「AP2、ずっと気になってるけど、自分にはまだ早いのかな…」「中古で狙いたいけど、どの年式を選べば後悔しないんだろう?」そんなふうに迷って、この記事にたどり着いた方も多いんじゃないかなと思います。わかります、私も同じところで立ち止まった一人ですから。
「AP2」と聞いて、あなたはどんな景色を思い浮かべますか。ジョーダン・スピースがメジャーを制したあの勇姿でしょうか。それとも、練習場でひときわ美しく構えている上級者のバッグに刺さっていた、あのカッコいいアイアンでしょうか。発売から10年以上が経った今でも、「タイトリストの名器」としての輝きは、まったく色あせていません。
むしろ最近は、主流になっている「飛び系アイアン」や「中空構造アイアン」にはない、フォージド(鍛造)特有の縦距離の安定感や、濃密な打感を求めて、あえてこのAP2シリーズを探しているゴルファーが増えている印象です。「最新が最良とは限らない」のがゴルフギアの面白いところ。とくにアイアンは、自分の感性に合う一本を長く使い続けることこそが、上達への近道だと私は思っています。
この記事では、なぜAP2がこれほど長く愛されるのか、歴代6モデルの微細な違いと進化、後継T100との比較、そして失敗しないための中古選びのコツまで、できるだけ正直にお伝えします。読み終わるころには、「自分が狙うべきはこの年式だ」とハッキリ言えるようになっているはずですよ。
- AP2が世界中で「名器」と評価され続ける技術的な理由と歴史的背景
- 歴代6モデル(初代〜718)それぞれの特徴と、スペック選びの基準
- 後継機T100と比較しても、あえてAP2を選ぶべきゴルファーの条件
- 偽物を避ける判別ポイントと、年式ごとの中古価格の目安
- 中古で買う前に確認したい、見落としがちな失敗ポイント
タイトリストアイアンAP2が名器と呼ばれる理由

かつて「タイトリスト=上級者専用の難しいクラブ」というイメージが強かった時代、その常識を根っこからひっくり返したのがAP2でした。プロが満足する操作性と顔の良さを持ちながら、アマチュアでも十分に扱える「やさしさ」を同居させたこのシリーズは、まさに「アスリートアイアンの民主化」を成し遂げた記念碑的な存在だと思います。ここでは、なぜこれほど長く愛されるのか、その技術的な背景と歴史を、ゆっくり紐解いていきますね。
歴代モデルの違いと進化の歴史
AP2シリーズは2008年の初代モデルから、2017年の最終モデル(718)に至るまで、約10年にわたって進化を続けました。このシリーズが画期的だった最大の理由は、「軟鉄鍛造ボディ」に「タングステンウェイト」を高度に融合させたこと。これに尽きます。タイトリストはこれを「プレーヤーズ・テクノロジー」と呼び、以降のアイアン設計のスタンダードを築き上げました。
一般的なキャビティバックアイアンは、ヘッドを大きくしたり、ソールを極端に広くしたりして「やさしさ」を演出します。でもAP2は違うんですよね。プロが好むコンパクトなヘッドサイズを保ったまま、比重の重いタングステンをトウ(先端)とヒール(根元)の下部に配置することで、見た目からは想像できないほど高い慣性モーメント(MOI=ヘッドのブレにくさを表す数値)を実現しました。「小さいのにミスに強い」という、本来なら両立しにくい矛盾を解決した点こそ、AP2の真骨頂なんです。
少しだけ補足すると、慣性モーメントが高いというのは、芯を外したときにヘッドが暴れにくいということ。アマチュアにとっては、これがそのまま「曲がり幅の少なさ」や「飛距離ロスの小ささ」につながります。小ぶりな見た目のまま、この恩恵を受けられるのがAP2の賢いところなんですよね。
以下に、歴代モデルの主な特徴と進化のポイントをまとめました。中古市場で選ぶときの、最初の地図として使ってもらえたらと思います。
| モデル名 | 発売年 | キャッチコピー・特徴 | おすすめユーザー |
|---|---|---|---|
| 初代 AP2 | 2008 | カテゴリーの創造者。軟鉄ボディ+タングステンのマルチマテリアル構造を初採用。 | AP2の原点を感じたいコレクター、打感の柔らかさ重視の方 |
| 710 AP2 | 2009 | 感性の洗練。「チューンド・フィール・システム」で打球音と打感を大幅に向上。 | コスパ最優先で、かつての憧れを手に入れたい方 |
| 712 AP2 | 2011 | 審美性の確立。トウ形状をスクエアに変更し、構えやすさが向上。最も美しいと評するファンも多い。 | 顔の良さにこだわる方、操作性を重視する中級者 |
| 714 AP2 | 2013 | 実戦力の完成。抜けの良いソール形状を採用。ジョーダン・スピースが愛し続けた伝説のモデル。 | バランス重視の方、迷ったらまず候補にすべき王道モデル |
| 716 AP2 | 2015 | タングステンの革命。鍛造プロセスで大量のタングステンを一体化し、やさしさが飛躍的に向上。 | ミスヒットへの許容性を求める方、100切り〜90切り目標の方 |
| 718 AP2 | 2017 | シリーズ集大成。SUP-10フェース採用でボール初速アップとさらなる安定性を実現。 | 予算が許すなら性能はNo.1。長く使える相棒を探している方 |
デザインと機能のバランス
私自身、歴代モデルを試打し、コースでも何度か握ってきましたが、モデルチェンジごとの進化は本当に堅実だなと感じます。たとえば710から712への変化では「顔の良さ」がブラッシュアップされ、714から716への変化では「寛容性(やさしさ)」がぐっと向上しました。単なる化粧直しではなく、プロからのフィードバックと新技術が毎回ちゃんと投入されているのがわかります。
とくに716以降は、内部構造が大きく見直されていて、性能だけ見れば現代の最新モデルと比べても遜色がありません。逆に言えば、初期モデルは「顔と打感の趣味性」を、後期モデルは「実戦での安定感」を楽しむクラブ。どちらを取るかで、選ぶ年式が変わってくるという話でもあるんですよね。
AP2の難易度は?初心者でも打てるか
「カッコいいから使ってみたい。でも難しすぎてスコアが崩れるのが怖い…」という相談、ゴルフ仲間からよく受けます。AP2はプロモデルという位置づけなので、敷居が高く感じるのは当然かなと思います。でも結論から言うと、716以降のモデルなら、スコア100切りを目指すレベルのあなたでも十分に扱えますし、むしろ上達を後押ししてくれるアイアンですよ。
一方で、初期のモデル(初代・710・712)は、正直に言うと「操作性」に重きが置かれていて、スイートスポット(芯)もそれほど広くありません。芯を外したときの飛距離ロスが大きく、ある程度ボールを正確に当てられる中級者以上の腕前(ハンディキャップで言えば15以下くらい)が求められるスペックでした。憧れだけで初期モデルに飛び込むと、「思ったより手強い…」となりやすいので、ここは正直にお伝えしておきますね。
「そもそもアイアンの本数や番手構成からちゃんと決めたい」という方は、ゴルフアイアン初心者におすすめ!失敗しない選び方の記事も合わせて読むと、土台の考え方が整理しやすいかなと思います。
716 AP2からの劇的な変化
そんな状況が一変したのが、2015年モデルの「716 AP2」です。このモデルから、ヘッドのトウ・ヒールに配置されるタングステンの量が大幅に増えました。その結果、ヘッドの左右慣性モーメントが飛躍的に高まり、打点が芯からズレてもヘッドがブレにくくなったんです。具体的には、トウ寄りで打ってしまったときでも当たり負けせず、ボールが目標方向へ飛んでくれやすくなりました。
それに、AP2のような「ほどよい大きさ」のヘッドを使うことには、初心者にとっても見逃せないメリットがあります。それが「集中力」と「スイングの質の向上」。デカヘッドのアイアンは確かに簡単ですが、どこに当たってもそこそこ飛んでしまうため、スイングの良し悪しがフィードバックされにくいという側面があるんですよね。
対してAP2は、良いスイングには素晴らしい打感と弾道で応え、雑なスイングにはそれなりの結果しか返しません。この「正直なフィードバック」こそが、遠回りに見えて実は上達への最短ルートだと私は思っています。毎ショット、自分のスイングを採点してくれる相棒だと思うと、ちょっと頼もしく感じませんか。

「初心者だから簡単なクラブ」ではなく、「上手くなりたいからAP2」という選び方は、けっこう理にかなっているんですよ。とくに716や718なら、ミスへの許容範囲も広いので、途中で挫折せず長く付き合えるはずです。
飛距離性能とロフト角の関係
AP2を検索すると、「飛ばない」という関連ワードが頻繁に出てきます。確かに、いまのマーケットを席巻している「ぶっ飛び系アイアン」や、ストロングロフト化が進んだモデル(7番アイアンでロフト26〜29度)と比べれば、AP2は物理的に飛びません。これは事実です。
AP2の7番アイアンのロフト角を見てみましょう。712以前のモデルでは35度、714以降のモデルでも34度。これは現代の基準からすると「寝ている(ロフトが多い)」設定です。でも、声を大にして言いたいんです。これは「飛ばない」のではなく、「狙った距離にきっちり止める」ための適正なロフト設定なんですよ、と。
このあたりの「飛ばすより、止めて狙う」というアイアンの考え方は、AP2に限った話ではありません。クラシックロフトを守ってきた他モデルにも共通する哲学なので、興味があればゼクシオは何代目がいい?歴代アイアン比較の記事も覗いてみてください。番手間の飛距離の階段という観点で、より腹落ちすると思いますよ。
「飛ぶ」ことと「スコアメイク」は別物
私たちがコースでスコアを作るために、本当に必要な能力って何でしょう。それは7番アイアンで180ヤード飛ばすことではありません。150ヤードなら150ヤードを、毎回正確にキャリーさせて、グリーン上に止めること。これに尽きると思うんですよね。飛び系アイアンは初速が速くて距離は出ますが、スピン量が少なくなりがちで、硬いグリーンでは着弾してから止まらず、奥へこぼれてしまうリスクがあります。
その点AP2は、適切なロフト角と重心設計によって、理想的な打ち出し角とスピン量を確保しています。ボールが高く上がり、最高到達点から急な角度で落ちてくる(ランディングアングルが大きい)ため、グリーン上で「ズドン」と止まる球が打てるんです。「飛びすぎてグリーンオーバー」という事故が減るだけでも、スコアは確実に縮まります。
AP2を選ぶというのは、飛距離という快楽よりも、スコアメイクという実利を取る選択。ちょっと大人な、成熟したゴルファーの判断だと言えるかもしれませんね。もちろん「飛ばないと気持ちよくない」という方もいて、それはそれで正解です。自分がクラブに何を求めるか、ここで一度ハッキリさせておくと選びやすくなりますよ。
714が最高傑作の評価を得る理由
中古市場を見渡しても、2013年発売の「714 AP2」は別格の人気を誇っています。発売から10年以上が経って、本来なら価格が暴落していてもおかしくない年式ですが、状態の良いセットは今でも3万円〜4万円台で取引されることがあります。なぜこれほどまでに714は評価が高いのか。気になりますよね。
ジョーダン・スピースという「物語」
最大の要因は、やはりPGAツアーのスター選手、ジョーダン・スピースの存在抜きには語れません。彼はデビュー当時からAP2を愛用していましたが、新しいモデル(716や718)が登場しても、頑なに「714 AP2」をバッグに入れ続けたと伝えられています。そして、そのアイアンでマスターズや全米オープンといったメジャータイトルを次々と手にしたんです。
プロゴルファーは契約上、最新モデルを使うのが一般的です。でもスピースは「自分の感覚に合うもの」を最優先して、使い続けた。この事実は、「最新モデルこそが最良」というゴルフ業界の空気に対する、強烈なアンチテーゼになりました。そして私たちアマチュアに、「道具を信じて使い込むことの大切さ」を教えてくれたんですよね。中古で714を選ぶ人は、単にスペックを買っているのではなく、この「スピースの物語」と「メジャー優勝アイアンという信頼」も一緒に手にしているわけです。
機能面での完成度:「抜け」の良さ
もちろん、ストーリーだけでなく機能面でも714は秀逸です。特筆すべきはソール形状の改良。このモデルから採用された「プレウォーン・リーディングエッジ」は、リーディングエッジ(フェース下部の刃の部分)を少し削り落としたような形状になっています。これにより、ダウンブローに鋭角で打ち込んでも地面に刺さりにくく、スパッと気持ちよく抜けてくれるんですよ。
さらに、ロングアイアンとショートアイアンで重心の高さを変える「プログレッシブCG設計」も、このモデルから本格化しています。長い番手は球が上がりやすく、短い番手は弾道を抑えてコントロールしやすい。この実戦的な性能バランスが、714で完成されました。「迷ったら714」と言われる理由は、このトータルバランスの高さにあるんですよね。中古で状態の良い個体が減ってきているので、見つけたら早めに動くのが正解かなと思います。
716と718の違いとシャフト

AP2シリーズ後半の716(2015年)と718(2017年)は、見た目は似ていますが、中身は大きく進化しています。これから中古で購入を検討するなら、この2つの違いを押さえておくのはかなり大事ですよ。ここを知らずに選ぶと、「思ってたのと違った」が起きやすいポイントなので。
素材と構造の違い
最大の違いはフェース素材にあります。716まではボディに軟鉄を使い、そこにタングステンを埋め込む構造で、フェース面自体も軟鉄(あるいはそれに準ずる素材)でした。しかし最終形の718 AP2では、3番から6番アイアンのフェース素材に、高強度ステンレス「SUP-10」を採用しました。
SUP-10は反発性能が高い素材なので、718のロング・ミドルアイアンは716に比べてボール初速が上がっています。つまり、少しだけ「飛ぶ」ようになっているんですね。見た目にも違いがあって、716ではバックフェースに黒い樹脂パーツが多めに使われていましたが、718では金属的な質感を強調したデザインに戻り、よりシャープで精悍なルックスになりました。
ざっくり整理すると、初速と安定性で選ぶなら718、打感の統一感と低重心による素直なやさしさで選ぶなら716、という住み分けになります。どちらが上・下ではなく、好みと予算で選んでOK。ここは安心してくださいね。
要注意!「AMTシャフト」の罠
中古購入時にいちばん注意してほしいのが、標準装着されているシャフトです。716および718のAP2には、標準スチールシャフトとして「Dynamic Gold AMT(ダイナミックゴールド AMT)」が採用されています。
この「AMT(Ascending Mass Technology)」は、番手ごとに重量が異なるのが特徴です。3番アイアンなどのロングアイアンは軽く、ピッチングウェッジなどのショートアイアンへ向かうにつれて、段階的に重くなっていきます。PWと3番では、けっこうな重量差が出る設計なんですよ。
従来の「Dynamic Gold S200(全番手ほぼ一定重量)」に慣れ親しんでいる方が、AMTの入った5番アイアンなどを打つと、「あれ?軽すぎて頼りない」と感じることがあります。逆に、ロングアイアンが苦手な方には、軽くて振り抜きやすく大きな武器になります。だから良し悪しではなく、相性の問題なんですよね。
中古ショップで試打するときは、7番だけでなく5番などの長い番手も握って、重量感を確認するのがおすすめです。718では「AMT Tour White」という名称になり、白黒を強調したコスメ(見た目)になっているので、外見でも判別しやすいですよ。
そもそも従来のDynamic Goldがどんな重さ・特性で、自分のヘッドスピードに合うのか不安だという方は、ダイナミックゴールド S200が合う人は?の記事で重量や適正ヘッドスピードを実測ベースで解説しています。AMTとの違いを理解する下地として、先に読んでおくと判断がブレにくくなるかなと思います。
タイトリストアイアンAP2は名器として買いか

結論から言うと、AP2は今でも間違いなく「買い」です。むしろ、円安や原材料費の高騰で新品ゴルフクラブの価格が驚くほど上がっているいま、これだけの性能とブランド力を持ったアイアンが、中古市場で手頃な価格で手に入るのは、かなり魅力的だと思います。ここからは、後継機との比較や、中古市場のリアルな事情を見ていきましょう。
後継モデルT100とAP2の比較
2019年、タイトリストはAPシリーズの名称を一新し、「T-Series」を発表しました。AP2の実質的な後継となったのが「T100」アイアンです。AP2ユーザーにとって、「T100に買い替えるべき?それともAP2を使い続ける?」は、いちばん悩ましいところかもしれませんね。
T100は、AP2が築いた「モダン・ツアーアイアン」というコンセプトを正統に受け継ぎつつ、よりツアープロの要望に特化した進化を遂げています。具体的には、AP2に比べてトップライン(構えたときに見える上部の厚み)がさらに薄くなり、オフセット(グースの度合い)も極限まで少なくなりました。結果として、見た目は往年のCB(キャビティバック)やMB(マッスルバック)に近づき、よりシャープで操作性の高い顔つきになっています。
AP2独自のメリット
ただ、これがすべてのアマチュアにとってメリットになるわけではありません。AP2(とくに716や718)には、ほんの少しだけトップラインに厚みがあって、それが構えたときの「安心感」につながっていました。「T100はカッコいいけど、ちょっとシビアすぎて緊張する」と感じるゴルファーも、少なくないんですよね。
「プロモデルの性能は欲しいけど、見た目の安心感も捨てがたい」「ミスへの寛容性は少しでも高いほうがいい」という方は、最新のT100よりも、あえて熟成されたAP2(とくに718)を選ぶほうが、結果的にスコアが安定する可能性があります。性能面でも、AP2 718は現行のT100と比べて大きく見劣りするわけではありません。むしろ完成されたバランスという意味で、AP2のほうを好む上級者も多いんですよ。
逆に、もっと操作性を突き詰めたい、球を自在に曲げて攻めたいという腕に自信のある方なら、T100へのステップアップは満足度が高いはず。ここは「上達の方向性」で選ぶといいかなと思います。
中古相場と価格の目安
AP2シリーズの中古相場は、モデルごとに明確な価格帯の層ができています。下記はあくまで一般的な目安で、相場は時期・在庫状況・コンディションによって変動します。実際に購入するときは、ショップで最新価格を確認してくださいね。(※価格は中古ショップでの6本セットの目安です)
- 710 / 712(2万〜3万円台の目安):
底値圏にあり、かなりお買い得なゾーン。予算を抑えて「タイトリストのフォージド」を味わいたい方、これから本格的に始める学生ゴルファーの入門用にも向いています。ただし溝の摩耗など、状態には注意が必要です。 - 714(3万〜4万円台の目安):
前述のとおりスピース人気で需要が安定しています。状態の良いセットは年々減っていて、「名器」としてのプレミア感が少しずつ出てきました。良い個体を見つけたら即決しても良いレベルかなと思います。 - 716(4万〜5万円台の目安):
性能(やさしさ)と価格のバランスが最も良いゾーン。実用性を重視してガンガン使いたいなら、ここが狙い目です。在庫数も比較的豊富で、選びやすいと思います。 - 718(5万〜7万円台の目安):
最終型ということもあり、高値を維持しています。とはいえ現行のツアーアイアンが10万円以上することを考えると、コストパフォーマンスはかなり高いと言えますね。
結局どのAP2を選べばいい?タイプ別の判断軸
ここまで読んで、「で、結局どれを買えばいいの?」となっている方も多いと思います。わかります。情報が多いと、かえって迷いますよね。そこで、私なりのシンプルな判断軸をまとめておきます。
- とにかく失敗したくない・王道がいい人 → 714。バランスと信頼感、そして物語性。迷ったときの第一候補です。
- 100切り〜90切りを目指す・やさしさ重視の人 → 716。価格と寛容性のバランスがちょうどいいゾーン。
- 長く使う相棒として性能No.1を狙いたい人 → 718。初速と安定性、ルックスの精悍さもピカイチ。
- 予算重視・とりあえずフォージドを体感したい人 → 710 / 712。ただし腕前は中級者以上向きで、状態チェックは念入りに。
逆に、AP2が向いていないのはどんな人かも、正直に書いておきますね。「とにかく1ヤードでも遠くへ飛ばしたい」「芯を外しても飛距離を落としたくない」という飛距離最優先の方には、AP2はおすすめしにくいです。その場合は飛び系アイアンのほうが満足度が高いはず。アスリートアイアン全般の難易度や顔の違いを他社と見比べたい方は、ミズノMPアイアン難易度比較も参考になりますよ。同じ「名器」でも、メーカーごとの個性がよくわかると思います。
偽物に注意!中古購入時の見分け方
AP2は世界的なベストセラーであるがゆえに、残念ながら「偽物(コピー品)」がかなり多く出回っているモデルでもあります。とくにネットオークションやフリマアプリでの個人間取引には、細心の注意が必要です。「格安の新品同様品」などは、まず疑ってかかったほうがいいですね。
偽物は外見だけを精巧に模倣していますが、中身はまったくの別物です。高価なタングステンを使わず、安価なステンレスや鉛で代用しているため、重心位置が狂っていて、打ってもボールが上がらない・曲がる・飛ばないといった致命的な性能欠陥があります。せっかく憧れて手に入れたのに、これでは悲しすぎますよね。
- 「7」のフォント刻印:とくに714で顕著ですが、本物は数字の「7」の縦棒が微妙な曲線を描く独特のフォントです。対して偽物は、直線的で一般的なパソコンのゴシック体のような「7」になっているケースが見られます。
- サテン仕上げの質感:本物のAP2は、サテン(艶消し)部分とミラー(鏡面)部分の境界が非常に鮮明で美しい仕上げです。偽物は全体的にギラギラと光沢が強すぎたり、境界線がぼやけていたりします。
- 模倣品対策ラベル:日本国内正規品のシャフトには、日本ゴルフ用品協会(JGGA)が推奨する「模倣品対策ラベル」が貼られています。中古品では剥がれていることもありますが、残っていれば信頼性は高まります。
偽物のリスクを避けるいちばん確実な方法は、真贋鑑定のノウハウを持った大手中古ショップ(ゴルフパートナーやゴルフ5など)で買うことです。数千円をケチって偽物をつかまされるリスクを考えれば、ショップの保証付きを選ぶのは、むしろ安い保険だと言えると思いますよ。
※模倣品対策ラベルの詳細や、最新の真贋判定情報については、以下の一次情報も参考にしてください。
(出典:一般社団法人 日本ゴルフ用品協会『模倣品対策ラベルについて』)
中古AP2を買う前に確認したい注意点
偽物以外にも、中古アイアン特有の「見落としがちな落とし穴」があります。せっかく良い買い物にするために、買う前にここはチェックしておきたいというポイントを、いくつか挙げておきますね。
- 溝(スコアライン)の摩耗:とくにPWやショートアイアンは打球数が多く、溝が削れているとスピンがかかりにくくなります。グリーンで止まる球が打てるかどうかに直結する部分なので、フェース面はよく見ておきましょう。
- ライ角・ロフトの調整歴:前のオーナーが調整していると、自分のスイングに合わない可能性があります。気になるなら、購入後にショップでライ角チェックをしてもらうと安心です。
- シャフトのヘタリ・サビ:スチールシャフトでも、長期保管でサビが出ていたり、グリップが硬化していることがあります。グリップは交換すれば済みますが、状態は価格交渉の材料にもなります。
- セット構成(番手の抜け):中古の6本セットでも、番手が一部欠けていたり、別モデルが混ざっていることがあります。何番から何番までが揃っているか、必ず確認してくださいね。
- フレックス(硬さ)の確認:SやRなど、自分のヘッドスピードに合う硬さかどうか。試打できるなら、長い番手も含めて振ってみるのがいちばんです。
中古アイアンは、購入後にグリップ交換とライ角チェックをセットでお願いしておくと、コンディションがぐっと整います。数千円の追加投資ですが、「買ってよかった」と感じやすくなるので、私は毎回やっています。
打感と操作性に関するユーザー評価
最後に、実際にAP2を使っているゴルファーが口を揃えて評価する「打感」と「操作性」について触れておきますね。AP2の打感は、純粋なマッスルバック(MB)のような「吸い付くような柔らかさ」とは、少し違います。
複合素材ヘッド特有の、少し芯のある「カチッ」としたソリッドな感触。これがAP2の打感です。でもこれは決して不快な硬さではなく、「ボールを弾いている感覚」と「乗っている感覚」が絶妙にブレンドされた、情報量の多い打感なんですよね。インパクトの瞬間に、どこに当たったのか、どのくらいの強さで当たったのかが、手に取るようにわかります。
操作性についても、「曲げようと思えば曲がるし、真っ直ぐ打ちたいときは助けてくれる」という評価が定着しています。マッスルバックのように敏感すぎて意図せず曲がってしまうこともなく、大型キャビティのように鈍感すぎて操作を受けつけないこともない。まさに「オートマチックとマニュアルのいいとこ取り」。この絶妙なバランスが、多くのゴルファーを虜にし続けている理由かなと思います。
タイトリストアイアンAP2は今も名器か
AP2は、単なる「古いクラブ」ではありません。いまのツアーアイアンのスタンダードである「複合素材フォージド」というジャンルを確立した、まさに生ける伝説のような存在です。発売から年月が経っても色あせない理由は、ここにあるんですよね。
予算を抑えつつ、上達につながる本格的なアイアンを手に入れたいなら、AP2は間違いなく最良の選択肢の一つです。とくに716や718を選べば、現行モデルと比べても遜色のないパフォーマンスを発揮してくれます。もしショップの片隅で、状態の良いAP2に出会えたなら、それはちょっとした運命かもしれません。ぜひその手に取って、世界中のゴルファーが愛した「名器」の真価を体感してみてくださいね。あなたのゴルフがより豊かで楽しいものになることを、私も願っています。

