楽しいゴルフのラウンドが終わり、クラブハウスでお風呂に入ってさっぱりした後、いざコンペルームや精算機の前で「ゴルフオリンピック計算」の方法がわからず、冷や汗をかいた経験はありませんか?
「あれ、金メダルって何点だっけ?」「3人の時はどう計算するの?」「アプリに入力しても合わない…」
特に、自分が幹事や先輩の立場だった場合、ここでのモタつきはスマートさを損なうだけでなく、最悪の場合、金銭的な計算ミスによる信用問題にも発展しかねません。ゴルフのオリンピックは、プレー中の程よい緊張感とエンターテインメント性を高める最高のスパイスですが、その裏側にある「計算ロジック」は意外と複雑で、独特の数学的要素を含んでいます。
この記事では、ベテランゴルファーでも意外と勘違いしている基本ルールから、3人プレー(スリーサム)などの変則パターンへの対応、そして面倒な計算を一瞬で終わらせる魔法の数式まで、初心者にもわかりやすく徹底的に解説します。また、近年厳しくなっているコンプライアンスを意識した法的リスクや、スマートなアプリ活用術も網羅しています。
- ゴルフオリンピックの正確な基本ルールとメダルの点数配分
- 3人プレー時や「ダイヤモンド」発生時の複雑な計算処理
- 電卓ひとつで全員の収支を一発で弾き出す魔法の計算式
- トラブルを未然に防ぐための法的知識とマナー
ゴルフオリンピック計算の公式とルール

それではまず、ゴルフのオリンピックにおける基礎的なルール体系と、多くのゴルファーを悩ませる計算の仕組みについて、深掘りしていきましょう。このセクションを読み込めば、どんなメンバーと回っても自信を持って「私が計算しますよ」と言えるようになります。
基本ルールとメダルの点数
ゴルフにおける「オリンピック」とは、主にグリーン上でのパッティング技術を競うサイドゲームの一種です。その起源は諸説ありますが、1964年の東京オリンピック、あるいはその後のオリンピックブームに肖って名付けられたと言われています。このゲームの最大の特徴であり、ゴルフというスポーツの理にかなっている点は、「カップから遠い人ほど高得点のチャンスがある」という仕組みです。
通常、ゴルフは少ない打数で上がることを目指しますが、グリーンに乗った後は「遠球先打(遠い人から先に打つ)」がルールです。オリンピックはこれを逆手に取り、難しい長距離パットを沈めた人に高い報酬(メダル)を与えることで、ショットが乱れてピンに寄らなかった人にも救済と逆転のチャンスを用意しているのです。
基本的なメダル(権利)と点数は以下の通り定義されています。重要なのは、これらはあくまで「権利」であり、1パットでカップインさせた場合のみ獲得できるという点です。2パット以上かかった場合、そのメダルの点数は消滅し、誰の得点にもなりません(キャリーオーバーは通常行いません)。
| メダル名 | 通称 | 点数 | 権利発生条件と特徴 |
|---|---|---|---|
| 金メダル | ゴールド | 4点 | グリーンオンしたボールの中で、カップから最も遠い位置にある人が権利獲得。最も難易度が高く、入れば賞賛される。 |
| 銀メダル | シルバー | 3点 | 2番目に遠い位置にある人が権利獲得。金メダルが入った後のプレッシャーがかかる場面も多い。 |
| 銅メダル | ブロンズ | 2点 | 3番目に遠い位置にある人が権利獲得。距離的には入れごろ外しごろの微妙なラインが多い。 |
| 鉄メダル | 鉄 | 1点 | 最も近い位置にある人が権利獲得。入れて当然と思われる距離だが、外すとオプションルールで痛い目に遭うことも。 |
そして、このゲームの戦局を大きく変えるのが「ダイヤモンド」と呼ばれる特殊役です。これはグリーン外(カラー、ラフ、バンカーなど)からチップインで直接カップインさせた場合に発生するボーナスで、通常は5点という最高得点が与えられます。
このように、オリンピックは単なる運任せのゲームではなく、パッティングの技術と、プレッシャーに打ち勝つメンタルが試される奥深い競技なのです。特にパター選びにおいては、距離感を合わせやすいマレット型や、操作性の高いピン型など、自分のプレースタイルに合った道具を使うことがメダル獲得への近道です。パッティングに自信がない方は、ギアの見直しを検討してみるのも良いでしょう。
(参考記事:話題のゼロトルクパター徹底解説!仕組みと主要メーカー比較ガイド)
3人で回る場合の計算方法
「今日は一人キャンセルが出て3人(スリーサム)になっちゃったね」
そんな時、多くのゴルファーが頭を抱えるのが「オリンピックの計算、どうする?」問題です。4人用のルールをそのまま3人に当てはめると、点数のバランスが崩れてしまうため、いくつかの調整パターンが存在します。
ここでは代表的な2つの方式と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
1. 影武者(仮想プレーヤー)方式
これは、あたかもそこに「4人目のプレーヤー」がいると仮定してゲームを進行させる方式です。グリーン上の特定の場所(例えばピンの長さ分だけ離れた場所など)に仮想のボールがあると見なします。
- メリット:4人プレーと同じ点数体系(金・銀・銅・鉄)で遊べるため、いつもの感覚でプレーできる。
- デメリット:計算が非常に複雑になります。「影武者が金メダルを取った」という状況になった場合、その点数は誰の得点にもなりません。しかし、精算時に「影武者のマイナス分」をどう処理するかで混乱が生じがちです。また、誰かが影武者の分を支払うのか、単純に無視するのかで揉める原因になります。
2. 点数配分を変える方式(推奨)
私が最もおすすめするのは、この方式です。3人という人数に合わせて、最初からメダルの種類と点数を再定義してしまいます。無理に4人に合わせるよりも、計算ミスが圧倒的に少なく、スムーズに進行できます。
【推奨パターン:4-3-2方式】
- 一番遠い人:金(4点)
- 二番目の人:銀(3点)
- 一番近い人:銅(2点)
- 鉄:なし
この配分であれば、点数の合計バランスも良く、計算も容易です。また、グループによってはギャンブル性を高めるために「5-3-1」や「5-3-2」といった変則配分を採用することもありますが、基本は「鉄をなくして、上から順に割り振る」と考えれば間違いありません。
間違いのない簡単な計算式

さて、ここが本記事のハイライトです。18ホールのラウンドが終了し、スコアカードには各プレーヤーが獲得した点数が書き込まれています。いざ精算しようとした時、電卓を叩く手が止まってしまうことはありませんか?
「Aさんが15点で、Bさんが8点で…えっと、AさんはBさんから何点もらって、Cさんには払って…」
このように、一人ひとりとの貸し借りを個別に計算しようとすると、4人の場合、組み合わせは「A対B」「A対C」「A対D」「B対C」「B対D」「C対D」の6通りもの計算が必要になり、間違いのもとです。そこで、数学的に証明された「自分の点数 × 人数 - 全員の合計点」という魔法の公式を使います。
この式を使えば、全員分の計算が一瞬で完了します。具体的なシミュレーションを見てみましょう。
【シミュレーション:4人プレー】
プレーヤーごとの獲得点数が以下の通りだったとします。
- Aさん:15点
- Bさん:8点
- Cさん:25点
- Dさん:6点
手順1:全員の合計点(Grand Total)を出す
まず、全員が獲得した点数をすべて足します。
15 + 8 + 25 + 6 = 54点
この「54」という数字が、今回の計算の基準値(固定値)になります。
手順2:公式に当てはめる
公式:(自分の点数 × 4) - 54 を計算します。
手順3:検算する(重要)
算出された数値をすべて足して「0」になれば計算は正確です。
(+6) + (-22) + (+46) + (-30) = 0
ぴったりゼロになりましたね。これで計算完了です。
この計算式の優れた点は、3人プレーでも同様に使えることです。その場合は「×4」の部分を「×3」に変えるだけです。このロジックさえ覚えておけば、スマホの電卓機能だけで、誰よりも速く、正確に精算を行うことができます。
スコアカードの書き方のコツ
最近はGPSナビ付きのカートが普及し、スコア入力もデジタル化が進んでいますが、オリンピックの点数管理に関しては、依然として手書きのスコアカードが主流です。しかし、ストローク(打数)とパット数、さらにオリンピックの点数まで書こうとすると、スコアカードはごちゃごちゃになってしまいます。
ここでは、後で計算ミスを防ぐための「見やすいスコアカードの書き方」を伝授します。
1. 専用の行または余白を確保する
多くのスコアカードには、各プレーヤーの行の下に予備の空欄や、パット数を書くための小さな欄があります。ここを活用しましょう。自分のスコア欄の隅に小さく書くのは、見間違いの原因になるので避けた方が無難です。
2. 記号を統一する
数字だけを書いていると、それがパット数なのかオリンピックの点数なのか分からなくなります。一般的には以下のような記号を用います。
- 獲得した点数を丸で囲む(例:④、③、②、①)
- ダイヤモンドは菱形や「D」で目立たせる(例:◆5)
- オプション(竿イチなど)を獲得した場合は「サ」などの文字を添える
3. アテスト(答え合わせ)を徹底する
これが最も重要です。自分だけの手元で記録をつけていると、ラウンド終了後に「え?あのショートホール、俺が入れたことになってないよ?」という認識のズレが必ず発生します。
盛り上がるオプションのルール
オリンピックには、基本の点数以外にもゲームを盛り上げる(そして時には泥沼化させる)「オプションルール」が無数に存在します。地域やコミュニティによって呼び名や内容が異なるため、スタート前の確認が必須ですが、代表的なものを紹介します。これらを取り入れることで、ショートパット一打の重みが劇的に変わります。
竿イチ(サオイチ)
グリーン上で、ピンフラッグの竿(ピン)の長さ以上の距離から、1パットでカップインさせた場合にボーナスが付くルールです。通常は「+3点」や「点数倍付け」などが加算されます。
注意点として、「入ります!」と宣言してから打たないと無効になる「宣言制」や、宣言して外すとマイナス点を食らうリスク重視のルールもあります。
焼き鳥(ヤキトリ)
麻雀用語から来ていますが、ハーフ(9ホール)が終了した時点で、一度もメダルを獲得(1パットでカップイン)できなかったプレーヤーに対するペナルティです。
「ハーフでマイナス5点」など、非常に重い罰則が課せられることが多いため、救済措置として最終ホールだけ点数が倍になる「倍付け」ルールとセットで採用されることが多いですね。
くず鉄(屑鉄)
一番近い「鉄(1点)」の権利を持っているのに、1パットで入れられなかった場合、「近いのに外した」というペナルティとしてマイナス点が課されるルールです。
「鉄」は本来ボーナスステージのようなものですが、このルールが入った瞬間に「外したらマイナス」という恐怖のプレッシャーパットに変わります。
逆オリンピック
通常のオリンピックは1パットを競うものですが、これは「3パットした人」にペナルティを与えるルールです。
さらに意地悪なのが、「カップに近い人ほど、3パットした時の罪が重い」という設定です。例えば、鉄の権利者が3パットすると「-4点」、金なら「-1点」といった具合です。「近くて簡単なはずなのに3回も打った」ことへの罰則ですね。
アプリやエクセルでのゴルフオリンピック計算

ここまで手計算のロジックを解説してきましたが、正直なところ「面倒くさい!」「もっと楽に管理したい!」というのが本音ではないでしょうか。現代のゴルフシーンでは、スマートフォンアプリやExcelを駆使して、スマートに管理するのが主流になりつつあります。
無料のおすすめ計算アプリ
App StoreやGoogle Playには、ゴルフのスコア管理アプリが溢れていますが、その中でも特に「オリンピック計算」に特化した、あるいは機能が充実しているアプリを厳選してご紹介します。これらをインストールしておくだけで、幹事としての評価が爆上がりすること間違いなしです。
1. Gスコア(G-Score)
ゴルフの賭け計算アプリの決定版とも言える存在です。オリンピックだけでなく、ニアピン、ドラコン、そして複雑な「馬」や「ラスベガス」といった特殊なゲームの計算にも対応しています。
最大の特徴は、その直感的な操作性です。誰がどのメダルを取ったかをタップするだけで、ラウンド終了後にボタン一つで全員の収支が表示されます。計算結果の画面をスクリーンショットで送れば、精算の透明性も確保できます。
2. 楽天ゴルフスコア管理
多くのゴルファーが利用しているGPSナビ連動型のアプリです。メインは距離計測やスコア登録ですが、スコア入力画面のオプションとしてオリンピックの入力項目が用意されています。
普段から楽天GORAで予約し、このアプリでスコアをつけている人なら、別途計算アプリを立ち上げる必要がなく、プレーの流れの中で自然に入力できるのが最大のメリットです。
3. ゴルフ計算アプリ engolf
シンプルさを追求するならこれです。余計な機能がなく、計算に特化しています。特に「焼き鳥」や「オート竿」などのローカルルールのオン・オフを細かく設定できるため、こだわりの強いメンバーとのラウンドでも柔軟に対応できます。
(参考記事:アップルウォッチゴルフ完全攻略!おすすめアプリと設定術)
エクセルで集計表を作る手順
プライベートな4人のラウンドならアプリで十分ですが、2組以上のコンペや、会社の定期的な集まりで幹事を任された場合、後日詳細な報告書を作成する必要があります。そんな時は、Excel(エクセル)で自作の集計表を作ってしまうのが最も効率的です。
「エクセルは苦手…」という方でも大丈夫。先ほど解説した「魔法の計算式」をセルに入力するだけです。
| セル番地 | 項目名 | 入力内容・数式 |
|---|---|---|
| A列 | 氏名 | 参加者の名前を入力 |
| B列~S列 | 1H~18H | 各ホールの獲得点数を入力(空欄は0) |
| T列 | 合計点 | =SUM(B2:S2) ※横計 |
| 欄外 | 全員総計 | =SUM(T:T) ※全員の合計点を算出 |
| U列 | 精算結果 | =(T2 * 参加人数) - 全員総計セル |
この表を一度作って保存しておけば、次回からは名前と点数を入れ替えるだけで、瞬時に全員分の精算書が完成します。条件付き書式を使って、プラスの人を青、マイナスの人を赤で表示させると、より視認性が高まります。
便利なテンプレートの活用法
「一から数式を組むのはやっぱりハードルが高い」という方は、インターネット上の集合知を頼りましょう。WEB上には、有志のゴルファーやExcelの達人が作成した「ゴルフ オリンピック 計算 エクセル テンプレート」が多数無料で公開されています。
検索エンジンで上記のキーワードで検索すると、シンプルなものから、傾斜配分(ハンディキャップ)に対応したものまで、様々なタイプが見つかります。これらをダウンロードし、自分のコンペのルール(レートや参加人数)に合わせて微調整するのが最も賢い方法です。特に大人数のコンペでは、手計算だとミスが許されないプレッシャーがかかりますので、必ずツールを活用してリスクヘッジを行いましょう。
幹事が知るべきトラブル回避術
オリンピックは非常に楽しいゲームですが、金銭やプライドが絡む以上、トラブルの火種になりやすいのも事実です。幹事や進行役として、最も避けるべきは「終わった後の認識違い」です。これを防ぐためには、スタート前の徹底した確認が全てです。
【スタート前に必ず確認すべき4つの項目】
- レートと上限の設定: 「1点いくらにするか」だけでなく、「どんなに負けても上限は〇〇円まで」というリミット(ストップロス)を設けることが、平和なゴルフには不可欠です。
- 特別ルールの有無: ダイヤモンド、竿イチ、焼き鳥などのオプションを採用するかどうか。
- ワングリップOKの扱い: OKパットの距離でも「オリンピックの権利」は残るのか、それともOKが出たら権利放棄とみなすのか。これは揉めやすいポイントです。
- 参加の意思確認: これが最も重要です。賭け事を好まない人や、初心者に無理やり参加させるのは絶対にNGです。「点数だけつけて楽しみましょう」という提案ができる配慮が必要です。
特に、初心者がいる場合は、ハンディキャップとして「初心者は点数2倍」としたり、「マイナスは免除」といった特別ルールを設けることで、全員が楽しめる雰囲気作りを心がけましょう。
コンペで役立つ点数管理法
近年、企業のコンプライアンス意識の高まりにより、社内コンペや接待ゴルフにおいて現金の授受(いわゆる「握り」)は厳しく制限、あるいは禁止される傾向にあります。しかし、何の賞品も競争もないと、少し味気ないラウンドになってしまうのも事実。
そこで推奨したいのが、「オリンピックポイントの商品引換制」や「景品交換システム」です。
現金を直接動かすのではなく、獲得したオリンピックポイントを集計し、その順位に応じてコンペの賞品とは別の「特別賞」を授与する形式です。
- 1位: 高級ボール1ダース
- 2位: ゴルフ用ソックス
- 最下位: 練習器具(もっと練習しましょうの意味を込めて)
このように、「ゲームの勝者には名誉と景品を与える」という形にすれば、賭博性を排除しつつ、オリンピック本来の「パッティング勝負の面白さ」を維持できます。企業コンペの幹事さんは、ぜひこの方式を導入して、健全かつ盛り上がるコンペを企画してください。
正確なゴルフオリンピック計算のまとめ
今回は、ゴルフの楽しさを倍増させる「オリンピック」について、基本的なルールから、3人プレー時の対処法、そして面倒な計算を一瞬で終わらせる数式まで、徹底的に解説しました。
オリンピックの真髄は、単にお金を賭けることではなく、普段なら適当に打ってしまいがちな1メートルのパットに真剣になり、同伴者のナイスパットを本気で称え(あるいは悔しがり)、ラウンド全体のコミュニケーションを深めることにあります。
今回ご紹介した「(自分の点数 × 参加人数) - 全員の合計点」という魔法の計算式や、便利なアプリを活用すれば、面倒な計算作業から解放され、純粋にゴルフそのものを楽しむことができるはずです。ただし、ルールとマナー、そして法律を守ることは大前提。節度を持って、最高のゴルフライフを楽しんでください!





