こんにちは!ゴルフの探求を楽しむ皆さんを応援する「19番ホール研究所」のthe19thです。
アプローチでグリーンを狙ったはずが、手前の芝に「ザックリ…」。今度こそと意識したら、今度はボールの頭を叩いて「トップ…」。バンカーに入れば一回で出る気がしない…。こうしたショートゲームの悩み、本当に尽きないですよね。その原因、もしかしたらあなたのスイングだけではなく、今使っているウェッジの「バウンス」にあるかもしれません。
ですが、いざウェッジバウンス選び方と言われても、「バウンス角が何度がいいの?」「ハイとかローとか、何が違うの?」と疑問だらけになるのが普通だと思います。初心者の方にとっては特に、おすすめのモデルや人気のボーケイウェッジのスペックを見ても、数字とアルファベットの羅列に見えてしまうかもしれません。アプローチの精度を上げてスコアメイクに繋げるためには、このバウンスという機能の理解が、実はものすごく強力な武器になるんです。
この記事では、そんな少し複雑で奥が深いウェッジのバウンスについて、あなたのスイングタイプやよくプレーするコースの状況に合わせて、後悔しない最適な一本を見つけるための考え方と具体的な知識を、できるだけ分かりやすく、そして詳しく解説していきますね。
- あなたに合うバウンス角の診断方法
- ダフリやトップといったミスを防ぐ仕組み
- バンカーや芝の状況に合わせた選び方
- 人気メーカーごとのウェッジの特徴と比較
ミスが減るウェッジバウンス選び方の基礎知識
まずは「そもそもバウンスって何なの?」という、全ての基本となる部分からじっくり見ていきましょう。この仕組みを理解するだけで、これまでとは全く違う視点でウェッジを選べるようになりますし、なぜミスが起きていたのか、その原因にも気づけるはずです。あなたのスイングがどんなタイプなのかを知るための簡単な診断も用意したので、ぜひ試しながら読み進めてみてください。
バウンス角とは?基本的な役割を解説
ゴルフショップのウェッジコーナーに行くと、スペック表に必ず書かれている「バウンス角」や「BOUNCE」という表記。これは、クラブのソール(底面)を水平な地面に置いたときに、リーディングエッジ(刃先)がどれだけ浮いているかを示す角度のことです。例えば「バウンス角12°」とあれば、リーディングエッジが地面から12°分浮き上がっている、ということになります。
では、なぜこの角度が必要なのでしょうか?それは、この「浮き」があることで、ウェッジのヘッドは地面に突き刺さることなく、まるで雪の上を滑るスキーの板のように、芝や砂の上をスムーズに滑走してくれるからです。もしバウンスが全くない(0°の)ウェッジがあったとしたら、少しでもボールの手前にヘッドが入った瞬間に、刃先が地面に突き刺さってしまい、クラブが全く前に進まなくなってしまいます。これが、いわゆる「ザックリ」の正体です。
つまり、バウンスはインパクトのわずかな打点のズレをクラブ側がカバーしてくれる、非常に重要な「お助け機能」であり「ミスへの保険」なんですね。
バウンスを構成する3つの要素
バウンスの効果を正しく理解するためには、「角度」だけでなく、以下の3つの要素を複合的に捉えることが大切です。
1. バウンス角 (Bounce Angle)
文字通り、スペックに表示されている数値上の角度(例:8°, 10°, 14°)です。この数値が大きいほど、リーディングエッジの浮きが大きくなり、地面への刺さりを防ぐ効果が高まります。
2. ソール幅 (Sole Width)
リーディングエッジから後方のトレーリングエッジまでの、ソールの広さのことです。同じバウンス角でも、ソール幅が広いほど地面との接地面積が増えるため、ヘッドが地面に潜りにくくなります。水面に手のひらを広げて押し付けると強い抵抗が生まれるのと同じで、接地圧が分散されて「浮力」のような効果が生まれるんですね。
3. キャンバー (Camber)
ソールの丸みの度合いのことです。ソールが真っ平らではなく、少し丸みを帯びていることで、様々な角度からヘッドが入ってきても、地面とスムーズにコンタクトしやすくなります。このキャンバーが、スイング軌道のわずかなブレに対する許容度を高めてくれるんです。
あなたの打ち方に合うバウンス角診断
最適なバウンス角を見つける上で、最も重要なのが「自分のスイングタイプを知ること」です。プロゴルファーは自身のスイングの入射角を正確に把握していますが、私たちアマチュアでも、普段のショットの傾向から自分のタイプを診断することができます。ここでは大きく「ディガー」と「スイーパー」という2つのタイプに分けて、それぞれの特徴と合うバウンスを見ていきましょう。
タイプ1:ディガー(Digger / 打ち込むタイプ)
「Dig」とは「掘る」という意味。その名の通り、ボールに対してクラブヘッドを上から鋭角に打ち込んでいくスイングタイプです。
- スイング特徴:インパクトで深いディボット(ターフ)が取れる。ハンドファーストの度合いが強く、体重移動をしっかり使ってボールを上から潰すように打つイメージ。
- ミスの傾向:少しでもインパクトが手前に入ると、リーディングエッジが地面に深く突き刺さり、ヘッドが抜けなくなる「ザックリ」や、飛距離が大幅に落ちるミスが出やすい。
- 推奨バウンス:ハイバウンス(12°〜14°以上)が絶対におすすめです。
- 物理的根拠:鋭角に地面へ衝突するエネルギーを、大きなバウンスが「抵抗板」となって受け止め、相殺してくれます。これによりヘッドの潜りすぎを防ぎ、スムーズに滑走させてくれるのです。特にソール幅の広い「ワイドソール」を持つモデルは、接地圧をさらに分散させるため、まさに鬼に金棒です。
タイプ2:スイーパー(Sweeper / 払い打つタイプ)
「Sweep」は「掃く」という意味。まるでホウキで地面を掃くように、緩やかな入射角でボールを横からクリーンに捉えるスイングタイプです。
- スイング特徴:ディボットがほとんど取れないか、取れても芝の表面を擦る程度の非常に薄い跡になる。手首のコックをあまり使わず、体の回転でレベル(水平)に振るイメージ。
- ミスの傾向:バウンスが大きすぎると、インパクトの前にソールが地面に接地してしまい、ヘッドが跳ね返されます。その結果、リーディングエッジが浮き上がってボールの赤道を叩く「トップ」や、グリーンを遥かにオーバーする「ホームラン」が出やすくなります。
- 推奨バウンス:ローバウンス(4°〜8°)が適しています。
- 物理的根拠:入射角が浅いため、そもそも地面に深く刺さるリスクが低いスイングです。そのため、刺さりを防ぐための大きなバウンスは必要なく、むしろ邪魔になってしまいます。ローバウンスなら、ソールが地面に干渉することなく、リーディングエッジをボールの下に滑り込ませて、クリーンなインパクトを実現できます。
初心者におすすめのバウンス角は何度?
「まだ自分のスイングタイプがよく分からない…」というゴルフ初心者の方や、アベレージゴルファーの方は、どのバウンス角を選べばいいか特に迷いますよね。結論から言うと、そうした方が最初に選ぶべき基準となるのは、ズバリ「ミッドバウンス(10°〜12°)」です。
なぜなら、ミッドバウンスは、極端な性能に振られていないため、様々な状況で安定したパフォーマンスを発揮してくれるからです。その理由をもう少し詳しく見ていきましょう。
理由1:あらゆるライに対応できる汎用性の高さ
ゴルフコースには、綺麗なフェアウェイだけでなく、少し芝が薄い場所、逆にフカフカした場所、硬い地面、柔らかい地面など、様々な状況(ライ)が存在します。ローバウンスは硬いライに、ハイバウンスは柔らかいライに強いという特性がありますが、ミッドバウンスはその中間。どちらの状況でも、大きなミスになりにくく、そこそこの結果を出してくれるのが最大のメリットです。いわば「優等生」的な存在ですね。
理由2:自分のスイングを知るための「基準点」になる
ミッドバウンスのウェッジを使っていると、「こういう状況だと少しダフりやすいな」「こういう場面ではトップ気味になるな」といった、自分のスイングの傾向が見えてきます。もしダフることが多いなら、次はもう少しハイバウンスを。トップが多いならローバウンスを、といったように、自分のゴルフを診断するための「基準点」や「リトマス紙」として機能してくれるのです。最初から極端なスペックを選ぶと、ミスがクラブのせいなのか自分のせいなのか分かりにくくなってしまいます。
ダフリに効くハイバウンスのメリット
アプローチにおける最もガッカリするミスの一つが「ダフリ」。ボールの手前の地面を叩いてしまい、ボールが全く飛ばない、あのガッカリ感はスコアにもメンタルにも大きなダメージを与えます。もしあなたがこのダフリに頻繁に悩んでいるなら、ハイバウンスのウェッジはまさに救世主となる可能性を秘めています。
ダフリは、スイングの最下点がボールの手前に来てしまうことで起こりますが、ハイバウンス(12°以上)のウェッジは、このミスを物理的にカバーしてくれます。その大きな理由は、インパクトでソールが先に地面に接触し、スキー板のように滑走してくれるからです。
ハイバウンスがダフリを防ぐメカニズム
インパクトでヘッドがボールの手前数センチに落下したとします。もしこれがローバウンスのウェッジなら、リーディングエッジ(刃)が地面に突き刺さり、ヘッドの動きが止まってしまいます(ザックリ)。しかし、ハイバウンスなら、リーディングエッジが地面に刺さる前に、ソールの後方(トレーリングエッジ側)の出っ張りが先に地面に接触します。すると、その反力でヘッドは地面に潜ることなく、前方に滑り始めるのです。この滑走効果のおかげで、多少ダフってもヘッドのスピードが落ちにくく、結果的にボールを前へ運んでくれる、というわけです。
もちろん、メリットばかりではありません。硬く締まった地面や、芝が薄いベアグラウンドのような状況では、バウンスが地面に跳ね返されてトップのミスが出やすくなるというデメリットもあります。しかし、多くのアマチュアゴルファーにとって、トップよりもダフリによる飛距離ロスの方が大きな痛手になることが多いはず。ダフリのミスを保険でカバーしたいと考えるなら、ハイバウンスは非常に心強い選択肢となるでしょう。
トップを防ぐローバウンスの活用法
一方で、ボールの赤道や頭をカツンと叩いてしまう「トップ」。ライナー性の低い球がグリーンを遥かにオーバーしていく、これもまた避けたいミスですよね。特に、硬いフェアウェイや締まったバンカーでこのミスが多いという方は、もしかしたらお使いのウェッジのバウンスが大きすぎることが原因かもしれません。
このトップの原因は、インパクトの前にウェッジのソールが出っ張りすぎている(バウンスが効きすぎている)ために、地面に弾かれてリーディングエッジが浮き上がってしまうことにあります。この現象を防ぎ、ボールをクリーンに拾うことを助けてくれるのが、ローバウンス(4°〜8°)のウェッジです。
ローバウンスは、ソールの出っ張りが少ないため、地面との不要な接触を最小限に抑え、リーディングエッジをボールの下のわずかな隙間にスッと滑り込ませることを可能にします。これにより、ボールだけを正確にコンタクトする「拾い打ち」が非常にやりやすくなるのです。
ローバウンスが輝く具体的な活用シーン
ローバウンスウェッジは、その特性から特定の状況下で絶大な効果を発揮します。まさに「仕事人」のような存在ですね。
活用シーン1:硬い地面やベアグラウンド
夏の時期のカチカチのフェアウェイや、カート道近くの土が露出したようなライ。こうした場面では、ハイバウンスは確実に跳ねます。ローバウンスなら、地面に弾かれることなく、ボールを直接コンタクトできます。
活用シーン2:テクニカルなショット
グリーン周りでフェースを大きく開いて、ボールをフワリと高く上げる「ロブショット」を打ちたい時。ハイバウンスのウェッジでフェースを開くと、バウンスがさらに地面の方向に向いてしまい、リーディングエッジが極端に浮き上がります(出っ歯の状態)。これでは刃がボールの下に入りません。ローバウンスなら、フェースを開いてもリーディングエッジが浮きにくいため、こうした繊細なショットの成功率を高めてくれます。
活用シーン3:硬く締まったバンカー
雨上がりなどで砂が締まっているバンカーでは、ハイバウンスは砂の上で跳ねてしまい、ホームランの危険性が高まります。ローバウンスであれば、バウンスが邪魔をせず、鋭角にヘッドを砂に入れることができます。
状況別で考えるウェッジバウンス選び方応用編
さて、ここからは応用編です。スイングタイプという自分自身の要因だけでなく、ゴルフコースという外的要因、そしてクラブセッティング全体の流れを考慮に入れることで、ウェッジバウンス選び方はさらに深く、戦略的になります。各メーカーがどんな思想でウェッジを設計しているのかを知るのも面白いですよ。あなただけの最適なセッティングを見つけるための、最後のピースを埋めていきましょう。
アプローチで優位に立つバウンスとは
アプローチショットの成否は、スイングだけでなく、ボールが置かれている「ライ」の状況に大きく左右されます。特に、日本のゴルフ場で主流の芝と、海外のトーナメントなどで見られる芝では、その性質が全く異なるため、求められるウェッジの性能も変わってきます。自分のホームコースの芝質を理解することは、スコアメイクにおいて非常に大きなアドバンテージになります。
日本のゴルフ場に多い「高麗芝(こうらいしば)」
日本固有の芝で、暖地型芝とも呼ばれます。夏場の暑さに強く、多くのゴルフ場で採用されています。
- 特性:葉が硬く、密度が高いのが特徴。そのため、ボールが完全に地面に沈むことは少なく、芝の上に少し浮いたような状態になりやすいです。
- バウンスへの影響:ボールが浮いているため、リーディングエッジをボールの下に入れやすく、比較的ローバウンスのウェッジでもクリーンに拾いやすい環境と言えます。しかし、ひとたび逆目のラフに入ると話は別。硬い葉が強烈にヘッドに絡みつき、抵抗が極めて強くなります。
- 推奨スペック:フェアウェイからのアプローチを重視するなら、操作性の高いミッド〜ローバウンスが扱いやすいでしょう。一方で、ラフからのショットを楽にしたいなら、芝の抵抗に負けずにヘッドを滑らせてくれる、ソール幅の広いモデルも有効な選択肢になります。
海外や寒冷地のコースに多い「ベント芝」
寒冷地型の芝で、葉が柔らかく繊細なのが特徴。高速グリーンを実現できるため、トーナメントコースなどでよく使用されます。
- 特性:葉が柔らかいため、ボールが自重で芝の中に沈み込みやすいです。特に雨上がりや朝露で地面が湿っていると、その傾向はさらに顕著になります。
- バウンスへの影響:ボールが沈んでいる上に地面も柔らかいため、バウンスの助けがないとヘッドが地面に潜りやすく、致命的なダフリ(ダルマ落としやチャックリ)が出やすくなります。
- 推奨スペック:柔らかい地面に対してヘッドが潜るのを防ぎ、浮力を確保することが最優先となります。そのため、ミッド〜ハイバウンスが断然有利。バウンスがしっかりと地面とコンタクトし、ヘッドを前へ滑らせてくれる感覚が得られるはずです。
このように、自分がよくプレーするコースの芝質を意識するだけで、選ぶべきバウンスの方向性が見えてきます。もし分からなければ、コースのスタッフの方に「ここのフェアウェイは高麗ですか?ベントですか?」と聞いてみるのも良い方法ですよ。
バンカーの砂質に合わせたバウンス角
「サンドウェッジ」という名前の通り、バンカーショットはウェッジの性能が最も試される場面です。そして、その成否を分けるのが「砂質」と「バウンス角」のマッチング。全てのバンカーが同じ砂ではないことを理解すれば、なぜ今まで上手くいかなかったのか、その理由が分かるかもしれません。
バンカーショットにおけるバウンスの最も重要な役割は、砂を叩いたときにヘッドを砂の中に潜らせすぎず、適度に爆発(エクスプロージョン)させてボールと一緒に外へ押し出すことです。この「爆発の制御」が、砂質によって変わってくるのです。
ふかふかで柔らかい砂(Soft Sand)
テレビで見るプロのトーナメントのような、真っ白で粒子の細かい、フワフワの砂がこれにあたります。アゴの高いバンカーでよく見られますね。
- 現象:ヘッドが砂の抵抗に負けて、どこまでも深く潜り続けてしまいがちです。結果、ヘッドがボールの下を通り過ぎてしまい、ボールがバンカーから出ないというミスにつながります。
- 対策:ここではハイバウンス(12°〜14°)や、ソール幅の広いワイドソールが絶大な効果を発揮します。大きなバウンスが砂に深く潜るのを防ぎ、強烈な爆発力を生み出してヘッドを力強く浮上させてくれます。まさに「バウンス様様」といった状況です。
硬い砂・濡れた砂(Firm/Wet Sand)
日本の多くのゴルフ場で見られる、雨で締め固まった砂や、元々砂の量が少ないバンカーがこれです。
- 現象:ヘッドが砂の表面で弾かれてしまいます。バウンスが効きすぎると、リーディングエッジがボールの下に入る前にヘッドが跳ね返され、ボールの赤道を直撃するトップ(ホームラン)の危険性が非常に高くなります。
- 対策:バウンスが邪魔にならないよう、ロー〜ミッドバウンス(8°〜10°)が適しています。少ないバウンスなら、ヘッドが弾かれることなく、リーディングエッジを鋭角に砂へコンタクトさせることができます。
ロフト角との最適な組み合わせを発見
ウェッジを1本だけで考えるのではなく、アイアンセットからの流れを含めた「セッティング全体」で考えることが、スコアメイクの鍵を握ります。特に、各ウェッジのロフト角(飛距離)とバウンス角(機能)の役割分担を明確にすることが重要です。ここでは、一般的なウェッジの番手ごとに、最適なバウンスの組み合わせを考えてみましょう。
上級者の常識「ハイ・ロー コンビネーション戦略」
ウェッジセッティングに悩んだら、多くの上級者やプロが採用している「ハイ・ロー コンビネーション」という考え方が非常に参考になります。これは、異なる特性を持つウェッジを組み合わせることで、コース上のあらゆる状況に対応しようという戦略です。
【構成例】
- SW 56° / バウンス14° (ハイバウンス)
- 役割:「保険・守りのクラブ」
- 用途:バンカー、深いラフ、柔らかいフェアウェイなど、とにかくミスをしたくない場面でオートマチックに使う。
- LW 60° / バウンス8° (ローバウンス)
- 役割:「武器・攻めのクラブ」
- 用途:硬い地面、薄い芝からのアプローチ、砲台グリーンへのロブショットなど、技術を駆使してピンをデッドに狙いたい場面で使う。
このように役割の違う2本があれば、「今日のバンカーは砂が硬いから60°を使おう」「ラフが深いから56°で確実に出そう」といったように、状況に応じたクラブ選択が可能になります。1本のウェッジですべてをこなそうとするリスクを分散できる、非常に賢明なセッティングと言えるでしょう。
ボーケイなど人気メーカーの特徴比較
ウェッジ市場は、各メーカーが独自の哲学と技術を注ぎ込む、非常に競争の激しいカテゴリーです。ここでは、特にツアープロからの信頼も厚い3大メーカー「Titleist (Vokey)」「Callaway (Jaws)」「Cleveland (RTX)」に絞り、それぞれのソール形状(グラインド)が持つ特徴を詳しく見ていきましょう。自分のスイングやプレースタイルに合うのはどのメーカーのどのグラインドか、想像しながら読み進めてみてください。
Titleist Vokey Design (タイトリスト ボーケイデザイン)
ウェッジの巨匠、ボブ・ボーケイ氏が手掛ける、ツアー使用率No.1を誇るブランド。「ゴルファーにあらゆる選択肢を提供する」という哲学のもと、業界で最も豊富なグラインド(ソール形状)のラインナップを誇ります。(出典:Titleist Vokey Design 公式サイト)
- K Grind:最もソール幅が広く、バウンスも最大。究極の優しさを提供し、特にバンカーが苦手なゴルファーの救世主。
- F Grind:伝統的なフルソール。アイアンからの流れでフルショットするのに最適で、スクエアに構えてシンプルに打ちたい人向け。
- S Grind:Fをベースにトレーリングエッジを少し削り、抜けを良くした万能型。幅広いスイングタイプにマッチします。
- M Grind:ボーケイ氏自身が最も好むとされる三日月型ソール。フェースの開閉がしやすく、多彩なショットを打ちたいテクニシャン向け。
- D Grind:Mグラインドの操作性を持ちながら、ハイバウンスで優しさをプラス。打ち込むタイプだけどフェースも開きたい、という欲張りな要求に応えます。
- T Grind:究極のローバウンス。硬いライやベアグラウンドからボールを拾う、ツアープロレベルの技術が求められる超上級者モデル。
Callaway JAWS (キャロウェイ ジョーズ)
こちらも伝説的職人、ロジャー・クリーブランド氏が設計。革新的なアイデアと、どんなレベルのゴルファーにもマッチする寛容性が魅力です。
- W Grind:最もワイドなソールで、ダフリに対する寛容性は最大級。柔らかいコンディションや打ち込むタイプのゴルファーに最適。
- S Grind:標準的なソール形状。フルショットからピッチショットまで、あらゆる状況に対応するベースとなるモデル。
- C Grind:ヒールとトゥを大きく削った三日月(Crescent)形状。フェースを開いてもリーディングエッジが浮きにくく、操作性抜群。
- Z Grind:ローバウンスながら、リーディングエッジに特殊な面取り(チャンファー)を施し、地面への刺さりを物理的に防ぐという革新的なデザイン。
Cleveland Golf (クリーブランドゴルフ)
「アマチュアゴルファーのスコアアップに貢献する」という明確な哲学を持ち、スキルレベルに合わせた分かりやすいラインナップを展開しています。
- RTXシリーズ:プロ・上級者向けのツアーモデル。抜けの良さを追求したV字型ソールなどが特徴で、FULL/MID/LOWの3つのバウンスから選択可能。
- CBXシリーズ:「アイアンがキャビティなら、ウェッジもキャビティにすべき」というコンセプトから生まれた、アマチュアの強い味方。圧倒的な寛容性を誇ります。
- Smart Sole:バウンスという概念を超越した超幅広ソールが特徴。「絶対にダフらない」ことを目指して設計された、アプローチやバンカーに深刻な悩みを持つゴルファーのための最終兵器。
女性ゴルファー向けのおすすめモデル
女性ゴルファーがウェッジを選ぶ際には、男性とは少し違った視点が重要になります。一般的に、女性は男性に比べてヘッドスピードが緩やかであるため、クラブの重さや地面との抵抗に負けやすく、それがダフリや飛距離ロスにつながることが多いからです。ポイントは「優しさ」と「振りやすさ」です。
バウンス角とソール形状の選び方
まず最優先で考えたいのが、ダフリのミスをクラブが助けてくれることです。そのため、バウンス角が12度以上ある「ハイバウンス」モデルが非常におすすめです。インパクトで多少手前からヘッドが入っても、ソールが滑ってくれるため、ヘッドスピードの減速を最小限に抑え、ボールをしっかりと前に運んでくれます。
また、Clevelandの「CBX」シリーズや「Smart Sole」のような、ソール幅が広く設計されているモデルや、キャビティバック構造のウェッジも、女性ゴルファーにとって非常に心強い味方になります。アイアンと同じような感覚で構えられ、スイートエリアが広いため、少し芯を外しても飛距離や方向性のブレが少ないのが最大のメリットです。難しいことを考えず、シンプルにボールを打つことに集中できます。
シャフト選びと重量フローの重要性
見落としがちですが、シャフト選びも非常に重要です。アイアンセットには軽量なカーボンシャフトや軽量スチールを入れているのに、ウェッジだけが男性用の重いスチールシャフト(Dynamic Goldなど)だと、クラブ全体の重量バランスが崩れてしまい、振り心地が悪くなってしまいます。重すぎて振り切れず、かえってミスを誘発することにもなりかねません。
理想は、アイアンセットの流れに合わせた、専用のカーボンシャフトや、N.S.PRO Zelosシリーズのような超軽量スチールシャフトが装着されたモデルを選ぶことです。これにより、クラブセッティング全体の「重量フロー」がスムーズになり、どのクラブを持っても同じリズムでスイングしやすくなります。
結論、後悔しないウェッジバウンス選び方
さて、ウェッジのバウンスという、少しマニアックで奥深い世界を一緒に旅してきましたが、いかがでしたでしょうか。多くの情報をお伝えしてきましたが、最後に「じゃあ、結局どうすればいいの?」という疑問に答えるため、後悔しないウェッジバウンス選び方の最終結論を、シンプルな3つのステップにまとめておきたいと思います。
そして、理論やスペックも非常に重要ですが、私が最終的に一番大切だと思うのは、実際にクラブを構えてみて、そしてボールを打ってみて「あ、これ好きだな」「なんか上手く打てそう」と感じる、あなた自身のフィーリングです。ウェッジはスコアに直結するクラブだからこそ、スペック上の正しさだけでなく、アドレスした時の「顔つき」や、ボールを打った時の「打感」、そして何より「信頼感」が大切になります。
もし可能であれば、ぜひゴルフショップや試打会などで、気になるモデルを実際に手に取って、試してみてください。正しいウェッジバウンス選び方は、あなたのアプローチやバンカーショットの悩みを解決し、ゴルフをさらに楽しくしてくれる最強の相棒を見つける旅です。この記事が、その旅の頼れる地図となれば、これほど嬉しいことはありません。



