携えて試打やフィッティングに臨む。そうすれば、巷の評判やブランドイメージに惑わされることなく、本当にあなたのスイングを輝かせてくれる、最高のパートナーに出会えるはずです。PINGが用意してくれた、この広大で奥深い「純正シャフト」という選択肢の中から、ぜひあなただけの最適解を見つけ出してください。


