PR

L字マレットパター名器図鑑|歴代モデルから打ち方まで

L字マレット 用品

こんにちは!19番ホール研究所のthe19thです。

「L字マレットパターの名器って、どんなモデルがあるんだろう?」

ゴルフ好きなら一度は憧れる、あの独特で美しい形状。ツアーシーンでフィル・ミケルソンや石川遼プロのようなトップ選手が華麗にカップインさせる姿を見て、自分もあんな風にパッティングしてみたい、と思ったことがあるかもしれませんね。特にオデッセイの#9やスコッティキャメロンのデルマーといったモデルは、その名前を聞くだけでゴルフ好きの心をくすぐる、特別な響きを持っています。

でも、その憧れと同時に、「L字マレットって、やっぱり難しいんじゃないかな?」「自分に合った打ち方がわからないと宝の持ち腐れになりそう」「中古で探したいけど、伝説的なブラックシリーズ iXみたいな古いモデルって、今でも通用するの?」といった、たくさんの疑問や不安が湧いてくるのも事実だと思います。最近ではテーラーメイドのトラスのような革新的な構造も登場し、選択肢が多すぎて、一体どれが自分に合うのか迷ってしまうのも無理はありません。おすすめのモデルの比較はもちろん、8の字ドリルのような効果的な練習法、さらには手に入れた後のメンテナンス方法まで、知りたいことは山積みですよね。

この記事では、そんなL字マレットパターに関するあらゆる疑問を一つひとつ丁寧に解消していくために、歴代の名器と呼ばれるモデルたちの詳細な魅力から、その性能を120%引き出すための具体的なテクニック、そしてあなたに最適な一本を見つけるための選び方まで、徹底的に、そして深く掘り下げていきます。この記事を読み終える頃には、あなたにとって最高の相棒となる運命の一本が、きっと見えているはずです。そのお手伝いができれば、私にとってこれほど嬉しいことはありません。

  • 歴代の名器と呼ばれるL字マレットの背景と詳細な特徴
  • L字マレットのポテンシャルを最大限に引き出す基本的な打ち方と練習法
  • 中古市場で後悔しない、本物の名器を探し出すための鑑定ポイント
  • あなたのプレースタイルやこだわりに合った最高の一本を見つけるための選び方
スポンサーリンク

時代を彩るl字マレットパターの名器たち

L字マレットパターと聞いて、あなたはどんなモデルを思い浮かべますか?それはプロが使う特別な道具でしょうか、それともゴルフの歴史を感じさせる工芸品でしょうか。ここでは、単なるゴルフクラブの枠を超え、ゴルフ史にその名を刻み、今なお多くのゴルファーを魅了し続ける伝説的なモデルたちをご紹介します。それぞれのモデルが持つ個性や生まれた背景、そして輝かしいストーリーを知ることで、スペックだけでは分からない、深い魅力に気づくはずです。きっと、あなただけの特別な一本が見つかる旅の始まりになりますよ。

オデッセイ #9という絶対的王者

L字マレットの世界、その歴史と進化を語る上で、オデッセイの「#9」形状の存在を無視することは絶対にできません。もはや一つのモデル名というより、L字マレットというカテゴリーそのものを定義づけた、絶対的なアイコンと言っても過言ではないでしょう。

この形状がゴルフ界に与えたインパクトは、L字型(ブレード)が持つ繊細な操作性と、マレット型が持つ安定感や安心感という、本来であれば両立が難しいとされた二つの要素を、極めて高い次元で融合させた点にあります。伝統的なL字パター(例えばウィルソン8802など)は、フェースを開閉させてボールを操る感覚に優れていましたが、あまりにも芯が狭く、少しのミスも許されない非常にシビアなものでした。一方で、大型マレットはミスヒットには強いものの、ヘッドが大きすぎて操作性が鈍く、感性を活かしたパッティングがしづらいという側面がありました。

#9は、その両者の「いいとこ取り」をした画期的なデザインだったのです。ヒール側にシャフトが装着されていることで、ゴルファーは自身の感覚でフェースをコントロールしやすく、アイアンショットの延長線上にあるようなフィーリングでボールを打ち出せます。それでいて、ヘッド後方に翼のように伸びたフランジ部分がしっかりと重量を確保し、重心を深くすることで、オフセンターヒットした際のヘッドのブレを劇的に抑制してくれるんですね。

この絶妙なバランスが、あの左利きの天才フィル・ミケルソンを長年にわたって虜にし、数々のメジャータイトル獲得に貢献しました。彼がプロトタイプを手にグリーンに現れたとき、その独特な形状は多くの人々の注目を集め、「プロが選ぶ、操作できるマレット」としての地位を不動のものにしたのです。プロが求める繊細なタッチと、我々アマチュアにも嬉しい寛容性。その両方を兼ね備えた#9は、パターデザインの歴史における一つの到達点であり、今なお多くのメーカーが手本にする不朽のスタンダードだと思います。

至高のブラックシリーズ iXの評価

オデッセイが生み出した数多くの#9モデル。その中でも、ひときわ特別な輝きを放ち、「名器中の名器」「最高傑作」として今なお熱狂的なファンに語り継がれているのが「ブラックシリーズ iX #9」です。

このパターが、なぜ他の#9と一線を画す存在として神格化されているのか。その最大の秘密は、ヘッドに採用された先進的な異素材複合設計に隠されています。ヘッド本体は、プロや上級者が好む非常に打感が柔らかい軟鉄(カーボンスチール)を精密に削り出して作られています。そして、このモデルを特別たらしめているのが、ヘッド後方のフランジ部分に埋め込まれた、比重が鉄の約2.5倍もある高価な金属「タングステン」のウェイトです。

この設計により、他のパターでは実現が難しい、驚くべき物理的メリットが生まれています。

ブラックシリーズ iX #9がもたらす魔法

  • 圧倒的な「順回転」性能: 重いタングステンをヘッドの一番後ろ、そして低い位置に配置することで、重心位置が極端に低く、深くなります。これにより、インパクトの瞬間、ボールの赤道より下を効率よくヒットし、まるでギアが噛み合うかのように強烈な順回転(オーバースピン)を発生させます。この「転がりの良さ」は、下りや逆目のグリーンでも芝目に負けず、カップ際でひと伸びする力強いボールを生み出します。
  • 操作性と寛容性の奇跡的な両立: ヘッドサイズ自体は非常にコンパクトで、シャープな見た目通り、繊細な操作が可能です。しかし、ヘッド後方に重量が集中しているおかげで、左右方向の慣性モーメント(MOI)は驚くほど高い。これはつまり、芯を少し外してヒットしてもヘッドがブレにくく、打点ミスによる距離や方向のロスが非常に少ないことを意味します。「操作できるのに、ミスにも強い」という、ゴルファーの究極の理想を形にした設計なのです。

実際に使用したゴルファーからは、「これに替えて3パットがなくなった」「打感がソリッドなのに、インサートのおかげで信じられないほど柔らかい」「ボールの伸びが他のパターと全然違う」といった絶賛の声が後を絶ちません。中古市場では、その性能の高さから年々希少価値が上がり、状態の良いものは高値で取引されています。もしあなたが幸運にもこのパターに出会うことがあれば、それは単なる中古クラブではなく、ゴルフ史に残る芸術品との出会いと言えるかもしれませんね。

スコッティキャメロン デルマーの美学

オデッセイが「機能と革新の王様」であるならば、スコッティキャメロンの「デルマー(Del Mar)」は、疑いようもなく「美学と感性の王様」でしょう。タイガー・ウッズを始めとする数多のトッププロを支えてきたこのブランドは、単なるゴルフ道具ではなく、持つこと自体がステータスとなる工芸品としての側面を強く持っています。

その中でもデルマーは、L字マレットの持つ優美な曲線を、スコッティキャメロンならではの感性で磨き上げた珠玉のモデルです。カリフォルニア州の美しい海岸沿いの街に由来するその名は、パターが持つクラシックで洗練された雰囲気を完璧に表現しています。

精密な削り出しが生む、官能的な打感

キャメロンのパター、特にデルマーの真髄は、303ソフトステンレスなどの金属の塊から、一本一本精密に削り出される(ミルド)製法にあります。これにより、溶接やインサートといった余計な要素が一切介在しない、純粋な金属の打感(フィードバック)をゴルファーの手に伝えてくれます。ボールがフェースのどこに当たったのか、どんなインパクトだったのかが、音と振動でダイレクトに感じられるのです。この明確なフィードバックこそ、繊細な距離感を合わせる上で最高のガイドとなります。

特に「カリフォルニア デルマー」シリーズなどで採用された「ハニーディップ」と呼ばれる、蜂蜜のような美しい黄金色のフィニッシュと、深く刻まれたフェースミーリング(ディープミルド)の組み合わせは、ボールがフェースに吸い付くような、官能的とまで評される極上の打感を生み出し、多くのゴルファーを虜にしました。

時代と共に進化するデルマー

デルマーは、その基本形状を守りながらも、時代のニーズに合わせて進化を続けています。

デルマーの進化の系譜

モデル 特徴 打感・フィーリング
California Del Mar ハニーディップ仕上げ、ディープミルドフェースが特徴。クラシックな美しさを持つ。 非常にソフトで、ボールがフェースに長く乗る感覚。
Special Select Del Mar (2020) インサートを廃したソリッドなワンピース構造に原点回帰。よりシャープな形状に。 ソリッドでダイレクトな打感。インパクトのフィードバックが明確。
Super Select Del Mar (2023) 新開発のデュアルミルドフェース採用。ソールプレートの最適化で寛容性も向上。 ソフトさとソリッド感を両立。ミスヒットへの強さも感じられる。

オデッセイ#9がインサートによるソフトな打感でボールを優しく「運ぶ」感覚だとすれば、キャメロン デルマーは金属のソリッドな打感でボールを的確に「弾く」感覚。どちらが良いというわけではなく、ゴルファーがどちらの感性を好むか、という美学の世界なのです。

革新的構造のトラスパターとは

「L字マレットの美しい形状は大好きだ。でも、やっぱりミスヒットしたときの安定感が不安…」多くのゴルファーが抱えるこのジレンマに、まったく新しい物理的アプローチで画期的な解決策を提示したのが、テーラーメイドの「トラス(TRUSS)」シリーズです。

このパターの革新性は、一目見れば分かります。ヘッドとシャフトを繋ぐネック部分。従来のパターが細い一本の棒状であるのに対し、トラスパターは建築構造で強度を高めるために用いられる三角形の骨組み「トラス構造」を大胆に採用しているのです。

なぜこの形状なのか?従来のL字マレットは、構造上、ネックの付け根の一点にインパクトの衝撃が集中しやすく、特に芯を外した(トゥやヒールでヒットした)際に、ヘッドがねじれやすいという物理的な弱点を抱えていました。これが、ミスヒット時にボールが大きく曲がったり、距離がショートしたりする主な原因でした。

トラス構造は、ネックとヘッドの接合点を2点に増やすことで、インパクトの衝撃を分散させ、ヘッド全体の剛性を劇的に向上させます。これにより、オフセンターヒット時でもフェース面の向きが変わりづらく、ヘッドのブレが物理的に抑制されるのです。(出典:TaylorMade Golf公式サイト

トラス構造がもたらすメリット

  • 圧倒的な直進安定性: ミスヒットしてもフェースの向きが変わりにくい為、ボールが狙った方向に真っ直ぐ転がりやすくなります。データ上でも、オフセンターヒット時のボールスピードの低下が少ないことが示されています。
  • L字の構えやすさはそのまま: 斬新なネック形状ですが、アドレス時に上から見ると、ゴルファーの視界を邪魔しないよう巧みに設計されています。そのため、従来のL字マレットが持つシャープな見た目やターゲットへの構えやすさを損なうことがありません。

日本では、女子プロゴルファーの稲見萌寧プロがこのトラスパターを武器に、驚異的なパッティングスタッツを記録して年間女王に輝いたことで、一気に人気が爆発しました。伝統的なL字マレットのフィーリングを愛しつつも、スコアメイクのために最新テクノロジーによる安定性も追求したい。そんな現代ゴルファーの理想を叶えてくれる、まさに「ハイブリッドな名器」と呼ぶにふさわしい一本です。

石川遼プロが愛したモデルを解説

日本国内におけるL字マレットの人気と評価を語る上で、石川遼プロの存在は絶対に欠かすことができません。彼がゴルフ界に与えた影響は計り知れず、その使用クラブは常に多くのゴルファーの注目の的でした。

特に衝撃的だったのが、彼が史上最年少の18歳で賞金王に輝いた2009年シーズン。その歴史的な快挙を足元で支えていたのが、エースパターであったオデッセイの「ブラックシリーズ iX #9」だったのです。彼の代名詞であったアグレッシブなプレースタイル、バーディーを狙って果敢にピンを攻める強気のパッティングは、このパターの持つ卓越した操作性と転がりの良さによって、完璧にサポートされていました。

なぜ、感覚派はL字マレットを選ぶのか?

石川プロのような卓越した感性を持つプレーヤーが、なぜオートマチックな大型マレットではなく、L字マレットを選ぶのでしょうか。その答えは、L字マレットが持つ「自由度の高さ」にあります。フェースの開閉をゴルファー自身の意思で積極的にコントロールできるため、ストレートラインだけでなく、フックラインやスライスラインといった複雑な傾斜に対しても、ボールを乗せていくラインを繊細にイメージし、それを具現化することが可能です。「パターに仕事をさせる」のではなく、「自分がボールを操る」という感覚を重視するプレーヤーにとって、これ以上ない武器となるのです。

彼の活躍は、テレビを通じて多くの日本のゴルフファンに強烈な印象を与えました。「L字マレットは、プロや上級者がその感性を最大限に活かすための特別な道具なんだ」というイメージが広く浸透し、多くのアマチュアゴルファーにとって憧れの対象となったのです。

また、彼は「ブラックシリーズ iX #9」だけでなく、キャリアの中で「ホワイトホットXG #9」など、様々な#9モデルを試しており、その時々の自分の感覚に最も合う一本を追求し続けていました。このことからも、#9形状が持つ基本設計の優秀さと、ゴルファーの感性に応える懐の深さが伺えますね。

L字マレットパターの名器を使いこなす技

念願のL字マレットを手に入れた。しかし、実際にコースで使ってみると思うようにいかない…そんな経験はありませんか?憧れの名器も、そのポテンシャルを引き出せなければ宝の持ち腐れになってしまいます。ここでは、L字マレットをあなたのスコアメイクに欠かせない最強のエースにするための、具体的な打ち方のコツや効果的な練習法、そして手に入れた名器を長く愛用するための知識を、余すところなくご紹介します。理論と実践の両方から、名器との対話を深めていきましょう。

難しい?基本となる打ち方のコツ

L字マレットが一部で「難しい」と言われるのには、明確な理由があります。それは、パターの重心特性に起因するもので、これを理解しないまま使おうとすると、途端に扱いにくい道具になってしまうのです。最大のポイントは、シャフトがヘッドのヒール(かかと)側の端についていること。これにより、重心点がシャフトの軸線上から大きく外れるため、ストローク中に自然とフェースが開いて閉じようとする力(トゥ・フロー)が強く働きます。

多くの初心者が陥りがちなのが、この自然な動きを悪いものだと考え、無理に力で抑えつけてしまうこと。フェース面をターゲットに対して常にスクエアに保ち、真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す「ストレート軌道」で打とうとすると、手首や腕に余計な力が入り、インパクトが緩んだり、逆にパンチが入ったりしてしまいます。その結果、ボールを左に引っかける「引っかけ」や、右に押し出してしまう「プッシュアウト」といったミスが頻発するのです。

【アドレス編】土台を固める

正しいストロークは、正しいアドレスから始まります。

  • ボール位置は体の中心〜ボール半個左: L字マレットは構造上、ボールの捕まりが良いパターです。そのため、ボールを左足寄りに置きすぎると、インパクトでフェースが被りやすく、引っかけの原因になります。まずはスタンスの中央に置き、そこから微調整するのがおすすめです。
  • 少しだけハンドファースト: アドレスしたときに、グリップエンドが左股関節の内側あたりを指すように、少しだけ手をターゲット方向に先行させましょう。これにより、パター本来のロフトが適正になり、インパクトでボールに効率よく順回転を与える準備が整います。

【ストローク編】パターの特性を受け入れる

L字マレットを活かす打ち方の本質は、「パターのなりたいように、動かしてあげる」ことです。

L字マレットを活かすストロークの極意

  1. イントゥインの円弧軌道を意識する: 手先で操作するのではなく、両肩と腕で作られる三角形を崩さず、胸や背中といった大きな筋肉を使って体を回転させましょう。そうすれば、ヘッドは自然な円弧を描きます。
  2. フェースの開閉を許容する: その円弧軌道の中で、バックスイングではフェースが自然に開き、インパクトでスクエアに戻り、フォローでは自然に閉じていく動きを受け入れましょう。これがL字マレットにとって最も自然で、エネルギー効率の良い動きです。

重要なのは、力でコントロールしようとするのではなく、パターヘッドの重みを感じながら、振り子のようにリズム良くストロークすること。これができれば、L字マレットは驚くほど素直で、あなたのイメージを忠実に再現してくれる最高のパートナーになりますよ。

8の字ドリルでストロークを改善

L字マレットの特性である「自然なフェースローテーション」を、理屈ではなく体で覚えるための最適な練習法。それが「8の字ドリル」です。このドリルは、手先の余計な動きをなくし、ヘッドの重みを利用したスムーズなストロークを習得するのに非常に効果的です。

目的は、「手打ち」を防ぎ、ヘッドの慣性を感じながら、正しいイントゥイン軌道とそれに伴うフェースの開閉を体に染み込ませること。特に、ストロークが力んでしまったり、リズムが早くなったりする方に試していただきたい練習法です。

ドリルの具体的な手順

  1. まずはリラックスして、通常のパッティングのアドレスを取ります。
  2. そこからパターヘッドを少しだけ持ち上げ、ヘッドが地面から数センチ浮いた状態で構えます。
  3. その場で、ヘッドの先端(トゥ側)で、横に寝かせた「8の字(∞)」を、できるだけゆっくり、そして滑らかに描くようにパターを動かします。

このドリルで最も重要なポイントは、ヘッドが描く8の字のループが「右回り」であることを強く意識することです。具体的には、バックスイングの動き出しでヘッドが体の内側に入りながらフェースが開き(これが8の字の右上の円を描く動き)、ダウンスイングからフォローにかけてヘッドがスクエアに戻り、そして体の内側に抜けながらフェースが閉じていく(これが8の字の左下の円を描く動き)。この一連の動きこそが、L字マレットにとって最も自然で効率的なフェースローテーションなのです。

絶対にやってはいけないNGな動き

逆に、ヘッドが「左回り」のループを描く動きは、バックスイングでヘッドが外側に上がり、ダウンスイングでヘッドがボールを上からなでるようにカットする動き(アウトサイドイン軌道)の表れです。これは引っかけや弱いスライス回転の原因となり、L字マレットの性能をまったく活かせないミスの温床となるので、絶対に避けましょう。

初めはぎこちなくても構いません。とにかくゆっくり、ヘッドの重さだけでパターが動いているような感覚を掴むことが大切です。このドリルを繰り返すことで、力みが抜け、ヘッドの重みを感じながら、一定のリズムでストロークする感覚が自然と身につきます。実際のパッティングの前にこのドリルを行うことで、その日のストロークの調子を確認するウォーミングアップとしても最適ですよ。

中古市場でのおすすめモデルと相場

L字マレットの名器と呼ばれるモデルの多くは、すでに生産が終了しており、その輝きは中古市場でこそ見出すことができます。まさに、ゴルファーにとっての宝探し。しかし、知識なく飛び込むと、状態の悪いものや偽物を掴んでしまうリスクもあります。ここでは、後悔しない一本を見つけるための、狙い目モデルとチェックすべきポイントを詳しく解説します。

目的別・狙い目モデルと相場観

まずは、どんな目的でL字マレットを探しているのかによって、狙うべきモデルは変わってきます。

【目的別】中古L字マレットの狙い目と相場観(あくまで目安です)

モデルカテゴリー 相場(状態による) 特徴とおすすめポイント
【最高傑作を求める】
Odyssey Black Series iX #9
¥10,000 – ¥25,000 性能・打感・所有欲すべてを満たす。タングステン搭載は伊達じゃない。価格は上昇傾向にあり、資産価値も期待できるかも。
【まずはお試し入門】
Odyssey White Hot XG #9
¥3,000 – ¥8,000 圧倒的なコストパフォーマンス。L字マレットが自分に合うか試すのに最適。流通量も多いが、インサートの状態は要確認。
【美しさと感性を追求】
Scotty Cameron California Del Mar
¥35,000 – ¥55,000 工芸品のような美しさを持つ。特にハニーディップ仕上げの美品は希少。打感にこだわるゴルファーにおすすめ。
【優しさを最優先】
TaylorMade Truss TB1/TM1
¥25,000 – ¥40,000 L字の見た目が好きだけど、ミスへの寛容性が欲しい人に唯一無二の選択肢。初代モデルはプレミア化の兆しも。

※上記の相場はあくまで一般的な目安であり、商品の状態、希少性、付属品の有無などによって大きく変動します。購入の際は、複数のショップやサイトで価格を比較検討することをおすすめします。

購入前に必ずチェックすべき重要ポイント

中古品は一点もの。後悔しないために、以下の点は必ず自分の目で確認しましょう。

  • インサートの状態(オデッセイ系): ホワイトホットなどの樹脂製インサートは、経年劣化が避けられません。インサートの縁を爪で軽く押し、浮きや剥がれがないかチェック。表面がカチカチに硬化していたり、不自然に変色していたりするものは性能が落ちている可能性が高いです。
  • 錆とメッキの状態(キャメロン・軟鉄系): 軟鉄(カーボンスチール)製のパターは非常に錆びやすいです。表面の薄い赤錆ならメンテナンスで落とせますが、金属の内部まで侵食している「孔食(こうしょく)」と呼ばれる点状の深い錆があるものは、打感に影響が出るため避けた方が無難です。
  • 偽造品の警戒(特にキャメロン): 残念ながら、スコッティキャメロンの人気モデルには精巧な偽物が多く出回っています。信頼できる大手中古ゴルフショップや、真贋鑑定のあるプラットフォームを利用するのが最も安全です。個人売買の場合は、刻印のフォントや深さ、ウェイトの形状、シャフトラベルなどを正規の写真と比較し、慎重に判断する必要があります。

名器を蘇らせるメンテナンス術

苦労して手に入れた憧れの名器。その最高のパフォーマンスと美しさを長く維持するためには、愛情のこもった日頃のメンテナンスが不可欠です。特に、デリケートな素材で作られていることの多い名器パターは、少しの手間をかけるだけで、その寿命と輝きが大きく変わってきます。ここでは、誰でもできる基本的なメンテナンス術をご紹介します。

ラウンド後の基本ルーティン

まず、最も重要で基本的なことが、「ラウンド後は必ず手入れをしてから保管する」という習慣です。これを徹底するだけで、パターの状態は劇的に変わります。

  1. 汚れを落とす: 濡れたタオルを固く絞り、フェース面やソールについた砂や芝を優しく拭き取ります。溝の中の汚れは、使い古しの歯ブラシなどを使うと綺麗になります。
  2. 水分を完全に拭き取る: 乾いた柔らかい布で、ヘッド全体の水分を完璧に拭き取ります。特にネックの付け根や刻印の中は水分が残りやすいので念入りに行いましょう。
  3. カバーから出して乾燥させる: パターカバーの内側は湿気がこもりやすく、錆の最大の原因になります。特に雨の日のラウンド後は、一晩はヘッドとカバーを別々にして、風通しの良い場所で乾燥させましょう。

特に軟鉄製のパターを湿ったままカバーに入れて放置すると、文字通り一晩で錆びてしまうこともあるので、絶対に避けましょう。

【素材別】スペシャルケア

基本のルーティンに加えて、素材に合わせたケアを行うことで、名器はさらに輝きを増します。

  • 軟鉄・カーボンスチール製パター(キャメロンの多く、ブラックシリーズなど):
    非常に錆びやすいため、乾燥させた後に「オイルアップ」が必須です。ベビーオイルや、ゴルフショップで手に入るシリコンスプレー、ガンオイルなどを柔らかい布に少量含ませ、ヘッド全体に薄く塗り広げます。これにより、金属表面に油膜が作られ、酸素や水分からヘッドを保護してくれます。
  • 樹脂インサート搭載パター(オデッセイ系):
    ホワイトホットなどのインサートは、シンナーやアルコールといった強い溶剤に非常に弱いです。汚れがひどい場合は、中性洗剤を数滴たらしたぬるま湯で布を濡らし、固く絞ってから優しく拭き、その後すぐに乾拭きしてください。
  • グリップの清掃:
    意外と見落としがちなのがグリップ。手からの皮脂や汗で汚れており、滑りの原因になります。これも中性洗剤をつけたブラシなどで軽く洗い、水でよくすすいだ後、陰干しすればグリップ力が回復します。

これらのメンテナンスは、決して難しいものではありません。自分の大切な道具に愛情を注ぐ時間は、ゴルフの楽しみの一つ。手間をかけた分だけ、パターはきっとあなたに応えてくれるはずです。

フィルミケルソンのパッティング術

L字マレット、特にオデッセイ#9を語る上で、フィル・ミケルソンというレジェンドの存在を抜きにしては考えられません。彼のパッティングは、まさにL字マレットの特性を120%引き出すためのお手本であり、我々アマチュアが学ぶべきヒントに満ち溢れています。

彼のパッティング哲学の根幹にあるのは、「アグレッシブに順回転をかける」という考え方です。彼はパッティングを、ただボールを転がす作業ではなく、ボールに生命を吹き込む技術だと捉えています。そのために、いくつかの特徴的な技術を用いています。

ミケルソン流・パッティングの3大要素

  1. 大きなアークを描くショルダーストローク:
    彼のストロークを見ると、手先や手首でこねるような動きが一切ないことに気づきます。両肩と腕で作る三角形を常にキープし、背骨を軸として肩を回転させることで、非常に大きな円弧(アーク)を描きます。この大きなストロークが、L字マレットの自然なフェース開閉を一切邪魔することなく、スムーズなヘッドの動きを生み出しているのです。
  2. インパクトで加速させる「フォワードプレス」:
    ミケルソンがストロークを始動する際、一瞬だけグリップをターゲット方向に押し込む「フォワードプレス」という動作を行います。これは、スムーズなテークバックを促すリズム作りの意味合いもありますが、より重要なのは、インパクトでヘッドをアッパーブロー気味に、そして加速させながらヒットする意識を高めることです。これにより、ボールを低く打ち出し、強烈な順回転を与えることができるのです。
  3. ボールの真上から覗き込む深い前傾姿勢:
    彼のもう一つの特徴は、ボールの真上に両目が来るように、深く前傾するアドレスです。これにより、ターゲットラインを歪みなく認識でき、狙った場所にフェースを正確にセットアップしやすくなります。パッティングにおいて、正しい狙いを定めることがいかに重要かを物語っています。

アマチュアが取り入れられるヒント

もちろん、彼の技術をそのまま真似するのは難しいかもしれません。しかし、「手先で操作せず、体の大きな筋肉でリズム良くストロークする」「インパクトで緩めず、フォローを大きく出す意識を持つ」といった基本原則は、どんなレベルのゴルファーにとっても非常に重要なポイントです。彼の映像を見て、そのスムーズなリズムとテンポをイメージするだけでも、あなたのパッティングはきっと変わるはずです。

彼がこれほど長くL字マレット形状のパターを使い続ける理由は、それが彼の感性と技術を最も忠実に表現できる、最高のパートナーだからに他なりません。名器と名手の関係性は、私たちに多くのことを教えてくれますね。

あなたに合うl字マレットパターの名器は

ここまで、歴代の様々なL字マレットパターの名器たちと、そのポテンシャルを引き出すためのテクニックについて、詳しく見てきましたがいかがでしたでしょうか。オデッセイの機能美、キャメロンの芸術性、そしてトラスの革新性。それぞれに魅力があり、迷ってしまいますよね。

最終的に、あなたにとっての「最高のl字マレットパターの名器」とは何か。それは、決して他人の評価やスペックだけで決まるものではありません。L字マレットは、ゴルファーの感性と対話し、その意思をボールに伝えるための道具です。だからこそ、あなたが構えたときに「しっくりくる」と感じ、自信を持ってストロークできる一本こそが、あなたにとっての本当の名器なのです。

この記事で得た知識を元に、ぜひ色々なモデルを実際に手に取って、試打してみてください。その上で、あなたのゴルフスタイルや目指すパッティングに合わせて、最適な一本を選んでいきましょう。

【最終結論】あなたのタイプ別・おすすめアクションプラン

  • 打感と操作性を重視する「感覚派」のあなたへ:
    まずは中古市場で「Odyssey Black Series iX #9」の良品を探す旅に出てみましょう。もし見つかれば、それは一生モノの出会いになるかもしれません。予算に余裕があれば、現行の「Scotty Cameron Special Select Del Mar」で、ソリッドな削り出しの打感を味わうのも最高の選択です。
  • 最新技術でミスを減らしたい「安定志向派」のあなたへ:
    迷わず「TaylorMade Truss」シリーズを試してみてください。L字の美しい見た目と構えやすさはそのままに、驚くほどの直進安定性があなたのパッティングを助けてくれるはずです。もう、芯を外すことを怖がる必要はありません。
  • コストを抑えてL字の世界を体験したい「賢い初心者」のあなたへ:
    中古ショップで「Odyssey White Hot XG #9」やその後継モデルを探してみましょう。数千円で、L字マレットの基本を学ぶには十分すぎる性能を持っています。ここで自分に合うかどうかを見極めてから、次のステップに進むのが賢明です。

運命の一本と出会えたら、ぜひ練習場でじっくりと対話し、コースでその性能を解放してあげてください。そして、時にはメンテナンスで愛情を注いであげましょう。そうして築いた信頼関係は、ここ一番の勝負パットで、きっとあなたを助けてくれるはずです。

この記事が、あなたが最高の「L字マレットパターの名器」と出会い、ゴルフライフをより豊かにするための一助となれば、私にとってこれほど嬉しいことはありません。

the19th

40代、ゴルフ歴20年の「ギアオタク」サラリーマンです。ベストスコアは73( HC10)。「シングル」の称号まであと一歩のところで、長年足踏みしています。
「その1打は、ギアで縮まる」を信念に、これまで試打してきたクラブは数知れず。給料のほとんどは最新ギアに消えていきます。
このブログは、20年間こだわり続けた「ギア選び」の記録です。

用品
スポンサーリンク
シェアする
タイトルとURLをコピーしました