こんにちは!19番ホール研究所のthe19thです。
グラファイトデザインから発表された2026年モデルの新作シャフト、「TOUR AD FI」。ゴルフ好きならこの名前を聞いただけでワクワクしてしまいますよね。ただ、新しいモデルが出るたびに頭を悩ませるのが、「これって一体どんなシャフトなんだ?」という疑問です。特に「Flight Intelligence」という名前が、ますます興味を掻き立てます。
多くの方が知りたいのは、やはり伝説的な名器であるDIや、ハードヒッター向けとして記憶に新しいVFとの違いではないでしょうか。また、同じく市場で評価の高いGCやCQといった現行モデルと比較して、どのようなポジショニングなのかも気になるところ。実際に試打した人のリアルな評価も、購入を検討する上では欠かせない情報ですよね。さらに、自分に合ったスペックや振動数の選び方、そして今使っているドライバーとのヘッド相性まで考え始めると、情報が多すぎて「結局、自分に合うのはどれなんだ?」と混乱してしまうかもしれません。
この記事では、そんなあなたの悩みをスッキリ解決するために、TOUR AD FIの性能の核心から、失敗しない選び方の具体的なステップまで、あらゆる情報を網羅的に、そして分かりやすく整理しました。この記事を最後まで読めば、あなたがTOUR AD FIに抱いている漠然としたイメージが明確な知識に変わり、自分にとって本当に必要な一本なのかを自信を持って判断できるようになるはずです。
- TOUR AD FIに搭載された革新的な技術とその弾道性能の秘密
- 名器DIや話題のVF、GC、CQとの明確な違いとシリーズ内での立ち位置
- スペックごとの詳細な振動数データと、オーバースペックを防ぐ選び方の基準
- 最新の10K系ドライバーヘッドからロースピンモデルまで、最適なマッチング理論
TOUR AD FIの全貌と性能評価
さて、ここからはTOUR AD FIが一体どんなシャフトなのか、その核心部分に深く迫っていきましょう。最新テクノロジーがもたらす性能はもちろん、多くのゴルファーが最も気になるであろう他の人気モデルとの比較、そして実際に打った人たちの生の声まで、性能面を徹底的に、かつ多角的に分析していきます。このセクションを読めば、FIのキャラクターがはっきりと見えてくるはずです。
新技術が可能にした特徴と弾道
TOUR AD FIの卓越した性能を理解する上で絶対に外せないのが、採用されている素材とテクノロジーです。特に、航空宇宙分野でも採用される東レの最先端カーボン「トレカ® M40X」と「T1100G」の複合採用が、このシャフトの性能を決定づけていると言っても過言ではありません。(出典:東レ株式会社 TORAYCA® 製品グレード)
革命的素材「トレカ® M40X」と「T1100G」の融合
従来のカーボンシャフト開発では、「弾性率(硬さ)」と「強度(粘りや壊れにくさ)」はトレードオフの関係にありました。硬くして弾きを良くすれば脆くなり、強度を求めれば弾きが鈍くなる。このジレンマを打ち破ったのが「トレカ® M40X」です。高い弾性率を保ちながら強度を大幅に向上させたこの素材を、FIでは中間部から手元側にかけて採用しています。これにより、切り返しで大きな負荷がかかってもシャフトがブレることなくパワーを溜め込み、それでいて板のような硬さを感じさせない、しなやかな振り心地を実現しているんですね。
一方の「トレカ® T1100G」は、超高弾性・高強度を誇る素材。これを中間部から先端部にかけて配置することで、インパクト時に大型ヘッドが起こすトゥダウン(ヘッドの先が下に垂れる現象)や当たり負けを強力に抑制します。この二つの最高峰素材を適材適所に配置する設計こそが、FIの「振りやすいのに、ブレない」という独特のフィーリングの根源なんです。
手元の安定感とパワー伝達を生む「AD Shield」
FIで新たに導入された「AD Shield」テクノロジーは、手元部分の剛性を高める補強技術です。ダウンスイングでシャフトに強烈な負荷がかかると、シャフトの断面は真円から楕円形に潰れようとします。これがパワーロスや挙動の不安定さに繋がるのですが、AD Shieldはこの「潰れ」をシールドのように防ぎます。結果として、ゴルファーが蓄えたエネルギーが一切逃げることなくヘッドまで伝達され、切り返しのレスポンスが非常に速く、かつ滑らかな挙動を感じられるようになります。これが「コンパクトで力強いローディング感」と表現される感覚の正体ですね。
左へのミスを根絶する「Tornado Tip Tech」
そして、TOUR AD FIを象徴するテクノロジーが、先端部に採用された「Tornado Tip Tech」です。これは、シャフト先端のカーボンシートを特殊な角度で巻き上げることで、シャフトの「ねじれ剛性(トルク)」を抑えつつ、「つぶれ剛性(フープ剛性)」を高めるという画期的な技術。言葉にすると難しいですが、要するに「左右のブレ(ねじれ)には滅法強いけど、インパクトでボールを押し込む方向(つぶれ)にはしっかり仕事をする」ということです。
この技術により、インパクトゾーンでフェースが必要以上に返る動きが極限まで抑制されます。フッカーが叩きに行っても、ボールが左に巻き込まれる心配が少ない。それでいて、ガチガチに硬いだけの先端とは違い、ボールがフェースに食いつくような「粘り」のある打感を生み出し、わずかに打ち出し角を高くする効果もあります。これが、「捕まりすぎないのに、球は上がる」という絶妙なバランスに繋がっているわけです。
これらの最先端技術が組み合わさることで、FIの弾道は「中弾道・低〜中低スピン」という、現代のロースピン系ドライバーヘッドの性能を最大限に引き出すための理想的な特性に仕上がっています。高弾道で吹き上がって飛距離をロスすることも、低すぎてキャリー不足になることもない、まさにコースで最も武器になる”賢い”弾道と言えるでしょう。
試打で判明したリアルな評価
テクノロジーの話も重要ですが、ゴルファーとして一番知りたいのは「で、実際に打ったらどうなの?」という点ですよね。私自身も様々な試打インプレッションをチェックしましたが、プロ・上級者とアマチュアゴルファー、それぞれの視点から非常に興味深い評価が集まっていました。
プロ・上級者が語る「制御できる絶対的な安心感」
多くのティーチングプロやトップアマが口を揃えるのが、「左を気にせず、安心して振り抜ける」という評価です。これはFIの設計思想そのものが具現化された結果と言えますね。特に、持ち球がドロー系のプレイヤーが振りにいっても、絶対にチーピンが出ないという安心感は、スコアメイクにおいて絶大なアドバンテージになります。左サイドのOBやハザードを完全に消せるため、よりアグレッシブなコースマネジメントが可能になるわけです。
また、「フェードバイアス」と聞くと、単に捕まらないシャフトをイメージするかもしれませんが、FIはそうではありません。あくまで「ニュートラルから少しフェード寄り」という絶妙なバランスで、プレイヤーが意図すれば、しっかりと捕まえたストレートボールや軽いドローを打つことも可能です。この操作性の高さが、上級者から「ただ硬いだけじゃない、仕事をしてくれるシャフト」と評価される所以でしょう。
アマチュア視点での「意外な優しさと飛距離性能」
一方、我々アマチュアゴルファーにとって嬉しいのが、「ハードスペックに見えるけど、意外と振れる」という声が多いことです。特に50g台のモデルは、M40X素材の恩恵でしなり感をしっかり感じられるため、ヘッドスピード40m/s前後のゴルファーでもタイミングが取りやすいと評判です。
「粘り系」と表現されることが多い打感ですが、しなり戻りのスピードは速いため、弾き系のフィーリングが好きな人でも違和感なく移行できるかもしれません。ただし、注意点として、楽にボールを捕まえてハイドローを打ちたい、というタイプのゴルファーには、少しシビアに感じられる可能性はあります。あくまで自分のスイングでボールを捕まえにいくゴルファー向けのシャフトと言えそうですね。
DIやVFとの違いを徹底比較
グラファイトデザインのシャフトを語る上で、この2モデルとの比較は避けて通れません。「DIを超えたのか?」「VFとどっちを選べばいい?」という疑問に、剛性分布やフィーリングの違いからハッキリとお答えします。
対 Tour AD DI(Deep Impact):伝統と革新の融合
2010年の登場以来、数々のトッププロに愛され続ける不朽の名作「Tour AD DI」。その最大の特徴は、中間部分が大きくしなることで生まれる粘り感と、高弾道・低スピンの弾道です。このフィーリングは唯一無二で、今なお多くのファンがいます。
これに対し、TOUR AD FIはシャフト全体の剛性バランスが大きく異なります。
| モデル | 手元剛性 | 中間剛性 | 先端剛性 | 主な弾道 |
|---|---|---|---|---|
| Tour AD DI | 普通 | 柔らかめ | 硬い | 高弾道・低スピン |
| Tour AD FI | やや硬め | やや硬め | 硬い | 中弾道・低〜中低スピン |
表を見ると分かる通り、FIはDIに比べて中間部の剛性が明らかに高く設定されています。これにより、DI特有の大きなしなり(人によっては暴れと感じることも)が抑えられ、より一体感のある振り心地になっています。結論として、FIは「DIの持つボールがフェースに乗る感覚を継承しつつ、現代の大型・高MOIヘッドに対応するために全体の剛性を高め、弾道を少し抑えたモダンバージョン」と位置づけるのが最も適切でしょう。
DIを使っていて「球が上がりすぎる」「切り返しでタイミングが取りにくい」と感じているゴルファーにとって、FIは理想的な乗り換え候補になるはずです。
対 Tour AD VF(Victory Force):ハードヒッターへの新たな回答
2024年モデルのVFは、手元と先端を極限まで硬めた超ハードスペックで、「左には絶対に行かない」シャフトとしてハードヒッターから絶大な支持を得ました。しかしその反面、その剛性の高さから「しなりを感じられない」「タイミングがシビアすぎる」と感じたゴルファーが多かったのも事実です。
TOUR AD FIは、まさにその”VF挫折組”を救うために開発されたモデルと言ってもいいかもしれません。VFの「エネルギー伝達効率の高さ」と「左を恐れない安定性」という長所はそのままに、新素材M40Xの効果で適度な”しなり感”と”遊び”をプラスしています。フィーリングで言えば、VFが「硬い鉄の棒」だとすれば、FIは「強靭でしなやかな竹」のようなイメージでしょうか。
弾道も、超低弾道のVFに比べてFIは少し打ち出し角を確保しやすいため、よりキャリーを稼ぎやすい特性です。「VFのコンセプトは好きだけど、自分には少しハードすぎた…」と感じているパワーヒッターにとって、FIはまさに待望のモデルと言えます。VFよりも少しマイルドな振り心地で、同じレベルの安定性を手に入れられる可能性を秘めています。
GCやCQとのポジショニング
現行ラインナップであるGCやCQとの違いを理解することで、FIの立ち位置はさらに明確になります。グラファイトデザインはゴルファーの多様なニーズに応えるため、非常に巧みにキャラクター分けを行っています。
中弾道・安定キャリーの「GC(Game Changer)」
GCはFIと同じく「中弾道」系に分類されますが、スピン量がFIよりも少し多めの「中低〜中スピン」に設定されています。これは、ある程度のスピン量を確保することで、ボールの揚力を維持し、安定したキャリーを稼ぎたいゴルファー向けの設計です。FIが「ランを含めたトータルディスタンス」を追求するのに対し、GCは「計算できるキャリーでフェアウェイを狙う」という安定志向のゴルファーに適しています。球がドロップしやすい傾向がある方や、もう少し楽にボールを上げたい方はGCを試してみると良いかもしれません。
捕まりとハイドローの「CQ(ConQuest)」
CQは、シリーズの中でも最も捕まり性能が高いモデルです。手元側のしなり感が強く、ダウンスイングで自然なタメを作り、インパクトでヘッドをスムーズにターンさせてくれます。弾道も「高弾道・中スピン」で、典型的なドローヒッター向けのスペックですね。スライスに悩んでいる方や、楽にボールを捕まえてハイドローを打ちたい方にとっては最高の相棒となるでしょう。FIとは対極のキャラクターと言えるので、自分のミスの傾向が右なのか左なのかで、選択は明確に分かれるはずです。
このように、各モデルの特性を理解すれば、自分のスイングや目指す弾道に合ったシャフトが自ずと見えてきますね。
左を恐れない絶妙な捕まり性能
このシャフトのレビューで最も多く聞かれる「左に行かない」という評価。これは多くのゴルファー、特にドライバーに苦手意識を持つ人にとっては魔法のような言葉に聞こえるかもしれません。では、なぜFIはそれほどまでに左へのミスに強いのでしょうか。その秘密をもう少し深掘りしてみましょう。
チーピンのメカニズムとFIの抑制効果
そもそもチーピンは、インパクトの瞬間にフェースが急激に被る(閉じる)ことで、ボールに強烈なフック回転がかかってしまうミスです。これは、ダウンスイングでシャフトが過度にねじれたり、先端が暴れたりすることが大きな原因となります。
TOUR AD FIの「Tornado Tip Tech」は、この根本原因に直接アプローチします。先端部分のねじれ剛性を極限まで高めることで、ゴルファーがどれだけ速く腕を振っても、シャフト先端がねじれてフェースが被る動きを物理的に抑制します。さらに、高いフープ剛性によってインパクトの衝撃で先端が潰れることもないため、エネルギーが逃げずにボールを強く押し込めるのです。
これにより、インサイドアウト軌道が強いフッカーが叩きにいっても、インパクトではフェースがスクエアか、わずかに開いた状態でボールを捉えることが可能になります。結果として、左に突き抜けるようなチーピンは劇的に減少し、ストレートから軽いフェード系の力強い弾道に変わっていくわけです。
「捕まらない」のではなく「捕まりすぎない」
ここで重要なのは、FIが単に「捕まらないシャフト」ではないという点です。捕まらないシャフトの中には、タイミングが少しでもズレると右へプッシュアウトしてしまうような扱いにくいモデルも存在します。しかし、FIは違います。
その秘密は、M40X素材がもたらす中間部のしなり感と、トルネードチップが生み出す先端の「粘り」にあります。シャフト全体が一体感を持ってしなり戻るため、プレイヤーはヘッドの位置を感じやすく、自分のタイミングでボールを捕まえにいくことができます。ガチガチに硬いシャフトのように、スイングがシャフトの挙動に支配される感覚はありません。あくまで主導権はプレイヤー側にあり、シャフトはそれを忠実にサポートしてくれる、というイメージです。
この「制御された捕まり感」があるからこそ、上級者は安心して叩きにいけるし、ドローを打ちたい場面ではしっかりと操作してボールを曲げることができる。この絶妙なバランス感覚こそが、TOUR AD FIの最大の魅力であり、多くのゴルファーを虜にする理由なのでしょう。
振動数から見る本当の硬さ
シャフト選びで失敗しないために、スペック表記以上に重要になるのが「振動数(CPM:Cycles Per Minute)」です。これは1分間にシャフトが何回振動するかを示す数値で、高いほど硬いことを意味します。TOUR AD FIは、この振動数が重量帯によって劇的に変化するため、特に注意が必要です。
50g台と60g台に存在する「剛性の壁」
多くのゴルファーが陥りがちなのが、「普段60g台のSを使っているから、FIも6Sでいいだろう」という安易な選択です。しかし、FIの場合、この選択が大きなミスマッチを生む可能性があります。
なぜこのような設定になっているのか?
この極端な剛性変化は、グラファイトデザインが各重量帯でターゲットとするゴルファーを明確に分けているからだと考えられます。50g台までは、幅広いアマチュアゴルファーがFIの持つ先端の安定性や初速性能の恩恵を受けられるように、振り心地の良さを重視した設計。一方、60g台からは、左へのミスを嫌う競技志向の上級者やプロをターゲットに、トルクを極限まで絞り、操作性と安定性を最優先したアスリート向けの設計へと切り替わります。
ですから、FIを選ぶ際は、必ず先入観を捨てて試打をすることが何よりも重要です。特に、普段60g台を使っている方は、まずFI-5SやFI-6SRから試してみることを強くお勧めします。自分の体力やスイングに見栄を張らず、客観的なデータに基づいて最適な一本を見つけることが、ベストスコアへの近道となるはずです。
TOUR AD FIのスペックとヘッド相性
シャフトの性能を理解したら、次はいよいよ自分に合った一本を見つけるための具体的なステップに進みましょう。ここでは、全ラインナップのスペックを詳しく解説し、あなたのエースドライバーとの相性を探っていきます。現代の主流となっているドライバーヘッドとの組み合わせによって、FIの性能がどう変化するのか、最適なセッティングを見つけるためのヒントが満載です。
スペック一覧と重量帯の選び方
TOUR AD FIは、軽量な40g台からハードヒッター向けの80g台まで、非常に幅広いスペックが用意されています。それぞれの重量帯で、ターゲットとなるゴルファーや性能が少しずつ異なってくるので、その特徴をしっかり理解しておきましょう。
| モデル | フレックス | 重量 (g) | トルク (°) | Tip径/パラレル長 | Butt径 (mm) | 調子 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| FI-4 | R2/R1/S/X | 49-53 | 5.3-5.2 | 8.50mm / 75mm | 15.30-15.40 | 中 |
| FI-5 | R2/R1/S/X | 56-60.5 | 4.6-4.5 | 8.50mm / 75mm | 15.35 | 中 |
| FI-6 | SR/S/X/TX | 64.5-71 | 3.2 | 8.50mm / 75mm | 15.20-15.40 | 中 |
| FI-7 | S/X/TX | 75.5-79 | 2.9 | 8.50mm / 75mm | 15.25-15.35 | 中 |
| FI-8 | X | 85 | 2.6 | 8.50mm / 75mm | 15.35 | 中 |
※上記スペックはメーカー公表値です。製品には公差があるため、あくまで目安としてご参照ください。
40g・50g台:幅広いゴルファーに対応する「優しさ」ゾーン
この重量帯は、トルクがそれぞれ5点台、4点台と多めに設定されており、シャフトのしなりを活かして飛ばしたいアベレージゴルファーに最適です。M40X素材の弾き感とトルネードチップの安定性が両立しているため、従来の軽量シャフトにありがちだった「当たり負け」や「インパクトでのブレ」が大幅に軽減されています。ヘッドスピード38m/s〜43m/sくらいの方が、楽に振り抜いて高さを出しつつ、方向性の安定も求めたい場合に、最高のパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。
60g台:アスリートへの扉を開く「激変」ゾーン
前述の通り、ここからシャフトの性格がガラッと変わります。トルクが一気に3.2まで絞られることで、シャフトのねじれが極端に少なくなり、プレイヤーの操作がダイレクトにヘッドに伝わるようになります。これは、自分のスイングでフェース面を管理できる上級者にとっては大きなメリットですが、逆に言えばミスヒットへの寛容性は低くなります。ヘッドスピード43m/s以上で、左へのミスをクラブの性能で消し去りたい、という明確な目的を持つゴルファー向けのスペックです。TX(Tour X)は、HS50m/sを超えるようなドラコン選手レベルのパワーにも応える超ハード仕様です。
70g・80g台:パワーと技術が求められる「プロ」ゾーン
この重量帯は、主にパワーヒッターのドライバー用、もしくはフェアウェイウッドに装着することを想定したモデルです。トルク2点台という数値は、ほとんどねじれを感じさせないほどの剛性感をもたらします。よほどのパワーと技術がなければ、インパクトでフェースをスクエアに戻すことができず、右へのプッシュアウトが頻発する可能性も。自分のスイングに絶対的な自信があり、僅かなフェースの開きや閉じも許容したくない、というトップレベルのプレイヤーのための選択肢と言えるでしょう。
10K系ヘッドとの最高の相性
近年のゴルフクラブ市場で最大のトレンドとなっているのが、慣性モーメント(MOI)が10,000g・㎠を超える、通称「10K」ドライバーです。テーラーメイドのQi10 MAXやPINGのG430 MAX 10Kなどがその代表格で、その驚異的な直進性能で人気を博しています。
高MOIヘッドのメリットと、隠れたデメリット
高MOIヘッドの最大のメリットは、オフセンターヒット時(芯を外した時)のヘッドのブレが極端に少ないことです。これにより、打点が多少ズレても飛距離や方向性のロスが少なく、平均飛距離の向上が期待できます。まさに「曲がらない」ヘッドです。
しかし、その反面、ヘッドが大きくて重心が深いことから、スイング中にヘッド後方が垂れやすく、振り遅れてフェースが開きやすいというデメリットも存在します。また、ヘッドの挙動が安定しすぎているため、意図的にボールを曲げようとする操作がしにくい、と感じるゴルファーもいます。
FIがデメリットを完璧に補完する
ここでTOUR AD FIの出番です。FIの持つ「Tornado Tip Tech」による高い先端剛性と、ねじれを抑制する効果が、この高MOIヘッドのデメリットを完璧に補ってくれるのです。スイング中にヘッドが暴れようとする動きをシャフトががっちりと抑え込み、インパクトでフェースがスクエアに戻るのを強力にアシストします。つまり、ヘッドの性能だけではカバーしきれない「振り遅れによる右へのミス」を、シャフトの力で防いでくれるわけです。
ロースピンヘッドとの相性と注意点
一方で、テーラーメイドのQi10 LS、タイトリストのGT2/GT3、キャロウェイのAi Smoke Triple Diamondといった、プロや上級者に人気のロースピン・操作系ヘッドとの相性はどうでしょうか。これは、ゴルファーのスキルレベルによって評価が大きく分かれる、非常にスリリングな組み合わせです。
パワーヒッターが生み出す最強の「強弾道」
これらのヘッドは、浅い重心深度によってスピン量を抑え、力強い弾道でランを稼ぐことを得意とします。ここに、同じく低スピン特性を持つTOUR AD FIを組み合わせると、その効果はさらに増幅されます。ヘッドスピードが45m/s以上あるようなパワーヒッターがこのセッティングでクリーンヒットすれば、まるで地面を這うような、風を切り裂くライナー性の「強弾道」が生まれます。アゲンストの風にも負けず、着弾してからもボールがどこまでも転がっていくような、最大の飛距離を叩き出すポテンシャルを秘めた組み合わせです。
アマチュアには「諸刃の剣」となるリスク
しかし、この組み合わせはアマチュアゴルファーにとっては「諸刃の剣」となり得ます。
自分のパワーを過信せず、弾道計測器などでスピン量を確認しながら、最適なセッティングを見つけることが極めて重要です。この組み合わせを使いこなせれば最強の武器になりますが、一歩間違えれば飛距離を大きく損なうリスクもあることを覚えておきましょう。
フェアウェイウッドへの応用術
ドライバーでの評価が高いFIですが、その性能はフェアウェイウッド(FW)でも大いに発揮されます。ドライバーとFWでシャフトの銘柄を揃えることで、スイングの感覚が統一され、セッティング全体の完成度が高まります。
FWに求められる性能とFIの適合性
FWには、ドライバーとはまた違った性能が求められます。
- 地面からの拾いやすさ: ティーアップしない状況で、いかにボールを上げてくれるか。
- ラフからの抜け: 芝の抵抗に負けずにヘッドを振り抜けるか。
- 操作性と安定性の両立: 長い距離を正確にグリーンやフェアウェイに運びたい。
FIはこれらの要求を見事に満たしてくれます。まず、「中弾道」特性は地面からでもボールを楽に上げてくれ、キャリーを確保します。「低〜中低スピン」性能は、吹き上がりを抑えて風に負けない強い球筋を実現。そして、トルネードチップによる先端の強さは、ラフの抵抗にも当たり負けせず、ヘッドのブレを最小限に抑えてくれるのです。
チップカットに関する重要な注意点
一般的に、FWにドライバー用のシャフトを装着する場合、番手ごとに先端をカット(チップカット)して硬さを調整します(例:3Wは0.5インチ、5Wは1.0インチカットなど)。これにより、クラブが短くなることによるフィーリングの変化を揃えることができます。
しかし、ここで絶対に注意しなければならないのが、シャフトの「パラレル長」です。
まとめ:TOUR AD FIはこんな人におすすめ
さて、ここまでTOUR AD FIの性能から選び方、ヘッドとの相性まで、非常に詳しく見てきました。最後に、これまでの情報を総括し、TOUR AD FIが一体どんなゴルファーにとって最高の武器となり得るのかを、具体的におすすめの人物像としてまとめてみましょう。
TOUR AD FIは、その名の通り「弾道の知能化(Flight Intelligence)」をコンセプトに、最新の素材と技術を惜しみなく投入して開発された、極めて完成度の高い実戦的なシャフトだと私は感じます。単に力任せに振るのではなく、シャフト自体が賢く仕事をして、ゴルファーのスイングエネルギーを最も効率的な形でボールに伝えてくれる。そんな感覚は、一度味わうとゴルフがもっと楽しく、そしてシンプルになるかもしれません。
もちろん、この記事でどれだけ言葉を尽くしても、シャフトの本当の性能は実際に打ってみなければ分かりません。シャフト選びで最も大切なのは、スペックや評判に惑わされず、あなた自身のスイングと感覚に合うかどうかを確かめることです。この記事が、あなたのシャフト選びの羅針盤となり、最高の相棒を見つけるための一助となれば幸いです。ぜひお近くのゴルフショップや試打会に足を運んで、TOUR AD FIの”知性”を体感してみてください!
※本記事に記載されているスペックや振動数などのデータは、公表されている情報や一般的な測定値に基づくものであり、個々の製品の性能を保証するものではありません。最終的なクラブの選択や調整については、専門のフィッターやゴルフ工房にご相談されることをお勧めします。



